「原発事故も自助か」 帰還困難区域の被災者が菅氏に訴え 福島

「原発事故も自助か」 帰還困難区域の被災者が菅氏に訴え 福島

菅氏が自民党の新総裁に選出をされる様子をテレビで見つめる今野邦彦さん=福島県桑折町で2020年9月14日午後3時21分、渡部直樹撮影

 東日本大震災・原発事故からの復興、新型コロナウイルス対策など、課題が山積する中、事実上の次期首相となる自民党新総裁に14日、菅義偉官房長官が選出された。「自助、共助、公助」が旗印の菅氏に対し、福島県内の被災者やコロナ禍に苦しむ人たちからは、政府の主体的な取り組みを求める声が相次いだ。

「古里 元通りにして」

 「原発事故も自助から始めるのか。国のリーダーは公助から始めるべきでは」。帰還困難区域となっている浪江町赤宇木(あこうぎ)地区で自治会組織の副会長を務める今野邦彦さん(61)は午後3時すぎ、桑折町の避難先にあるテレビで、新総裁に選出された菅氏のあいさつを聞きながら、こう漏らした。

 赤宇木に家を構えて20代目。築160年を超える木造平屋の大きな自宅は野生動物に荒らされ、食器やガラスが散乱、安全靴をはかないと中に入れない。除染の見通しは立っておらず、帰還を望み続けた高齢の両親は避難先で亡くなった。

 「(菅氏に)期待していない。注文するとすれば『古里を元通りにしてほしい』ということだけ」と話した。

 一方、福島第1原発の約6・5キロ北にある請戸漁港。今年4月に競りを再開するなど、漁業復興の途上にある。相馬双葉漁協請戸地区代表の高野一郎さん(73)は「継続して後ろ盾となって支えてほしい」と望む。特に懸念するのは汚染処理水の処分方法の行方で、「海洋放出には絶対反対の立場だが、仮に考えるなら、風評対策の方針もはっきりと示してほしい」と訴えた。

 浜通り地域の首長は、復興施策の継続を求めた。町の大半が帰還困難区域となっている双葉町の伊沢史朗町長は「復興が滞ることのないよう、切れ目のない対応を」と注文。その上で「帰還困難区域全域の解除に向け、具体的に方向性を示してほしい」と求め、新内閣発足後、国への要望を検討するとした。【渡部直樹、高橋隆輔、柿沼秀行】

「感染対策の指針を」

 「飲食業界は瀕死(ひんし)の状態だ」。県社交飲食業生活衛生同業組合の理事長で、福島市内で居酒屋やスナックなど4店舗を経営する鈴木悦朗さん(70)は訴える。

 緊急事態宣言の解除後、客は徐々に戻っていたが、感染確認が再び増加して以降は通常の3割程度まで落ち込む。周囲では閉店を考える店も相次いでいるといい、「経済を回すのは大歓迎だが、新型コロナ対策も併せて取り組んでほしい」と菅氏に求めた。

 県旅館ホテル生活衛生同業組合の小井戸英典理事長(64)は「中通りや会津では軒並み5割以上宿泊が減っている」と苦境を明かす。10月から「GoToトラベル」に東京都も加わることへの期待から、安倍政権を踏襲するとする菅氏の選出を歓迎する一方で、組合員の中にも「感染者が出たら」と懸念する意見があるといい、「ウィズコロナ時代の感染対策の指針を国が作ってほしい」と訴えた。

 JA会津よつばの長谷川正市組合長(70)は「外食が減ったことで米の消費量が落ち、生産者は来年の作付けをどうするのかと心配している」と話す。「総裁選で全く農業政策の話が出なかった。現在の農政は行き当たりばったり。5年後、10年後への農政のビジョンを示してほしい」と注文を付けた。【三浦研吾、寺町六花】

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