桜を見る会、新たな疑義「首相枠と官邸枠14年3400人→19年2000人に減少」

桜を見る会、新たな疑義「首相枠と官邸枠14年3400人→19年2000人に減少」

「桜を見る会」で、招待者にあいさつして回る安倍晋三首相=東京都新宿区の新宿御苑で2019年(平成31年)4月13日、喜屋武真之介撮影

 首相主催の「桜を見る会」の「招待枠」について、新たな疑義が浮上した。11月25日の参院行政監視委員会で、田村智子議員(共産)が「首相枠と、副総理などの官邸枠」を合計した招待者数について、内閣府提供の資料を示し「2014年は3400人だったのでは」と指摘した。今年の招待枠について政府は「首相1000人、副総理・官房長官・官房副長官等1000人(計2000人)」としているが、田村氏は「14年が3400人なのに、今年が2000人に減っているとは考えられない」と疑問を呈した。また、健康グッズと称して商品の預託商法を繰り返していた「ジャパンライフ」の会長が招待されていた疑いも出てきた。質疑で浮き彫りになった疑問点をまとめた。【江畑佳明/統合デジタル取材センター】

参院内閣委員会で「桜を見る会」について質問する共産党の田村智子氏=国会内で2019年(令和元年)11月14日、川田雅浩撮影

招待状を会社の信用に利用?

 田村氏はまず、磁気ネックレスなど健康グッズの預託商法を展開していた「ジャパンライフ」(東京都)の会長のもとに、15年の「桜を見る会」への招待状が送られていたと指摘した。同社は、大幅な債務超過の事実を隠して契約したなどとして、消費者庁が16~17年に一部業務停止命令を出した。また今年4月には、警視庁など6都県警による合同捜査本部が、特定商取引法違反(事実の不告知)容疑で同社の関係先計30カ所以上を家宅捜索している。

 この招待状の入手経路として、大門実紀史参院議員(共産)に内部告発の文書として情報提供があったと明らかにしたうえで、田村氏は「14年にも消費者庁から行政指導を受けている。高齢者を対象にマルチ商法を繰り返してきた悪質な会社。この招待状がジャパンライフへの信用を示す資料として、業務に利用されていた。重大な問題であり、誰がなぜ招待したのか調査すべきだ」と主張した。

 これに対し、岡田直樹官房副長官は「招待者の選定基準があいまいである等の指摘をいただいている。招待基準の明確化、招待プロセスの透明化を検討し、予算や人数を含めて全般的な見直しを行う」と答えた。

受付票の2桁番号は属性か

 さらに田村氏は、「ジャパンライフ」会長への招待状に同封されていた「受付票」に注目した。「受付票」は会場へ入る際に必要なものとみられ、そこには「60―2357」という数字がプリントされていた。田村氏は「招待者一人一人についてのナンバリング(通し番号)では」と問うた。すると内閣府の大塚幸寛官房長は「確かに、受付票にはナンバーを振ってあると承知している」と指摘の一部を認めた。

 この「60」について、田村氏は次々と「証拠」を突きつけた。

 内閣府は22日、今春の会に向けて各省庁が推薦した招待者の名簿を公表した。名簿には前出の「受付票」と符合するような番号を示した欄があったといい、内閣府の分は消されていたものの、防衛省や国土交通省などでは番号がそのまま残っていた。田村氏は「最初の2桁の数字は属性を示しているとわかる」と主張。番号は各省で共通しており、「公務員は20」「審議会の会長・議長は40」「功績者は50番台」となっていたと指摘した。

 そこで田村氏は、名簿に残っていた受付票の番号は、招待者に送付する受付票に記された番号で間違いないかと質問。さらに、受付票にあった「60」について、「どういう区分か」と問いただした。すると大塚氏は「今ただちに答えるだけの情報を持ち合わせていない」と答えた。

「60」は首相推薦枠の区分番号?

 「60」の追及は続く。

 内閣府は「桜を見る会」の招待状を封筒に入れる作業を、民間業者に発注している。共産党が内閣府から提供を受けた資料によると、15年に内閣府が業者向けに作成した「仕様書」があり、そこに前年14年の送付実績が添付されていた。送付実績は一覧表として表記されており、その中に「総理、長官等推薦者」として「60~63」と振り分けられていた。

 田村氏は「『60』は首相が推薦している招待枠のことではないか」と質問。すると大塚氏は「繰り返しで恐縮だが、個別に答えるだけのものを持ち合わせていない」との回答だった。

招待枠は「首相+副総理・官房長官・官房副長官=3400人?」

2016年の「桜を見る会」に向けた「仕様書」に添付されていた書類。招待区分の数字として「総理・長官等の推薦者」(60、61、62、63)の表記が見られる。共産党が内閣府から提供を受けた=東京都千代田区で2019年11月26日

 この送付実績には、重要な数字が記載されていた。「総理、長官等推薦者」の欄の右端に表記されている「招待者数」のところに、「3400」という数字が書かれている。

 菅義偉官房長官はこれまでに、今年の招待枠について「首相約1000人、副総理・官房長官・官房副長官等約1000人」と答弁しており、田村氏は「今年は合わせて約2000人ということだったが、14年の時点で3400人だ。今年が14年より減ったというのはありえないと思う。過小な数字ではないか」と迫った。

 大西証史・内閣審議官は今年の数字について「名簿は1年未満の保存期限ということで廃棄している。名簿がない中で(国会議員の)先生方からの要請に基づき、事務方がとりまとめた概数」と答えた。

 この「3400人」について、菅氏は26日午前の記者会見で、「当時の(推薦者の)区分けをどういう考え方で行ったのか、招待者名簿を既に廃棄しているため、確認できていない」と述べた。

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