3月25日、板門店の共同警備区域(JSA)の非武装化が42年ぶりに実現
伊勢崎教授は冒頭に、25日に韓国と北朝鮮、国連軍司令部の3者が進めていた板門店の共同警備区域(JS
A)の非武装化が42年ぶりに実現したことを紹介。一方で、現在休戦中の朝鮮戦争に対応するために、日本
と国連との間には今も「朝鮮国連軍地位協定」があり、在日米軍司令部のある横田基地に「朝鮮国連軍後方司
令部」が存在することを指摘し、「もし北朝鮮が開戦しても、わが国には開戦の決定権もない。勝手に決めら
れて、自動的に交戦国になってしまう。そんな国は世界中で日本以外に存在しない」と警告した。さらに、ア
メリカが持つ125の地位協定の中で「日本ほど主権度の低い国はない」として、国際人道法の視点や、他国
の事例と比較しながらその異常性を列挙。日米地位協定を正常化する必要性を強調した。
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朝鮮国連軍(正確には多国籍軍)は、アメリカ軍 を中心に18か国の軍隊から構成され、、、
国連軍地位協定にもとづき、 在日アメリカ軍基地のうち、座間、横須賀、佐世保、 横田、嘉手納、普天間、
ホワイトビーチの各基地は アメリカ軍基地であると同時に、国連軍基地でもあ るのだ。 朝鮮国連軍の存在は
日本にとって二つの点で影 響があるとみなされてきた。
第一に、国連軍として 行動する在日アメリカ軍の朝鮮半島への直接戦闘 行動は、日米安保条約における「事
前協議制度」の 対象外になるとされてきたことである。在日アメリ カ軍の直接戦闘行動は、安保改定時の196
0年1 月に日米両政府間で取り決められた「岸=ハーター 交換公文」にもとづき、核兵器の持ち込みと同様、
日本政府との事前協議の対象となる。しかし、この 時日米両政府間で合意され、長らくその存在が伏せ られ
てきた「朝鮮議事録」(外務省の調査でその存 在が確認されたのは2010年)は、在日アメリカ 軍の行動がアメ
リカ軍としてではなく、国連軍とし ての行動であれば、これを日本政府との事前協議に かける必要はないと
していた。
第二に、在日国連軍基地の使用は、アメリカ軍以 外にも開かれているということである。国連軍地位 協定に
もとづき、在日国連軍基地は上記の11か国 の軍隊が使用することができることになっている。 休戦協定が破
れて朝鮮戦争が再開された場合には、 これら諸国の来援兵力の受け皿となる。ちなみに事 前協議は日米安保
条約に付随する制度であり、アメ リカ軍以外の在日国連軍には適用されないが、朝鮮 戦争が再開された場合
におけるアメリカ軍以外の 在日国連軍の役割は「国連軍地位協定についての合 意された公式議事録」に定め
られているように兵站 支援に限られ、直接戦闘行動はそもそも想定されて いない。
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