英国で開発中のコロナワクチンに疑義 有効性や治験の信頼性巡り
毎日新聞
英オックスフォード大と英製薬大手アストラゼネカが開発中の新型コロナウイルスワクチンの有効性や、臨床試験の信頼性に疑義を呈する声が上がっている。英紙によると、臨床試験過程で生じた誤りや、参加者の年齢の偏りなどが理由。アストラゼネカは、ワクチンの有効性を示すため、追加で臨床試験を実施する可能性を示唆している。
アストラゼネカが23日に発表した暫定的な臨床試験結果によると、計画通り2回分のワクチンを1カ月間隔で投与した第1グループでは62%の効果が確認されたが、初回の接種を半量にとどめた第2グループは90%となった。全体平均で約70%と算出している。
同社は、第2グループへの初回投与量が誤って計画の半量になっていたとし「偶然が生み出した幸運だ」と主張。オックスフォード大は25日に声明を発表、英当局に報告した上で、臨床試験をそのまま進めることで一致していたと説明した。
だが、90%の効果が確認された第2グループの参加者は約2700人でいずれも55歳以下。約9000人が参加した第1グループより参加規模が圧倒的に少ない。若者が感染しても重症化するリスクは高齢者より低いとされ、一部専門家は投与量の差や参加者の人数、年齢の偏りなどを問題視。英インペリアル・カレッジ・ロンドンで実験医学を専門にする教授は「限られたデータ」しか公表されていないと指摘する。
アストラゼネカのソリオ最高経営責任者(CEO)は26日、米メディアに有効性を検証する意向を表明し「有効性が高いことは分かっており、少ない参加者で迅速にできるだろう」と語った。(共同)
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