長期の理由は国民洗脳 安倍政権の“桂太郎超え”2887日

長期の理由は国民洗脳 安倍政権の“桂太郎超え”2887日<上>

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功績はゼロ(2019年安倍首相主催「桜を見る会」)/(C)日刊ゲンダイ
功績はゼロ(2019年安倍首相主催「桜を見る会」)/(C)日刊ゲンダイ
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 安倍首相の通算在職日数が20日で2887日となり、戦前の桂太郎を抜いて、106年ぶりに歴代最長記録を塗り替えた。

 2006年9月からの第1次政権は約1年でブン投げ、再起不能だったはずの安倍が、12年12月の衆院選に勝利して返り咲くと、第2次政権では7年もの長期にわたって首相の椅子に居座り続けている。

 大メディアは「野党が弱すぎる」「国政選挙6連勝の求心力」「党内に有力な対抗馬がいない」などと長期政権の理由を解説。菅官房長官も「経済最優先を掲げ、成長戦略を次々と実行してきたことが大きい」と偉そうに分析していたが、冗談ではない。

「全国津々浦々にあまねく届ける」と豪語していたアベノミクスの恩恵は、当初の任期を超えた現在も一向に届く気配がない。「道半ば」どころか、2度の増税で消費税は10%に上がり、公的な負担は増える一方。実質賃金は減り続け、国民生活は窮乏化が著しい。そのうえ、社会保障削減で将来の年金不安も高まる。

 社会の格差是正や公教育の充実、少子化対策も待ったなしの状況なのに、全く手を打ってこなかった。国内の課題は全て先送りで、外交も八方塞がり。これだけの長期政権を築いておきながら、誇るべき功績が何ひとつ見当たらない首相というのも珍しい。

「長期政権には功罪あるものですが、この政権には罪しかない。憲法を無視し、議会を軽視して、民主主義を徹底的に破壊してしまった。そのうえ、首相に疑惑の目が向けられれば、証拠の文書を廃棄し、公文書の改ざんまでして隠蔽してしまう。追及を逃れるため、国会も開かずに逃げ回り、説明責任を果たそうとしない。ようやく国会に出てきたと思ったら、平気でウソの答弁をし、閣僚席でヤジを飛ばしてニタニタしている。数の力におごり、力ずくで悪事にフタをしてきた結果の“桂太郎超え”は虚像のようなもので、醜悪な実体とあまりにかけ離れています」(政治評論家・本澤二郎氏)

 希代のペテン政権が続いたせいで、隠蔽されてきた悪事はオリのようにたまるばかりだ。

「桜を見る会」を巡り、記者団の質問に答える安倍首相(C)共同通信社
「桜を見る会」を巡り、記者団の質問に答える安倍首相(C)共同通信社
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その大罪に目を瞑り、今なお安倍ヨイショ報道の国民洗脳

 こんなロクでもない首相が、憲政史上最長の座にふんぞり返っていられるのは、その大罪に目を瞑り、守ってきた大メディアのおかげでもある。

「この政権は、『地方創生』だ『女性活躍』だと、毎年のように新しいスローガンを掲げ、やってるフリをしてきただけですが、大メディアはそれを垂れ流し、政府の宣伝の片棒を担いできた。外遊に明け暮れて首脳会談を繰り返すだけのパフォーマンス外交も無批判に報じ、“やってる感”の演出に協力している。この政権の本質はウソと隠蔽とゴマカシなのに、メディアは本当の姿を伝えてこなかった。首相が『悪事を隠していること』が隠されてきたのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 安倍は民主党政権時代を「悪夢」とさげすむが、現状はもっとひどい。検察はどんな悪事でも見逃し、メディアも政権にへつらう暗黒社会。国民から富を収奪して特権階級の宴が続く。悪夢を超越して、悪魔的だ。

「後世の研究者は、憲政史上、メディアと検察が最も仕事をしなかった時代と評価するのではないか。権力の監視というジャーナリズムの基本を捨て去った大メディアは、情報操作の手先となって大本営報道を繰り返す。それで国民は『他に首相の適任者がいない』と思わされているのです」(本澤二郎氏=前出)

 最長記録更新でもヨイショ報道。魂を売ったメディアによって、悪辣政権が生き延びている。

解散は「勝てる」時だけ(C)日刊ゲンダイ
解散は「勝てる」時だけ(C)日刊ゲンダイ
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選挙に強いと言うが、国民ダマしの解散権乱用

 安倍が「桂太郎超え」に至った最大要因は、“野党時代からの国政選挙6連勝による求心力”と大マスコミは分析するが、連勝に加担してきた張本人がどの口で言うのか。

 テレビは選挙のたびに関連報道を減らし続け、国民の関心をそらして安倍自民の勝利に貢献。今年の参院選でも「れいわ旋風」をちっとも伝えず、芸人の闇営業問題やジャニー喜多川氏の死去に明け暮れていた。

 大体、就任後2度の衆院選はともに安倍の自己都合解散だ。14年は消費増税先送りの「増税やらない解散」で、野党の準備不足で勝てるうちに仕掛けた。17年は「モリカケ逃れ解散」で、北朝鮮情勢と少子化を「国難」と称して総選挙を強行。希望の党を率いた小池都知事の「排除」発言の自滅にも助けられた。

 大マスコミは安倍の身勝手解散を「首相の専権事項」とかばう。だが、そもそも憲法に首相の解散権の規定はない。

「安倍首相の国民ダマシの解散権乱用は本来、憲法違反」と、政治評論家の森田実氏が言う。

「天皇の国事行為を定めた7条の3号に『衆議院の解散』とあるのを根拠に、天皇は内閣の助言によって解散できるとの建前ですが、同時に憲法4条には天皇は国政に関する機能を有しないとある。つまり『7条解散』は違憲にあたるのですが、最高裁が明確な判断を避けたのをいいことに、7条解散が常態化してしまった。しかし最高裁の違憲判断がないとはいえ、即、合憲とは言えない。解散権乱用は、解散を決めるのは議会と定めた憲法69条に反する議会制民主主義の否定です。だから、過去の歴代首相は権力の乱用を控え、それなりの大義を掲げましたが、安倍首相は意に介さず解散権まで私物化したのです」

 憲法無視の身勝手首相が政治的レガシーづくりを目指すなんて狂気だ。

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