事実と違う答弁を繰り返した安倍氏…「桜を見る会」前夜祭 立件可否焦点に

事実と違う答弁を繰り返した安倍氏…「桜を見る会」前夜祭 立件可否焦点に

衆院本会議後に記者団の質問に答え、国会を後にする安倍晋三前首相=2020年11月24日午後1時22分、竹内幹撮影

 「桜を見る会」の前夜祭に関して、安倍晋三前首相の国会での答弁は、誤った内容だったことが判明した。安倍氏は昨年11月から事実と異なる説明を繰り返してきたことになる。東京地検特捜部が今後、捜査を進めるが、安倍氏側の立件の可否が焦点となる。政府・与党は火消しに躍起で、野党は25日の衆参両院予算委員会の集中審議で徹底追及する構えだ。

「ない」「ない」答弁繰り返し 周辺は違法行為認識

 前夜祭問題は、安倍氏側が費用総額の一部を補塡(ほてん)していた疑いが浮上したことで再燃。さらに、安倍氏周辺が補塡を認めたことで事態は急展開した。

 周辺は取材に対して、前首相からの問い合わせが秘書にあった時期について「共産党からの質問通告があったとき、昨年11月末か12月頭ではないか」と説明。安倍氏に虚偽の説明をした理由について「前夜祭は第2次政権ができて、2013年から始まった。政治資金収支報告書に記載すべきところをしていない事実を知っていたからだ」と釈明し、法に沿わないと認識していたことを明かした。事実ならば公職選挙法(寄付行為の禁止)に抵触する可能性がある。秘書は「私が勝手に判断してやったことだ」と述べ、安倍氏本人は関与していないと強調しているという。

 首相主催の「桜を見る会」の問題は昨年11月、共産党の国会質問で表面化した。第2次安倍政権発足後、会の支出額と出席者数が大幅に増えたことが批判を浴びて、野党は「税金を使った後援会活動だ」と指摘した。これに関連し、安倍氏後援会主催の前夜祭も問題視された。東京都内の高級ホテルで1人5000円の会費で開かれており、「会費が安すぎる」「費用の一部を安倍氏側が補塡しているのではないか」との疑念を生んだ。

 前夜祭は13年から19年の間、毎年開かれた。13、14、16年はANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)、15年と17~19年はホテルニューオータニ(千代田区)が会場だったが、後援会の収支報告書には記載が一切なかった。約800人が参加した19年の前夜祭も会費が5000円で、野党は「ホームページでは立食パーティーのプランは1人1万1000円からと紹介されている。5000円との差額は安倍事務所が補塡したのではないか」と追及していた。

 これに対し、安倍氏は昨年11月の参院本会議で「会場入り口で安倍事務所の職員が1人5000円を集金し、その場でホテル側に渡した。安倍後援会の収入、支出は一切ない」などと強調。5000円で済んだ理由は、1月の衆院予算委で「何回も使っている方と、いちげんの方とで、商売においては当然(扱いが)違う」と強弁していた。

 野党が提示を求めたホテルの明細書に関しても、安倍氏は「ない」との答弁を繰り返した。野党の調査などで、ANAホテルは「主催者には総額の明細書を発行している」と回答。それでも安倍氏は「個別の案件は営業の秘密に関わるため、(野党への)回答に含まれていない、とホテル側に確認した」と答弁を変えることはなかった。今回の安倍氏周辺の説明によって、これらの答弁がすべて、根底から覆される事態となっている。立憲民主党の枝野幸男代表は24日の党幹部会合で「安倍前首相の1年間にわたる虚偽答弁だと報じられている。官房長官だった菅義偉首相は共犯と言わざるをえない」と批判した。【宮原健太、木下訓明】

寄付か、収支未報告か…捜査のポイントは

 捜査の行方はどうなるのか。東京地検特捜部は公職選挙法(寄付行為の禁止)違反と政治資金規正法違反(不記載)容疑での告発を受けて関係者から事情を聴いているが、補塡(ほてん)への関与を認めたとされる関係者の証言の真偽も見極め、刑事処罰の必要性を判断するとみられる。

 関係者によると、安倍氏側は前夜祭の開催費800万円余を補塡したとされる。公選法は、後援会による選挙区内の有権者らへの金品の寄付を禁じており、補塡は寄付とみなされる可能性がある。

 さらに、「安倍晋三後援会」が前夜祭を主催していれば本来、政治資金規正法に基づき、収支を政治資金収支報告書に載せる必要があった。後援会の報告書には前夜祭の収支の記載はなく、特捜部は安倍氏への事情聴取も視野に、補塡の意図を捜査するとみられる。そのためには、どのような目的で、どこから補塡の資金を得ていたのか、原資の解明が不可欠となる。

 その上で処罰の可否を検討することになるが、報告書への不記載の処罰対象は会計責任者やその補助者となっており、後援会内で補塡の経緯がどのように情報共有されていたかが焦点になりそうだ。議員本人の責任を問うハードルは極めて高く、「明確な補塡の指示」を裏付ける証拠が必要となる。

 似たケースとしては、2014年に発覚した虚偽記載事件がある。当時の小渕優子経済産業相の政治団体が、簿外処理の支出を隠蔽(いんぺい)するために支援者向けの観劇会の収支を虚偽記載し、5年間での総額は会費収入と支出などを合わせて約3億2000万円に上った。悪質性や額の大きさが考慮され、元秘書2人が在宅起訴され、有罪が確定。ただ、小渕氏本人は関与が薄いとして不起訴処分(容疑不十分)とされた。

 元東京地検特捜部長の宗像紀夫弁護士は「どこが補塡費用を負担し、誰がそのことを認識していたかがポイントだ。国民から告発が出ている以上、法と証拠に基づき事実を解明していくことが検察の役割。粛々と捜査していくことが結果的に検察への信頼につながる」と指摘する。【志村一也】

予算委招致要求、自民は拒否 公明も「説明責任」

 「安倍総理は1年間、国会でうそをつきっぱなしだったということだ。こんなことが許されるのか」。立憲民主党の安住淳国対委員長は24日、ウェブ形式で開いた同党の代議士会でこう訴えた後、自民党の森山裕国対委員長と国会内で会談。安倍氏を25日の衆参予算委集中審議に参考人として招致するよう要求した。森山氏は拒否したが、野党側は追及の好機と捉えている。

 安倍氏側の補塡(ほてん)が裏付けられれば、安倍氏が事実と異なる答弁を重ねたことへの批判は避けられない。公明党の山口那津男代表も24日の記者会見で「本人自身に説明責任はある」と述べるなど、対応を問題視する声が与党内からも出始めた。

 政府・自民党は守勢に回らざるを得ない。「司法当局からなんら正式の発表はない現時点で、参考人として出席を要請されても無理がある」。森山氏は安住氏との会談後、安倍氏招致を拒否した理由についてそう述べた。森山氏は同日、「我々も秘書からの報告を受けて、その通り発言することもある。報告が間違っていた時まで虚偽と言えるのかどうか」と安倍氏を擁護した。加藤勝信官房長官も24日の記者会見で「報道をベースにコメントするのは差し控えたい」と繰り返し火消しに懸命だ。

 「桜も散って久しいのに、なんで今芽が出てくるんだ」。自民党幹部は24日、吐き捨てるように語った。新型コロナウイルスの感染拡大と安倍氏の首相辞任によって、この問題は幕引きしたと見ていただけに動揺は大きい。

 新型コロナの感染再拡大で「GoToキャンペーン」の見直しなどを迫られる中、前夜祭問題の再燃は、第2次安倍政権で官房長官を務めた菅首相にとっても大きな打撃だ。与党内には内閣支持率が高いうちに衆院解散・総選挙を求める声が根強くあるが「1月解散は難しくなった」(自民党の閣僚経験者)との声まで出ている。

 安倍氏は体調回復に伴って議員活動を本格的に再開させ始め、来年には出身派閥の細田派への復帰も期待されていた。自民党内には菅政権が揺らいだ時に備え、安倍氏に「再々登板」を求める声も根強くあるだけに、前夜祭問題は「ポスト菅」にも影響を及ぼす可能性がある。【東久保逸夫、水脇友輔、野間口陽】【東久保逸夫、宮原健太、野間口陽】

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