長期の理由は国民洗脳 安倍政権の“桂太郎超え”2887日<上>

安倍首相の通算在職日数が20日で2887日となり、戦前の桂太郎を抜いて、106年ぶりに歴代最長記録を塗り替えた。
2006年9月からの第1次政権は約1年でブン投げ、再起不能だったはずの安倍が、12年12月の衆院選に勝利して返り咲くと、第2次政権では7年もの長期にわたって首相の椅子に居座り続けている。
大メディアは「野党が弱すぎる」「国政選挙6連勝の求心力」「党内に有力な対抗馬がいない」などと長期政権の理由を解説。菅官房長官も「経済最優先を掲げ、成長戦略を次々と実行してきたことが大きい」と偉そうに分析していたが、冗談ではない。
「全国津々浦々にあまねく届ける」と豪語していたアベノミクスの恩恵は、当初の任期を超えた現在も一向に届く気配がない。「道半ば」どころか、2度の増税で消費税は10%に上がり、公的な負担は増える一方。実質賃金は減り続け、国民生活は窮乏化が著しい。そのうえ、社会保障削減で将来の年金不安も高まる。
「長期政権には功罪あるものですが、この政権には罪しかない。憲法を無視し、議会を軽視して、民主主義を徹底的に破壊してしまった。そのうえ、首相に疑惑の目が向けられれば、証拠の文書を廃棄し、公文書の改ざんまでして隠蔽してしまう。追及を逃れるため、国会も開かずに逃げ回り、説明責任を果たそうとしない。ようやく国会に出てきたと思ったら、平気でウソの答弁をし、閣僚席でヤジを飛ばしてニタニタしている。数の力におごり、力ずくで悪事にフタをしてきた結果の“桂太郎超え”は虚像のようなもので、醜悪な実体とあまりにかけ離れています」(政治評論家・本澤二郎氏)
希代のペテン政権が続いたせいで、隠蔽されてきた悪事はオリのようにたまるばかりだ。

その大罪に目を瞑り、今なお安倍ヨイショ報道の国民洗脳
こんなロクでもない首相が、憲政史上最長の座にふんぞり返っていられるのは、その大罪に目を瞑り、守ってきた大メディアのおかげでもある。
「この政権は、『地方創生』だ『女性活躍』だと、毎年のように新しいスローガンを掲げ、やってるフリをしてきただけですが、大メディアはそれを垂れ流し、政府の宣伝の片棒を担いできた。外遊に明け暮れて首脳会談を繰り返すだけのパフォーマンス外交も無批判に報じ、“やってる感”の演出に協力している。この政権の本質はウソと隠蔽とゴマカシなのに、メディアは本当の姿を伝えてこなかった。首相が『悪事を隠していること』が隠されてきたのです」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)
安倍は民主党政権時代を「悪夢」とさげすむが、現状はもっとひどい。検察はどんな悪事でも見逃し、メディアも政権にへつらう暗黒社会。国民から富を収奪して特権階級の宴が続く。悪夢を超越して、悪魔的だ。
最長記録更新でもヨイショ報道。魂を売ったメディアによって、悪辣政権が生き延びている。

選挙に強いと言うが、国民ダマしの解散権乱用
安倍が「桂太郎超え」に至った最大要因は、“野党時代からの国政選挙6連勝による求心力”と大マスコミは分析するが、連勝に加担してきた張本人がどの口で言うのか。
テレビは選挙のたびに関連報道を減らし続け、国民の関心をそらして安倍自民の勝利に貢献。今年の参院選でも「れいわ旋風」をちっとも伝えず、芸人の闇営業問題やジャニー喜多川氏の死去に明け暮れていた。
大体、就任後2度の衆院選はともに安倍の自己都合解散だ。14年は消費増税先送りの「増税やらない解散」で、野党の準備不足で勝てるうちに仕掛けた。17年は「モリカケ逃れ解散」で、北朝鮮情勢と少子化を「国難」と称して総選挙を強行。希望の党を率いた小池都知事の「排除」発言の自滅にも助けられた。
大マスコミは安倍の身勝手解散を「首相の専権事項」とかばう。だが、そもそも憲法に首相の解散権の規定はない。
「天皇の国事行為を定めた7条の3号に『衆議院の解散』とあるのを根拠に、天皇は内閣の助言によって解散できるとの建前ですが、同時に憲法4条には天皇は国政に関する機能を有しないとある。つまり『7条解散』は違憲にあたるのですが、最高裁が明確な判断を避けたのをいいことに、7条解散が常態化してしまった。しかし最高裁の違憲判断がないとはいえ、即、合憲とは言えない。解散権乱用は、解散を決めるのは議会と定めた憲法69条に反する議会制民主主義の否定です。だから、過去の歴代首相は権力の乱用を控え、それなりの大義を掲げましたが、安倍首相は意に介さず解散権まで私物化したのです」
憲法無視の身勝手首相が政治的レガシーづくりを目指すなんて狂気だ。