安倍氏「会場費は寄付にならない」は本当か カギ握るのはホテルの「明細書」

安倍氏「会場費は寄付にならない」は本当か カギ握るのはホテルの「明細書」

参院議院運営委員会で「桜を見る会」前夜祭の費用補塡問題についての共産党の田村智子氏の質問に答える安倍晋三前首相=国会内で2020年12月25日午後4時19分、竹内紀臣撮影

 「桜を見る会」前夜祭の費用補塡(ほてん)問題を巡り、安倍晋三前首相は国会で「補塡は一切ない」などの事実と異なる答弁を繰り返したことを謝罪した。しかし、補塡自体は「『会場費等』に使ったので寄付に当たらず、問題ない」と述べ、新たな論法も披露した。有権者の飲食費を主催者が負担すれば公職選挙法が禁ずる「寄付」になるのは当然だが、会場設営などに要した費用なので「寄付」には当たらないとの主張だ。この新論法は成り立っているのか? 元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士に聞いてみた。【政治部・大場伸也】

旧論法の「非」認める

前夜祭を巡る「安倍晋三後援会」収支報告書の訂正部分

 安倍氏の従来の論法は、「参加者個人が直接ホテルと契約しているので、後援会に収支はなく、政治資金収支報告書にも載せなくていい」というものだった。12月25日の参院議院運営委員会で、新旧の論法に切り込んだのが共産党の田村智子氏だ。「前夜祭の契約主体は、参加者個人ではなく、安倍晋三後援会ということでよろしいですね」と質問した。

 これに対し安倍氏は「契約主体は誰かという認定においては、さまざまな考え方があるが、今回は検察当局の認識に従った。今回の主体は、安倍晋三後援会であるということで、検察側と認識を同じとした」と答弁。従来の論法を撤回し、後援会が契約主体であることを不承不承ながら認めた。

「『会場費』は寄付にならない」と主張

参院議院運営委員会で安倍晋三前首相に質問する共産党の田村智子氏(右)=国会内で2020年12月25日午後4時24分、長谷川直亮撮影

 その場で出たのが新たな論法だ。後援会による補塡分は「会場費等」に使われたので公選法の「寄付禁止」には抵触しない、というものだ。安倍氏は田村氏への答弁で「飲食費等については5000円の会費を徴収している。そしてその不足分を、会場費等だが、私から共有資金の中から立て替えている」と述べた。補塡分は「会場費等」に使われたと強調した。

 これに先立つ衆院議運委で安倍氏は「総務省見解」を論拠とした。「会場費等々については『寄付に当たらない』『利益に当たらない』という総務省の見解がある」「会場費等々の支出があれば、計上することは総務省も認めている」などと述べ、補塡自体は問題なかったとの見解を示した。

 総務省選挙課を取材してみた。「一般論として、後援団体が行事・催事を開催するにあたって、開催場所の確保に要する必要不可欠な費用を開催主体である後援団体が負担することは、公選法の寄付の定義に該当するものではない」との見解だ。「会場借上料」は寄付にならないという。

 ただし、会場費と飲食費がセットとなった場合については「個別の支出が寄付に当たるかどうか、最終的には裁判所が判断することであり、こちらでは判断できない」としている。

郷原氏「会場費だけ切り離せない」

郷原信郎弁護士=東京都港区で2020年6月29日、吉田航太撮影

 専門家の見解はどうだろうか。元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士は「前夜祭は、後援会が飲食費や会場借上料などをセットにした宴会料をホテルに支払っている。参加者も飲食費や会場借上料がセットだと認識して5000円の会費を払った。会場借上料だけを切り離せないことは明らかだ」との見方を示した。「もし宴会料のうち会場借上料だけが寄付から除外されるならば、政治家は会場借上料が高かったことにして高額の飲ませ食わせをすることもできる。そんなことは許されない」という。

 また、「公選法違反を巡り、安倍氏はまるで検察が補塡自体にお墨付きを与えたかのように発言しているが、あくまでも証拠上の問題であり、検察がまったくのシロだと認定したわけではない」と指摘した。

 さらに、「安倍氏が提示を拒んでいるホテル発行の明細書を見れば、費用の補塡が会場費だけではないことがすぐに明らかになる。安倍氏は検察もホテルも絶対に明細書を出さないだろうと踏んで、こんな的はずれの会場費の話を持ち出したんだろうが、苦し紛れの強弁に過ぎない。明細書を出さない限り追及は続くだろう」と語った。

固定費を後日払い?

 たしかに、補塡額をすべて会場費等にあてたという安倍氏の主張は不自然だ。後援会が12月に訂正した2019年分の収支報告書では、前夜祭の会費収入が383万5000円記載され、ホテルニューオータニへの「宴会料等」支出が4月12日に同額記載された。さらに4月19日、別の「宴会料等」260万4908円がホテルに支出されている。

 安倍氏の主張に従えば、会費収入をホテルに渡した4月12日の約383万円は「飲食費等」の支出で、4月19日の約260万円は「会場費等」の支出だったことになる。しかし、飲食費を当日支払い、固定費であるはずの会場費を後日支払ったというのは不自然ではないか。

「明細書」示して立証を

 さらに田村氏が国会で指摘したように、訂正した収支報告書には補塡の「支出」のみが記載され、どこからの「収入」かが記載されていない。そもそも、国会で1年以上前からこれだけ問題になっていたのに、この期に及んで新しい論法を出されても説得力に乏しい。

 あまりにも不可解な点が多い新論法。安倍氏は「国民から見て一点の曇りもないように透明性を確保していく」と約束した。そうである以上、補塡分はすべて会場費等に使ったという証拠を示さなくてはならない。来る通常国会で、ホテルから取り寄せた明細書を示さなければ、「桜」問題はくすぶり続ける。

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