投票日以降トランプの大嘘:日本でも拡散

ファクトチェック

投票日以降のトランプ氏の発言「根拠がない」「大うそ」米ファクトチェック機関が一斉批判

米ホワイトハウスで演説するトランプ氏=4日、AP

 米大統領選挙の投票日(3日)以降にトランプ大統領が行った一連の発言について、米主要ファクトチェック機関などが一斉に「事実でない」と批判している。トランプ氏は劣勢が報じられると、「不正がある」などと主張し、法廷闘争に持ち込む構えを見せるが、その根拠に疑問符がつけられた形だ。だが、「大うそ」などと判定された発言でも、SNSを通じて日本語圏にまで拡散されており、各社が注意を呼びかけている。【和田浩明/統合デジタル取材センター】

「うそだらけ」トランプ氏の発言

 米国で2003年から政治家の発言などの事実関係を調べ発信してきたペンシルベニア大の「ファクトチェック・オルグ」は4日付で「トランプの虚偽に満ちたスピーチ」と題した分析を公表した。

 取り上げたのはトランプ氏が米東部時間4日午前2時半(日本時間同日午後4時半)前からホワイトハウスで行ったスピーチだ。この中で、トランプ氏は「我々はすでに勝利した」と繰り返し断言した。

 さらに、激戦州の中西部ミシガンやウィスコンシンで自らが先行していたのに急激に情勢が変化したのは「詐欺」が行われたからだと主張し、「連邦最高裁まで行く」と宣言した。民主党候補のバイデン前副大統領の支持票が多いとみられる郵便投票などの開票を止める狙いがあるとみられる。

 ファクトチェック・オルグによると、このスピーチの時点では、まだ複数の激戦州などで開票作業が続いており、「勝った」と宣言できる根拠ははっきりしていなかった。また、「詐欺」についても、トランプ氏の主張には「根拠がない」としている。

 開票作業でトランプ票が先行し、後にバイデン票が増加する現象については、事前に主要米メディアが報じていた。この点に関しても、ファクトチェック・オルグは政治学者による研究を根拠に、民主党支持の有権者が郵便投票を多用し、開票に時間がかかったためだなどと説明した。

 ファクトチェック・オルグは不偏不党、非営利をうたい「米国政治における欺瞞(ぎまん)と混乱の低減」を目標としている。

 同じく老舗の独立系ファクトチェック機関である「ポリティファクト」もこの演説を問題視する。「トランプ氏の声明は間違っており、米国での投開票のプロセスを無視している」と指摘。ファクトチェックの評価の中では最も厳しい「パンツ・オン・ファイア(大うそ)」の判定を下した。

「選挙が盗まれる」根拠なき主張とAP通信

 米主要メディアによるトランプ発言のファクトチェックも、おおむね厳しいトーンだ。AP通信は「トランプ氏と支援者がうそを拡散し選挙に疑いをかけている」との見出しの記事を配信した。取り上げたのは、前回選挙でトランプ氏が勝利し、今回はバイデン氏が奪還したと報じられているウィスコンシン州の事例だ。

 ウィスコンシン州では一時、トランプ氏の得票が先行したが、最終的に複数の米主要メディアが「バイデン氏が勝利確実」の報を流した。98%開票時点で得票率はバイデン氏が49・4%、トランプ氏は48・8%とその差わずか0・6ポイントだ(ニューヨーク・タイムズ紙電子版による)。

 こうした状況を受け、トランプ氏は4日昼に「彼らはバイデン票をあちこちで発見している。ペンシルベニア、ウィスコンシン、そしてミシガンで。我が国にとってよくないことだ」とツイッターに投稿した。AP通信によると、トランプ氏の支援者らも、ウィスコンシンでのバイデン氏の得票増加は「あからさまな腐敗」「魔法のように発見された」などと疑問視する投稿をしている。

 AP通信は「トランプとその支持者は、激戦州で合法的に投じられた不在者投票や郵便投票に関するオンラインの偽情報を拡散している」と指摘。民主党側が「選挙を盗もうとしている」との大統領の「根拠なき主張」を支持するための行為だと述べている。

 米CNNも同様に批判的で「投票日以降のトランプ氏の発言はうそばかり」と題したファクトチェック記事をウェブサイトに掲載。以前から続く「不正直な戦略」の表れだと指摘している。

「誤解招く可能性」トランプ氏の投稿にラベル

 こうした事態を受け、SNS各社も対策を実施した。ツイッターは4日以降、トランプ氏の投稿(ツイート)4件について、「このツイートで共有されているコンテンツの一部またはすべてに異議が唱えられており、選挙や他の市民行事への参加方法について誤解を招いている可能性があります」とのラベルを表示。利用者が意図的にクリックしなければ、元の投稿を見られないようにした。

 例えば「我々は大きく先行していたのに、彼らは選挙を盗もうとしている。絶対にそうはさせない。投票所が閉じた後で投票はできない」とするトランプ氏の投稿だ。これは、3日の投票日を過ぎても開票が続く事前投票分の無効を主張したものとみられるが、ツイッター社は先のラベルの他にも「投票日以降の開票作業も合法」などとする関連記事を紹介するリンクをはった。

 フェイスブックも同様の対応を取った。トランプ氏が4日午後に行った「ペンシルベニア、ノースカロライナ、ミシガンで勝利した」などとする書き込みには「投票用紙の集計には投票締め切り後、数日間から数週間かかるため、最終的な得票結果は初期に公表された得票数と異なる場合があります」といった注意書きがつけられている。

 この注意書きにはリンクがはられており、大統領選の結果予測や、選挙に関する事実関係の紹介などが行われている。

 だが、こうした取り組みにもかかわらず、SNS上では「選挙不正」に関する発信が大規模に拡散しているとAP通信は伝えている。米大学やシンクタンクの研究者らが投票抑止行為を発見・阻止する目的で立ち上げたグループEIPによると、「(選挙の)盗難を止めろ」などのハッシュタグ(検索目印)を掲げた右派インフルエンサーらを中心にした発信・拡散は3日昼以降急増し、4日夕には12万件近くに達しているという。

日本語圏でも拡散する米選挙の偽情報

 日本語圏のツイッターでも、米国側で根拠がないとされた情報が大規模に拡散される現象が起きている。「ウィスコンシン州で、明け方の僅か1時間の間に謎の12万票がバイデン側に追加」とするツイートは、日本時間5日の時点で8000回以上リツイートされ、「いいね」も1万件以上ついている。この投稿には「選挙やその他の市民活動の操作や妨害を目的としてツイッターのサービスを利用することを禁じます」とのツイッター社のリンクがはられている。

 また、「ウィスコンシン州の不正選挙疑惑まとめ」と題した投稿も多数広がり、一部にはツイッター社が「誤解を招いている可能性がある」とのラベルを設定して注意を促している。

和田浩明

1991年4月入社。英文毎日編集部、サイバー編集部、外信部、大阪社会部を経て2003年10月から08年3月までワシントン特派員。無差別発砲事件、インド洋大津波、イラク駐留米軍や大統領選挙を取材。09年4月からはカイロに勤務し、11年1月に始まった中東の民主化要求運動「アラブの春」をチュニジア、エジプト、リビア、シリア、イエメンで目撃した。東京での中東、米州担当デスク、2度目のワシントン特派員などを経て2019年5月から統合デジタル取材センター。日本社会と外国人住民やLGBTなどの今後に関心がある。

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