「天皇に会わせろ」バッハよ、何様だ IOC委員は小誌に「菅が中止を求めても開催する」

「天皇に会わせろ」バッハよ、何様だ IOC委員は小誌に「菅が中止を求めても開催する」

2021-05-27 05:00

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「五輪のために犠牲を」発言が物議を醸しているIOCのバッハ会長。感染拡大が止まらず、準備不足も取り沙汰される中、それでも今夏開催を譲らないのはなぜなのか。巨額の放映権収入に5つ星ホテルでの宿泊。そして、バッハ会長が日本政府に要求しているのは――。
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IOCに君臨するバッハ会長

“五輪貴族”と呼ばれる男たちから、国民の反発を招く発言が相次いでいる。
 五月二十一日、IOCのジョン・コーツ副会長(71)が緊急事態宣言下でも東京五輪を開催するのかと問われ、「答えはイエスだ」と断言。翌二十二日には、国際ホッケー連盟の総会に寄せたメッセージでトーマス・バッハ会長(67)が、
「東京大会を実現するために我々は、幾つかの犠牲を払わないといけない」
 などと述べたのだ。

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「宣言下でも五輪開催」とコーツ副会長

 七月二十三日の開会式まで、残り二カ月を切った東京五輪。だが、開催都市の東京都には現在、緊急事態宣言が発令されている。
「感染者数は下がりきっておらず、重症者数も都の即応病床数を超えてしまった。宣言は六月二十日まで延長される方向です。米国務省も日本への渡航中止を勧告しました」(政府関係者)
 それでも、断固として五輪開催を主張するバッハ氏やコーツ氏。彼らの“真意”はどこにあるのか。
 小誌は五月二十三日深夜(日本時間)、IOCで四十三年間にわたって委員を務めている最古参委員に単独インタビューを行った。ディック・パウンド元副会長(79)。バッハ氏への直言をも厭わない重鎮だ。

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最古参のパウンド委員

――日本の世論調査では今夏の開催に八割が否定的だ。
「昨年三月、延期は一度と日本が述べたのだから、延期の選択肢はテーブル上に存在しない。日本国民の多くが開催に否定的な意見であるのは、残念なこと。ゲームを開催しても追加のリスクはないという科学的な証拠があるのに、なぜ彼らはそれを無視して、科学的なことはどうでもいいと言うのか。ただ『嫌だ』と言っているだけではないのか。開催したらきっと成功を喜ぶことだろう」
――観客については。
「安全を考えると、観客を入れるべきでない。ただ、率直に言って、世界の九九・五%はテレビや電子プラットフォームで楽しむのだから。観客がいるかどうかは重要ではない」
――しかし、日本ではワクチン接種が遅れている。
「日本は組織化された国なのに、なぜこんなにワクチンの接種が遅いのか。でも、心配する必要はない。接種をしていなくても、マスクや手洗いなどの予防措置でリスクをほぼゼロにすることができる」
――五輪開催、中止の基準はどこにあるのか。
「重要なのは五輪を開催する上で、許容できないリスクがあるかどうか。しかし科学的にすべてはコントロールできる。選手らは日本に来る前に何度も検査を受け、空港に到着した際にも検査をする。健康と安全について心配はしていない」
――日本の首相が中止を決めた場合はどうするか。
「五輪は絶対に開催する。それが私たちIOCの仕事だ。私の知る限り、日本政府は開催を支持しているが、仮に菅首相が『中止』を求めたとしても、それはあくまで個人的な意見に過ぎない。大会は開催される」
パレスホテルのスイートで
 終始滑らかな口調で、三十分間の取材をそう締め括ったIOCの重鎮、パウンド氏。五輪開催の可否を巡って日本には一切決定権はないどころか、中止や延期を求めても無駄だと言っているに等しいのだった。
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菅首相も「IOCには逆らえない」

「IOCが都や組織委員会と結んでいる『開催都市契約』はよく不平等条約と言われますが、巨額のマネーが動く五輪を巡る全ての権限を握るのが、IOCなのです」(運動部デスク)

 そのIOCのトップに君臨するのが、会長のバッハ氏に他ならない。一体、どんな経歴の人物なのか。
「もとはドイツ出身のフェンシングの選手。一九七六年のモントリオール五輪に西ドイツ代表で出場し、金メダルを獲得した」(同前)
 転機は、西側諸国がボイコットした八〇年のモスクワ五輪。バッハ氏は参加を訴えたが、状況は変わらなかった。無力さを痛感したバッハ氏はこう決心する。
「立場を変えることにした」
 ここからバッハ氏は弁護士に転身。高額の報酬を手にしていく。
「アディダスなど大企業を渡り歩き、二〇〇〇年にはシーメンスの顧問弁護士に就任しました。この頃、年約五千三百万円(現レート。以下同)の報酬を得ていた。〇五年~〇九年のフェロスタール社との契約では僅か年二十日の勤務で約千七百万円、さらに海外出張の際には日当約六十六万円を手にしていました」(在独ジャーナリスト)
 法務ビジネスの傍ら、九一年にはIOC委員に就任。〇〇年に四人の副会長の一人に選ばれ、東京五輪開催が決まった一三年九月、会長の座に登りつめた。トップとしての報酬自体は年約二千九百万円に留まるものの、実態は不透明だ。
『オリンピック・マネー』(文春新書)の著者で、ジャーナリストの後藤逸郎氏が指摘する。
「バッハ氏はIOCが設立した財団の理事長や、子会社の社長も兼務しています。一部の子会社からの報酬は『受け取っていない』としていますが、費用弁償の有無など詳細は非公表です。さらに直接の報酬以外に移動はファーストクラスで、スイス・ローザンヌ市にあるパレスホテルのスイートルームを利用してきました」
 そのローザンヌ市に構えるのが、IOC本部。創立百二十五周年を記念した一九年、バッハ氏の陣頭指揮のもと、約百六十億円をかけて新たに建設された。

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スイスのIOC本部

「オリンピック・ハウスと呼ばれ、約二万二千平方メートルのガラス・スチール製の建物です。デンマークを代表する建築事務所が設計を手掛けました。スポーツをテレビ観戦できるレストランやカフェ、五輪の輪を模した螺旋階段もあります」(五輪担当記者)
 その運営資金は、莫大な放映権料とスポンサー収入にほかならない。バッハ氏が会長に就任した一三年から一六年までのIOCの収入総額(公開分)は、約六千百六十億円。その七割強を占めるのが放映権料だ。
「この四年間で、約二千三百億円と群を抜いて巨額の放映権料を支払っているのが、米NBC。同局は一四年ソチ五輪から三二年まで十大会にわたって契約をしており、総額は一兆三千億円にのぼります」(同前)
 他方、コカ・コーラやトヨタ自動車など有力企業からのスポンサー料も、四年間で約千八十億円。ただ近年、大きなウェイトを占めているのが中国企業だという。前出の後藤氏が語る。
「一九年、中国の飲料メーカー蒙牛乳業と契約をします。それまで一業種一社というルールがあり、コカ・コーラが飲料メーカーとして契約をしていました。そのルールをバッハ氏が撤廃し、『乳製品』という枠で、蒙牛乳業と契約をしたのです。契約期間は二一年から三二年で総額三千億円にもなると言われています」
習近平とプーチンにすり寄る
 実は、習近平国家主席とも親しいことで知られるバッハ氏。会長就任後、初の外国訪問先として選んだのも、中国だった。習氏に五輪功労賞を授与したのだ。
「中国はウイグル族などに人権侵害を行っているとして、来年二月の北京五輪開催に反対する声も出ていますが、気にする素振りはない。今年三月には習氏の提案を受け、突如として中国製ワクチンを購入し、参加者に提供する計画もぶち上げました」(IOC関係者)
 バッハ氏が親しい元首はもう一人いる。ロシアのプーチン大統領だ。プーチン氏は、バッハ氏が会長選に勝利した数分後に祝福する電話を掛けてきたという。
「当時ロシアは半年後に控えたソチ五輪で、コスト超過と人権問題を抱えていましたが、バッハ氏はプーチン氏に『信頼している』と伝えました。一六年のリオ五輪では世界ドーピング防止機構が、ロシアが政府主導のドーピング違反を行ったとする報告書を作成。IOCにロシア選手団の参加を認めないよう勧告をしたものの、バッハ氏は参加を認めました」(同前)
 青年時代にはモスクワ五輪のボイコットに涙したバッハ氏だったが、今では逆に習氏やプーチン氏にすり寄っているのだ。
「万一、中止になればIOCは莫大な放映権収入も失います。それだけは避けたい。しかし各国が日本の感染拡大を警戒する中で、習氏らは東京五輪開催を明確に支持している。そうした意味でも彼らの存在は心強いのでしょう」(同前)
 拝金主義が叫ばれて久しいIOC。東京五輪の招致を巡っても“黒いカネ”の存在が指摘されている。招致委員会がコンサルタント契約を結び、二億円超を振り込んだシンガポールの会社の口座から、IOC委員だったラミン・ディアク氏側に三千七百万円が送金されていたことが昨年九月に判明したのだ。

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収賄罪で起訴されたディアク氏

「送金の時期は、招致が決まった一三年九月前後に集中しています。セネガル人のディアク氏はアフリカ票の取りまとめに大きな影響力を持っていました。実際、IOC総会ではアフリカ票の多くが東京に流れたと言われている。フランス司法当局は、この買収疑惑で招致委の竹田恒和理事長(当時)の事情聴取を行いましたが、現在も捜査を続けています」(社会部記者)

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前JOC会長の竹田氏

 カネにまみれていく東京五輪。莫大な放映権収入などを理由にコロナ禍での開催を強く求めるバッハ氏は今、更なる要求を日本政府に突き付けているという。
 それは――。
「とにかく天皇に会わせて欲しい」
 中には王室関係者も含まれるIOC委員。バッハ氏自身は爵位こそ持っていないが、そんな“五輪貴族”のトップに立つ人物だ。
「IOC会長は各国の元首とも“対等”な存在で、天皇陛下と会うのに相応しい立場だと自任しているのでしょう。リオ五輪後の一六年十月にも、現在の上皇、上皇后両陛下に謁見し、金色のメダルを贈呈した。この時はグランドハイアット東京に三日間滞在していますが、宿泊したのは一泊五十万円のスイートルームです」(前出・IOC関係者)

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16年10月には現在の上皇、上皇后両陛下に謁見

テスト大会で“バブル崩壊”
 ただ、現在の天皇に謁見したことはない。それゆえ、五月中旬に来日する予定だった際にも強く謁見を官邸に要求。日程も具体的に決まっていたのだ。
「五月十七日、チャーター便で羽田空港に到着。そのまま広島空港へ向かい、広島県知事・市長と面会します。東京五輪の名誉総裁も兼ねる天皇陛下に拝謁するのは翌日、東京に戻ってからの予定でした。その他、菅義偉首相、小池百合子都知事、丸川珠代五輪相、組織委の橋本聖子会長とも会談。その後、羽田空港から韓国へ飛ぶことが検討されていました」(首相周辺)

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組織委の橋本会長

 緊急事態宣言の発令に伴い、来日の予定は立ち消えとなった。しかし五輪開催直前の七月十二日、再び来日することが決定。そこで改めて官邸に天皇との謁見を要求しているのだ。
 官邸関係者が言う。
「コロナ禍で天皇陛下が海外からの賓客とお会いになるのは稀です。外国の大使でも謁見が認められているのは、離任・新任の際のみ。『密』を避けるため、大使も配偶者を同伴することも少なく、式も簡素化しています。しかもバッハ氏はワクチンを接種済ですが、陛下はまだ接種しておられません。そうした感染対策をどうするのかも問題です」

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天皇と皇后雅子さま

 宮内庁にバッハ氏からの要求や感染対策などについて尋ねたところ、
「正式に決定した事項以外、お答えすることは差し控える」
 安全、安心の大会を開催する――。バッハ氏らの要求に応えるべく、政府はこの言葉を繰り返してきた。
「『バブル方式』を徹底するから大丈夫だ。一般国民が選手や大会スタッフと交わることは絶対にない」
 菅首相は周囲にそう自信を見せているという。「バブル方式」とは選手や関係者を泡のように包み、外部との接触を遮断するシステムだ。五月初旬から始まった各競技のテスト大会でも、このバブル方式が採用されている。ところが、
「札幌で行われたマラソンのテスト大会では、バブルの内側にいるIOC委員のセバスチャン・コー氏と、バブルの外側にいるスタッフが、非常に近い距離で会話をする場面が何度もありました。でも、そこに無症状の感染者がいたらどうするのか。僅か二十人程度のVIP対応でも綻びが見えたのに、約九万人が来日する本番に向けてリスクばかり高まっています」(組織委関係者)
“バブル崩壊”は、陸上の大会だけではない。
「水泳の大会では、選手らが指定された箇所以外のトイレに入るトラブルも起きました。バレーのテスト大会では、そもそも移動の際にはバブル方式が実施されず、中国選手団が成田空港のロビーで一般客に交じっていました。結局、バブル方式は机上の空論で、完全な対策は不可能に近いのです」(電通関係者)
 演出責任者の相次ぐ交代で混乱を重ねてきた開閉会式。そのリハーサルも急ピッチで行われているが、キャストの一人はこう嘆く。
「百人以上のキャストが東京や千葉の会場で練習してきました。緊急事態宣言で一カ月ほど中止していましたが、組織委からの強い要望で先週から密かに練習を再開している。何より問題は『キャストのPCR検査をして欲しい』と組織委に要望しても無視され続けたこと。普段の舞台でもPCR検査くらいはしてくれるのに……。その後ようやく電通主導で検査をすることになりましたが、不十分な感染対策に不安を抱き、辞めたキャストもいます」
 組織委の回答。
「(テスト大会は)政府から示された防疫措置を講じた上で、適切に対応しております。(開会式の練習は)検査の実施を含め安全対策をしっかり講じた上で、再開することとしました」
 バッハ氏や首相の掛け声とは裏腹に「安全、安心な大会」に黄色信号が灯っている東京五輪。開催には更なるリスクがある。
「インド変異株です」
 小誌の取材に、そう警鐘を鳴らすのは、京都大学大学院の西浦博教授だ。
「日本に入ってきているインド変異株は、主にB.1.617.2と呼ばれる変異です。より細かな分析が必要ですが、現在日本で流行している英国株の一・五倍の感染力があると言われている。従来株に比べて英国株は約一・五倍の感染力がありますから、インド変異株の感染力は従来株の二・二五倍ということです」
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西浦教授はインド株に警鐘を鳴らす

 英国株の感染が大阪府で本格的に広まってきたのが今年二月。ほぼ置き換わったのは四月の直前だった。
「英国株が従来株に置き換わるまで約二カ月。インド株の感染力を考えると、本格的に広がってから二カ月弱で英国株から置き換わると考えられます」(同前)
 日本で確認されているインド株は百七十一例(五月二十四日時点)。だが英国株のようなスクリーニング検査ではなく、ゲノム解析で判別できた事例のみの値だ。五月二十四日には都内でインド株のクラスターも確認されている。インド変異株が広範に広がっていたとしたら、五輪の開会式の時期には、感染力が強いインド株に置き換わっていることにもなりかねない。
「緊急事態宣言下での五輪開催は絶対に避けるべきです。しかし、このまま放っておくとズルズル行ってしまう。そのうち、感染しても出場可能などと言い出しかねない。そうした状況でもIOCにモノが言えないとすれば、政府には絶望します。もちろん宣言が解除されても、五輪の可否についてはインド株の感染状況を慎重に見極めていくべき。宣言が解除されれば、一気に増えていく可能性もありますから」(同前)
(以下省略:乞本誌参照)
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