桜を見る会「前夜祭」の問題? 捜査の行方は?

桜を見る会「前夜祭」そもそも何が問題だったのか? 捜査の行方は?

2019年の「桜を見る会」であいさつする安倍晋三前首相=コラージュ

 「桜を見る会」前日に安倍晋三前首相の後援会が主催した「前夜祭」を巡り、ホテルに支払った費用総額の一部を同氏側が補塡(ほてん)していたことを安倍氏の周辺が認めた。それまで安倍氏はかたくなに補塡を否定していたが、公職選挙法違反と政治資金規正法違反容疑で東京地検特捜部が公設第1秘書らから事情聴取していたことが報じられた直後、説明は覆った。安倍政権を揺るがした桜を見る会の問題が浮上したのはちょうど1年前のこと。当初から前夜祭の不自然さは指摘されてきた。そもそも何が問題だったのか、問題点をおさらいするとともに、専門家に捜査のポイントを聞いた。【古川宗/統合デジタル取材センター】

一流ホテルのパーティーが5000円

 前夜祭は安倍氏の後援会が2013年から桜を見る会の前日に開いてきたイベントだ。

19年の前夜祭は4月12日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区)の「鶴の間」で開かれ、約800人が出席したとされる。13、14、16年はANAインターコンチネンタルホテル東京(東京都港区)、15、17、18年はニューオータニで開かれた。

 出席者によると、ニューオータニで開かれた19年の前夜祭は立食形式のパーティーで、開演前にはシャンソン歌手のケイ潤子さんが歌を披露した。参加者は主に安倍氏の地元である山口県下関市から集まっていた。

ホテルニューオータニ=東京都千代田区で2013年11月26日、手塚耕一郎撮影

 安倍氏はずっと5000円の会費制だったと説明してきた。しかし、誰もが知っている一流ホテルでのパーティーが1人5000円でできるのか。実際、ニューオータニのホームページでは立食パーティーのプランは1人1万1000円からと紹介されている。安倍事務所が差額を補塡したのではないか、との疑惑が指摘されてきた。

 それを1年以上たった24日になって安倍氏の周辺が認めた。差額を補塡していた場合、政治家による選挙区内の有権者に対する寄付行為を禁じた公選法に触れる可能性がある。

 東京地検はホテル側が作成した前夜祭費用の明細書を入手しており、それによればホテルに支払われた費用の総額が会費の総額を上回っていたという。

 なぜ有権者に寄付してはいけないのかといえば、カネで民主主義がゆがめられる恐れがあるからだ。有権者は政党や候補者の主張を判断して自由な意思で投票しなければならないのに、候補者側から利益を与えられれば、投票が誘導される可能性がある。

疑惑深めた政治資金収支報告書への不記載

 そして、補塡疑惑を深めてきたのが、政治資金収支報告書にこの前夜祭の記録がなかったことだ。政治家の後援会など政治団体がパーティーを開いた時は、集めた参加費と会場代や飲食代など支払った費用を政治資金収支報告書の収入・支出の欄に記入する。ところが、安倍後援会の他のイベントの収支は記載されているのに、前夜祭の収入・支出の記載は見当たらないのだ。

 安倍氏はこれまで、国会答弁などでこう説明してきた。

 「会場入り口の受付で安倍事務所の職員が1人5000円を集金し、ホテル名義の領収書をその場で渡した。集金した全ての現金をその場でホテル側に渡すという形で、参加者からホテル側への支払いがなされた。安倍晋三後援会としての収入・支出は一切ないことから、政治資金収支報告書への記載は必要ない」

 それは事実と違っていたことになる。

明細書をめぐる不自然な安倍氏の説明

 そもそも、安倍氏が疑惑を晴らしたいのであれば、前夜祭で提供されたサービスや価格が分かる明細書を公開すれば済むはずなのに、安倍氏は「ホテル側から明細書等の発行はなかった」 と言い続けてきた。

 パーティーの主催者にホテルが明細書を出さないのは不自然だ。ニューオータニは毎日新聞の取材に「一概には言えない」(広報担当者)と口を濁したが、もう一つの会場だったANAインターコンチネンタルに「13年以降、明細書など料金の総額がわかる書類を主催者側に例外的に発行しないケースがあったか」と問い合わせたところ、広報担当者は「ありません」と明言していた。

大勢の記者団を前に「桜を見る会」を巡る問題について質問に答える安倍晋三首相(当時、右端)=首相官邸で2019年11月15日、川田雅浩撮影

 安倍氏の周辺によれば、安倍氏は前夜祭の問題が発覚した昨年後半、秘書に「会費の5000円以外、(安倍)事務所が支出していないよね」と電話で確認。秘書は差額を補塡している事実を把握していたが、政治資金収支報告書に記していなかったため、会費以外の支出はないと答えたという。そしてこの秘書は地検特捜部による捜査の報道があった11月23日になって、その報告は誤りだったと安倍氏に伝えたという。

 事実と違うことや不自然な答弁を繰り返してきた安倍氏は、その日まで本当に事実を知らなかったのかが、今後の焦点になる。

今後の捜査の見通しは?

 東京地検特捜部は今後、立件の可否を判断するため、安倍氏への事情聴取も検討している模様だ。また、NHKなどは、ホテル側が作成した領収書には昨年までの5年間にかかった前夜祭の費用のうち安倍氏側が少なくとも800万円以上を負担したことを示す内容が記されていたと報じている。

 今後の捜査はどう進展するか。元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士は「公職選挙法違反で立件するのは難しいのではないか」との見方を示す。

 「安倍氏側から、参加者が『ごちそうになった』という認識があったかが重要ですが、5000円を払った参加者からそうした認識はとりにくいでしょう。何を基準にして、どこの部分が(公選法が禁じる)寄付行為の対象になるかというのは、(犯罪の構成要件として)組み立てにくいのです」

 そして、立件するなら政治資金規正法違反ではないかと見る。

 「後援会関係を仕切っていた秘書は、いくら補塡していたか分かっていたわけで、当然それを収支報告書に記載しなければいけない。起訴される可能性があります」

 ただ、郷原弁護士は「これは刑事罰の問題ではなく、安倍氏の説明責任の問題です」と語気を強める。「首相在任中は検察側が政権に配慮してくれていたのでしょうが、退陣で特捜部も捜査しやすくなったのだと思います。これまで、国会を含めて、ずっとうそをつき続けてきたわけですから、道義的責任は重い。安倍氏は説明責任を果たすべきです」

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