「秘書が…」で逃げるのか=与良正男

「秘書が…」で逃げるのか=与良正男

衆院本会議後に記者団の質問に答え、国会を後にする安倍晋三前首相=国会内で2020年11月24日、竹内幹撮影

 「桜を見る会」の前夜祭をめぐる国会質疑で、真っ先に思い出すのは今年2月、衆院予算委員会で続いた安倍晋三前首相と立憲民主党の黒岩宇洋氏とのやりとりだ。

 東京都内のホテルで開いた前夜祭の会費は1人5000円。会費だけでまかなえるはずがなく、安倍氏側が補塡(ほてん)していたのではないか。既にそれが焦点だった。高級店「久兵衛」のすしが提供されていたのではないかとの指摘もあり、疑惑に拍車をかけていた。

 ところが、すし店側が提供を否定したと報じられて以降、安倍氏は再三、これを持ち出して反論材料に使った。この日も数々の疑惑を追及する黒岩氏に「久兵衛の話も真っ赤なうそだったじゃないですか」と色をなして語った。

 一点があいまいだから全てを否定する。「歴史修正主義者」がよく使う手法だと思ったものだ。

 答弁に助け舟を出す安倍氏の秘書官を黒岩氏が怒鳴る場面もあった。これに対し安倍氏は「人間としてどうなのか」とまで言った。一国の首相が自分のことは棚に上げて相手を非難し続ける。私が長く見てきた中で、最も醜悪な国会質疑だったと思う。

 費用はホテル側が算出し、補塡もしておらず、明細書もないと明言してきた安倍氏が、この日も繰り返したのは「私がうそつきだと言うなら証拠を出せ」だった。

 その証拠が今回、出てきたということだ。弁護士らからの告発を受けた東京地検は安倍氏の秘書らから事情聴取をする一方、ホテル側の明細書等々を入手した。

 ただし安倍氏周辺は補塡の事実を認めながら、「それは最近まで安倍氏には伝えていなかった」と言っている点が重要だ。今後、安倍氏は「秘書の報告通りに答弁しただけで、うそはついていない」と釈明するのではなかろうか。

 「秘書が、秘書が」で言い逃れする政治家の姿をこれまで何度見てきただろう。本当に安倍氏は知らなかったのか。にわかに信じられない。仮にそうだったとしても根拠を確認しようとしなかった責任は重い。首相は黒岩氏の指摘に対して「根拠のないことを言うのはうそをついているのと同じだ」と言い切っているのだから。

 権力の私物化と国会での虚偽答弁。「桜」疑惑は民主政治の根幹に関わる問題だ。補塡した資金の出所もまだ解明されていない。「秘書が」で終わらせるわけにはいかない。(専門編集委員)

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