「全部自分でやりたがる」、説明なき「毎日、決断」 「菅流」が直面する支持率低下

「全部自分でやりたがる」、説明なき「毎日、決断」 「菅流」が直面する支持率低下

首相官邸に入る菅義偉首相=東京都千代田区で2020年12月15日午前9時51分、竹内幹撮影

 菅義偉首相が就任して16日で3カ月を迎える。新型コロナウイルスの感染拡大には歯止めがかからず、日本学術会議の会員任命拒否、政治とカネを巡る問題など山積する課題に対し、説明不足の姿勢が問題視される。行政改革や携帯電話料金引き下げなど目玉政策を推し進め成果を上げたいところだが、内閣支持率が急落して政権運営に不透明感が漂う。

「まだ考えていない」が急転 GoTo全国一斉停止に

 首相は14日、旅行需要喚起策「GoToトラベル」事業の全国一斉停止について、首相官邸で記者団に「年末年始、静かに過ごしていただいて、コロナ感染を何としても食い止める。そういう思いの中で、自ら判断した」と語った。

 自身が官房長官時代から進めた政策で、周辺には「GoToを止めたら失業者が増えて、自殺者が増える。止めるわけにはいかない」とまで語っていた。11日の段階でも事業停止は「まだ考えていない」(ネット番組)としていたが、翌12日に新型コロナの新規感染者数が3000人を超え、報道各社の世論調査でも内閣支持率が急落する中、方針転換を迫られた形だ。

 首相周辺は「中途半端は良くない。やるときは徹底してやるのが首相だ」と解説する。首相は9日にジャーナリストの後藤謙次氏と会食した際、「毎日、決断の連続だ」と漏らしたという。この3カ月間で今回のような決断を度々下してきたが、説明不足は否めない。

学術会議の反発「私はかなりなるんじゃないかなと」

 

 日本学術会議の新会員候補105人のうち6人を任命しなかった問題を巡っては、4日の記者会見で「これほどまで反発が広がると思っていたのか」と問われると、「私はかなりなるんじゃないかなというふうには思っていました」とほくそ笑んだ。反発に加え、学術会議のあり方の見直しに及んだことも踏まえた発言とみられるが、野党から厳しく追及を受けた臨時国会では、理由に関し「人事のことなのでお答えは差し控える」と連発。用意された紙を読み上げる答弁に終始した。

 9日には、公明党の山口那津男代表と会談し、政府・与党協議が難航していた75歳以上の医療費窓口負担引き上げについて、対象者を単身世帯で年収200万円以上とすることで合意した。首相はそれまで、年収170万円を強く主張し続けてきたが、会談の冒頭で妥協案を提示して決着をつけた。

ただよう不透明感 「桜」、政治とカネも説明尽くさず

 ただし、いずれの問題でも首相は自身の決断の経緯や理由について説明を尽くしたとは言えず、不透明感が漂っている。

 さらに臨時国会中の11月24日には「桜を見る会」前夜祭を巡り、安倍晋三前首相側がホテルへの費用を補塡(ほてん)していたことが発覚。菅首相も官房長官時代、費用補塡を否定する安倍氏の主張に沿った国会答弁をしていたが、臨時国会では「(安倍氏に)確認して答弁した。事実が違った場合、当然、答弁した責任は私にある」と述べるにとどめ、調査はしない考えを示した。12月1日には、9月の自民党総裁選で菅陣営の選対事務局長を務めた吉川貴盛元農相に対する鶏卵会社からの現金提供疑惑も発覚。「政治とカネ」を巡る問題もくすぶっている。

河野太郎行政改革担当相=長谷川直亮撮影

 自民党の中堅議員は「首相は安倍氏と違って全部自分でやりたがる。安倍氏は人に任せたり譲ったりしていたが、首相は対照的に我を通すタイプだ」と分析する。国民や与野党から納得や理解を得るような説明よりも、一人で決断する「菅流」の手腕と姿勢が問われている。【川口峻、遠藤修平】

「砕」河野氏、行革で摩擦も

 「先駆けとなって氷を割ってスーパータンカーが進めるような、海面を開いていく仕事をやっていきたい」。河野太郎行政改革担当相は15日の記者会見で、自身の「今年の漢字」として「砕」を挙げたうえで、規制改革や行革の推進に改めて意欲を示した。

 首相が就任直後に目玉政策の検討加速を指示した中で最も早く成果が出たのが行革だ。河野氏は首相が掲げた「縦割り打破」の観点から、行政手続きで必要な押印の廃止を全省庁に要請。2カ月後の11月には、1万4992種類の99%超に相当する1万4909種類が廃止の方向となった。

 官房長官時代に「4割下げられる」と発言した持論の携帯電話料金引き下げは、首相の要請に応じる形でNTTドコモが今月3日に20ギガバイトで月額2980円となる新料金プランを発表。値下げの流れができつつあり、首相は11日のインターネット番組で「auもソフトバンクも追随せざるを得なくなる。(料金は)たぶん半分以下になると思う」と期待感を改めて示した。

閣議後記者会見で携帯大手の対応を批判する武田良太総務相=総務省で2020年11月27日午前10時31分、松倉佑輔撮影

 加藤勝信官房長官は15日の会見で菅内閣発足3カ月を振り返り「スピード感をもってという思いで対応してきた」と強調。「働く内閣」を掲げる首相は、目玉政策の実現を急ぎ、1年以内に行われる衆院選で成果をアピールしたいところだ。ただし、成果を矢継ぎ早に上げるのは容易ではない。

 行政のデジタル化を一元的に推進するデジタル庁は、関連法案を来年1月召集の通常国会に提出して成立を目指し、来年9月の創設を予定する。デジタル化を巡っては、河野氏ら関係閣僚がオンライン診療の「原則解禁」に合意したが、日本医師会は「かかりつけ医」からの情報提供もない新規患者は原則初診のオンラインの診療を認めないと主張。河野氏の「脱はんこ」では、はんこ業界や産地と摩擦も生じている。

温室効果ガス実質ゼロにも難題

 首相が打ち出した2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロとする目標の達成も、多くの課題が残る。政府は実行計画を年末までにまとめる方針で、エネルギー基本計画の改定に向けた議論も開始した。再生可能エネルギーの拡大や火力発電の削減に加え、首相が「現時点では想定していない」とする原発の新増設が今後焦点になるのは確実で、難しい対応を迫られそうだ。【田辺佑介】

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