女性非正規29万人減少 「心身とも限界」「1日1食」 母子世帯や単身者が困窮

女性非正規29万人減少 「心身とも限界」「1日1食」 母子世帯や単身者が困窮

全国の労働組合などが合同で実施した電話相談「新型コロナ労働・生活総合ホットライン」に取り組む相談員=東京都世田谷区の労組「総合サポートユニオン」で2020年5月3日、中川聡子撮影

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響による雇用情勢の悪化で、特に女性の非正規労働者に深刻な影響が出ている。総務省が公表した3月の労働力調査では、前年同月比で男性の非正規労働者が2万人増だったのに対し、女性は29万人も減少した。無給のまま休業を余儀なくされる人も多く、労働組合や支援団体に「お金がなく暮らしていけない」という相談が相次いでいる。特に経済状況の苦しい母子世帯や単身者への打撃が大きく「一刻も早く支援を」との声が上がる。【中川聡子、矢澤秀範/くらし医療部】

総務省「今後さらに厳しく」

 「女性の非正規労働者の減少が大きい。新型コロナの影響が表れている」。4月28日、総務省で開かれた記者会見で、担当者は厳しい表情で語った。

 総務省の3月の労働力調査では非正規の労働者数が2150万人で前年同月より26万人減り、2カ月ぶりに減少に転じた。比較可能な2014年1月以降では最大の減少幅となった。製造業、宿泊・飲食業など幅広い業種で影響が表れているが、男性の非正規労働者は2万人増えたのに対し、女性は29万人減った。うち35~44歳のパート女性が約半数の16万人減。3月初めからの一斉休校に伴い、子どもの世話で仕事に出られなくなった人が多いとみられる。

 正社員も含めた女性の就業者数は2983万人で前年同月比9万人増。1月は35万人増、2月は28万人増で、3月に入り伸びが鈍っている。女性の正規雇用者は3月でも58万人増えており、非正規労働者や自営業者の減少が大きく影響した形だ。総務省労働力人口統計室は「緊急事態宣言の影響で、4月はさらに厳しい結果が予想される」としている。

「助けてください」母子世帯の悲鳴

 雇用されて働く女性の半数以上は非正規労働者だ。雇用情勢の悪化は、共働き世帯にもまして、母子世帯や単身女性に大きな影響を及ぼしている。

 母子世帯については、こんなデータがある。厚生労働省所管の独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が全国の1974世帯から回答を得た18年の調査では、そのうちの母子世帯では半数以上が非正規労働者か無職で、平均就業年収は234万円。国内の平均的な生活水準と比べて困窮している人の割合をみる「相対的貧困率」で、母子世帯で51・4%となった。

NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」が、母子世帯の支援に送った飲料や食料など。「食べ物がない」という声が殺到しているという=同団体提供

 支援団体などには、こうした女性からの相談が相次いでいる。母子世帯を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」によると、3月1日から今月5日までにあった約380件の相談のうち、8割以上が生活の困窮を訴える内容だった。「助けてください。災害備蓄用の米が3パックしかない。洗剤も買えない。心身ともに限界」(40代)、「1歳の子がいる。保育所が決まり4月から働くはずだったが仕事がなくなった。1日1食でしのいでいる」(20代)――などだ。「ふぉーらむ」は約2000世帯に米5キロかお米券(2200円相当)を配布し、特に切迫した状況の世帯にはミルクやおむつなどの生活物資も配送した。

NPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事長=東京都千代田区で2019年6月28日午後0時11分、御園生枝里撮影

 「ふぉーらむ」が会員に行ったアンケート調査では、回答した208人のうち113人が「収入が減る・なくなる」と答えた。赤石千衣子理事長は「労働者としての立場が弱い。雇い主から簡単にクビを切られたり、生活困窮者を対象とした緊急小口貸し付けを受けるために必要な給与明細すらもらえなかったりしている」と指摘。そして「貧困状態の母子世帯は60万世帯あるとされる。多くが孤立し、飢えているのではないか。国は対策を打ち出したが、現金給付は遅く、児童手当の増額は1万円と低すぎる」と訴える。

休業2カ月で無給に「家賃払えない」

 また、単身世帯への影響も大きく、失業不安が広がる。東京都立大の阿部彩教授が18年に公表した研究報告書によると、20~64歳の女性の相対的貧困率は配偶者がいる場合は約1割だが、単身世帯だと約3割に上った。

 3日、全国の労働組合などが実施したホットラインには単身女性から「解雇され貯金もない」「無職だが求人がない」という相談が相次いだ。NPO法人POSSEの渡辺寛人事務局長は「飲食業やサービス業を支える非正規女性が真っ先に影響を受けている」と語る。

 「4月は収入ゼロ。働かないと生きられない」。都内の民間劇場で舞台照明のアルバイトをしていた女性(40)は頭を抱える。

 都内の家賃6万5000円のアパートに1人暮らし。月に15~20日ほどの勤務で月給は約15万円。夜はバーでアルバイトをして、月収は計約20万円あった。しかし、新型コロナ対策で昼、夜ともに職場は休業に。劇場側は「営業を再開したら復帰させる」とし、3月分の賃金の6割分の休業手当が支払われたものの、雇用保険料などを除いた手取りは2万円。4月分の支払いはなかった。

 経営者からは「個人事業主が受けられる国の給付金で、何とか生き延びて」と言われたという。女性は「休業手当の負担で会社が潰れる方が困る」と受け入れるしかなかった。他に仕事を探そうにも求人がない。見通しは立たないまま劇場の営業再開を願うが、「来月の家賃が払えないかも」と不安が募る。

研究者「非正規の所得保障の強化を」

 「女性は家事や育児を抱えていたり、夫の収入で暮らす補助的な労働力とみなされたりして、不安定な非正規雇用に追いやられがちだ」と、竹信三恵子・和光大名誉教授(労働社会学)は指摘する。非正規だと、労働時間など雇用保険に加入する条件を満たせず、失業給付を受けられない人も多い。竹信名誉教授は「女性に影響が大きいことを念頭に、非正規向けの所得保障を強化し、家賃補助など賃金以外の生活支援の充実も急務だ」と訴える。

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