【動画】「桜を見る会」の前日に開かれた夕食会を巡る費用問題。安倍氏の国会での答弁を振り返る

 安倍晋三前首相(66)の公設第1秘書の立件を受け、安倍氏の地元・山口県下関市では波紋が広がった。違法行為に至る背景には何があったのか。

 「法律にも詳しいはずの秘書がどうしてこんな事態を招いてしまったのか。夕食会には私も参加したが、こんなことなら無理に開く必要はなかったのに」

 安倍氏の公設第1秘書、配川(はいかわ)博之氏(61)の立件を受け、長年の支持者の一人はこう残念がった。

 夕食会には、安倍氏の地元から支援者が多数参加し、その数は年々増えていった。

 複数回参加した支援者は、「はじめは顔を見知った人ばかりだった」と覚えている。身近な支援者による身内の会合との性格が強く、古くからの参加者は、「根っからの安倍ファンにとってのイベントだった」と話し、参加のハードルは高かったと振り返る。

 それが、第2次政権が長期化するにつれて後援会活動の色合いが強まり、参加者数は昨春約800人に膨らんだ。会費は5千円だが、参加者が増えた分、地元からは「食べ物は少なく5千円でも高いくらい」との不満が漏れた。

 地元議員の一人は、「政権最後の3年は倍々ゲームのように増えた。子連れもいて、どこの誰だか分からない状況となった。地元の名士の集まりが、単なる後援会の会合になっていた」と指摘する。

収支報告書に不記載「後ろめたいことあるのでは」

 事務所の事情に詳しい関係者は、2次政権の発足直後は事務所も参加者の身元確認を徹底し、知人の参加をお願いしても難色を示されたという。参加者が増えれば費用もかさむためで、「事務所も『差額分を補塡(ほてん)するのはまずい』と分かっていたはずだ」と話す。配川氏への容疑事実となった政治資金収支報告書への不記載について、支持者の一人は「後ろめたいことがあるから隠そうとしたのではないか」といぶかしむ。

 「桜を見る会」や前夜の夕食会は支持者にとって、安倍氏との近さを示すための一種の特権となっていく。「『俺が安倍さんの会に連れて行ってやるぞ』と言いたい支持者に迫られた事務所側が徐々に参加者を増やし、歯止めがきかなくなった」。関係者の一人は夕食会が変質した理由をこう解説する。

 捜査の結果、安倍氏の国会答弁が事実と異なることが明らかになった。自民県議の一人は「『事務所は一切出していない』と言っていたことが違うなら、安倍氏や事務所が責任をもって説明すべきだ」と話す。夕食会の出席者の一人は「補塡の実務は事務方がしたとしても、報告は受けている安倍さんにも虚偽の認識はあるはずだ」と、不起訴処分となった安倍氏の説明に疑問を投げかける。

 一連の騒動について、地元企業の社長は反省を口にした。「安倍さん夫妻と一緒に写真を撮ってもらえる機会なので参加したが、参加する側もやりすぎたのかもしれない」(貞松慎二郎、高橋豪)

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