〈徹底検証〉ワクチン遅れ 元凶は安倍晋三 回避するチャンスは4回あった

〈徹底検証〉ワクチン遅れ 元凶は安倍晋三 回避するチャンスは4回あった

2021-06-03 05:00

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コロナワクチンの接種完了は国民の2%。2カ月前に開始できていれば、11兆円のGDPが失われずに済んだ。「ワクチンができるから五輪延期は1年でいい」。“根拠なき楽観”の官邸に、我関せずの無責任大臣。ワクチン敗戦は人災だった――。

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活発に活動する安倍前首相

 一年前の六月十四日。安倍晋三首相(肩書きはいずれも当時)はネット番組で、新型コロナへの対応について饒舌に語っていた。
 三月にコロナに感染した野球解説者の梨田昌孝氏が、「ワクチンができてくればいいんでしょうけど」と語る。その言葉に、安倍首相が敏感に反応した。
「日本でも、開発研究を進めています。アメリカではモデルナ社がスピード感をもって進めている。すごく早ければ年末くらいには接種できるようになるかもしれない。アストラゼネカも、スピード感をもって開発が進んでいる。日本は、それぞれ交渉をしておりまして、完成した暁には確保できるように交渉しております」
 この発言は、ある意味で正しかった。ファイザーがワクチンの開発にいち早く成功し、米英では十二月に接種が始まったのだ。日本で医療従事者への先行接種が始まったのは二月中旬。米英の接種開始から、二カ月余が過ぎていた――。
接種率と経済成長に相関関係
 日本でもようやく本格化しつつあるワクチン接種。五月二十八日の会見で、菅義偉首相は当面のコロナ対策を「感染防止とワクチン接種という二正面作戦」として、打ち手の拡大により「六月中旬以降は(一日)百万回に対応する体制ができてくる」と強調した。

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菅首相

「菅首相はいま“ワクチン躁”状態。五月十五、十六日に二日連続で、麻生太郎副総理の甥・麻生巌氏と、桜十字グループの西川朋希代表と面会しました。西川氏が経営する病院では、インフルエンザワクチンの中小企業への集団接種を請け負っている。菅首相はこれからコロナワクチンの企業への集団接種を進めようとしており、西川氏の話に『これは使える』と飛びついた。それで、十五日に面会した翌日、自ら河野太郎ワクチン担当相に引き合わせたのです」(首相周辺)
 自衛隊を動員した大規模接種会場の設置や、接種を請け負う医師の診療報酬引き上げなど、あの手この手で接種のスピードアップを図る菅首相。こうした対策によって、六月には一部で高齢者以外の接種も始まる見通しだとされる。
 だが冷静に検証してみると、現在のスケジュールは、当初のワクチン戦略から大幅に後退している。
「菅首相は今年一月時点では、四月末までに全国民へのワクチン接種の目処をつけ、GWには自身の肝いり政策である“GoTo”を再開させる計画でした。しかし、ワクチン接種のスケジュールが狂ったことで、感染拡大に歯止めがかからず、四月下旬に三度目の緊急事態宣言発令に追い込まれました」(政治部デスク)
 日本のワクチン接種率は、世界最低水準だ。英統計専門サイト「Our World in Data」によれば、ワクチン接種が完了した人の割合は、アメリカが約四〇%、イギリスが約三六%なのに対し、日本はわずか二・四三%。主要先進国G7でも最下位だ(五月末)。

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 ワクチン接種の遅れは、日本経済に暗い影を落としている。例えば、十二月二十四日に接種が開始され、接種完了率が世界第二位のチリでは、二一年一~三月期の実質GDPが前年同期比〇・三%のプラス成長。同じく十二月に接種が始まった同三位のアメリカは六・四%のプラスと、経済の回復ぶりが見て取れる。一方、ワクチンで遅れを取った日本は、マイナス五・一%に沈んでいる。
 第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏が語る。
「ワクチン接種が進めば国民の活動が再開し、サービス消費の回復が本格化する。そのため、ワクチンの接種率と主要先進国の経済成長の見通しには、はっきりと相関関係が見て取れます」
 永濱氏によれば、この二カ月のワクチンの遅れが経済に与えた影響は、天文学的な数値となる。
「この関係から試算すると、日本で英米並みに接種が進んでいたとすれば、二一年のGDP予測は現状の見通しより約十一兆円増えると推計できます」
 経済の回復を妨げ、三度目の緊急事態宣言を招いたワクチン接種の致命的な遅れ。小誌は今回、昨年二月以降の安倍、菅政権のワクチン対応を徹底検証した。その結果、見えてきたのは“四つの分岐点”だった――。
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(1)2020年4月 国産ワクチンの予算が……

 日本で新型コロナが猛威を振るい始めたのは、昨年二月。大型クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号での集団感染が問題になったころだ。翌三月になると、夏の東京五輪の開催が危ぶまれるようになった。
 三月二十四日。安倍首相は、IOCのバッハ会長との電話会談に臨んだ。この三十分前、安倍首相は密かに首相公邸に森喜朗五輪組織委会長を呼び寄せていた。
 安倍首相が森氏に告げたのは、五輪の「一年延期」を提案する考えだった。
「二年にしておいたほうがいいのではないですか」
 懸念する森氏に、安倍首相はこう告げたという。
「ワクチンの開発はできます。日本の技術は落ちていない。大丈夫」
 安倍首相が意図したのは「国産ワクチン」に他ならない。これによって五輪は一年延期で十分可能になると判断し、バッハ会長の同意を得たのだった。

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アベノマスクに注力していた頃の安倍氏
 確かにこのころ、既に国内企業はワクチン開発に着手していた。
「三月五日には、大阪のベンチャー企業・アンジェス社が、大阪大学と共同で新型コロナのワクチン開発に着手したことを発表しました。同社の創業者・森下竜一氏は安倍首相のゴルフ仲間です。森下氏は会見で『半年で臨床試験が出来る』と豪語し、加藤勝信厚労相や萩生田光一文科相とも連絡を取っているとして産学官の連携をアピール。加えて、塩野義製薬や第一三共といった大手も開発に乗り出しました」(厚労省担当記者)
 だが周知の通り、目下日本は米ファイザー、米モデルナ、英アストラゼネカの海外三社のワクチンに頼るしか手がない。
「国産ワクチンの開発は大幅に遅れました。現時点で最も早いとされるのは塩野義製薬で、『年内の供給開始を目指す』としていますが、海外製のワクチンの普及が進んだことで、かえって治験が難しくなってしまった。既に有効性が確かめられたワクチンがあるのに、未承認のワクチンを打つのに協力してくれる人を集めるのは困難です」(同前)
 何が勝敗を分けたのか。
「安倍首相が開発支援のために投じた予算は、世界水準には到底及ばないものでした。四月七日、安倍政権が一次補正予算を閣議決定しましたが、総額約二十五・五兆円のうち、“GoTo”事業には約一・六兆円の予算を計上。安倍首相がご執心だったアビガンの確保にも百三十九億円を投入。一方で、国内ワクチン研究費に割かれたのは、たった百億円でした」(同前)
 米国では、トランプ大統領がジョンソン・エンド・ジョンソンに約四百五十六億円(三月)、モデルナに約四百八十三億円(四月)と次々に支援。五月には国内ワクチン開発を加速させる「ワープ・スピード作戦」と銘打って、関連予算を含めてまずは総額一兆円以上をつぎ込むとぶち上げた。英国でもアストラゼネカに約一千二百億円という大規模な開発資金が投じられている。
 対する日本では百億円が複数の事業者に分配されるため、一事業者あたりの最高額はアンジェスの二十億円。その後、五月下旬に閣議決定した二次補正でワクチン開発に五百億円の予算が追加されたものの、彼我の差は余りに大きかった。
 第一三共のワクチン開発に関わる、東京大学医科学研究所教授の石井健氏はこう指摘する。
「米国や英国では予算規模が突出しているのに加えて、開発したワクチンは国が買い取ることになっています。一方、日本にはそうした体制がないため、昨年三、四月ごろはワクチン開発に後ろ向きの企業も多かった。さらに米英では、開発に伴う手続きの規制緩和や工場建設、原料の確保、臨床試験に協力してくれる近隣国との交渉にまで、政府が乗り出している。こうした国家レベルでの支援の有無が、開発のスピードに大きな影響を及ぼしているのです」
 今年六月一日、菅首相は国産ワクチンの開発・生産体制強化に向けた新国家戦略を閣議決定した。トランプ大統領の「ワープ・スピード作戦」から、すでに一年が経っていた――。
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(2)2020年7月 ワクチンの国際共同治験に入れず

 国産ワクチン開発がダメなら、海外ワクチン活用の手立ては講じられたのか。
「ファイザーは昨年七月末、四万人規模の治験を開始し、十一月に結果をまとめた。それをもって、イギリスは十二月二日、アメリカは同十一日に緊急使用許可を出しました。しかし、ファイザーが日本国内での治験を始めたのは十月二十日。わずか百六十例の日本人を対象としたものですが、日本では治験に煩雑な手続きが必要で、時間がかかる。ようやくデータが提出されたのは、治験開始から三カ月後の一月二十九日のことでした」(前出・記者)
 国内治験のデータが必要とされたのは、人種によって、ワクチンの有効性や安全性が異なる可能性があるためだ。当然、安全性の確認が疎かであってはならないが、日本人のデータをもっと早期に得る方法は、他になかったのだろうか。
 厚労省幹部は、小誌の取材にこんな本音を吐露した。
「国際共同治験に入っておけばよかった……」
 国際共同治験とは、複数の国や地域で同時に行われる治験のこと。ファイザーの場合は、アメリカ、ドイツ、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカ、トルコの六カ国で、共同で行われた。この国際共同治験に日本も参加できれば、十一月にはデータを得られ、迅速に使用開始できたはずだ。
 幹部はこうも悔やんだ。
「もし日本で(共同)治験を行うのが難しければ、アメリカ在住の日本人を(現地で)治験に組み込んでもらうなど手立てはあった」
 では、国際共同治験に参加するためには、どうすればよかったのか。興味深い前例がある。
「実は安倍首相は治療薬について、トランプ米大統領から国際共同治験への参加を引き出していたのです」(官邸関係者)
 昨年三月十三日。安倍首相は、トランプ大統領との電話会談に臨んでいた。
 厚労族としての自負が強い安倍首相は、治療薬について早くから独自に研究を重ねていた。この会談でも、安倍首相が治療薬についてこう語り出した。
「日本にはアビガンという薬がある。日本で治験を始めている」
 賛辞を送るトランプ大統領。安倍首相は続けた。
「レムデシビルという薬もある。これは米国の製薬会社が開発したものだ」
 するとトランプ大統領はこう応じた。
「そうなのか! では、日米で共同治験をやろう」
 こうしてレムデシビルは日米での共同治験を経て、五月七日に日本で特例承認されたのだった。
 翻って、ワクチンではどうだったか。
「五月八日に電話で行われた日米首脳会談で、トランプ大統領はワクチンについて、開発が順調に進み、十四種類の候補があると明かしました。しかし、ここで国際共同治験について触れられることはなかったようです」(前出・官邸関係者)
 安倍首相は発症や重症化を防ぐワクチンよりもむしろ、治療薬であるアビガンばかりに血道を上げていた。
「安倍首相は厚労省に自ら連絡をして『アビガンはいつ承認されるんだ』とプレッシャーをかけていた。厚労省が五月十二日、コロナ治療薬の承認審査について『一定の有効性や安全性が確認できれば、治験データの提出は後からでも良い』と基準を緩和したほどです。一方、ワクチンについては三月にアンジェスが会見をする前後から官邸が承認のスケジュール感などの情報収集をしていたものの、予算はアビガン優先で“アベガン”と揶揄されるほどの熱の入れようだった。厚労省幹部も『官邸の優先順位はどうなっているんだ』と冷ややかでした」(厚労省関係者)
 安倍首相がとことん拘ったアビガンは、いまだ有効性が実証されず、承認には至っていない。その情熱がワクチンにも向けられていれば……。安倍首相は、根拠なきアビガン一点買いで事態を楽観視し、海外ワクチンの活用に“政治主導”を発揮することはなかった。
(3)2020年夏以降 加藤厚労相、ファイザーと交渉進めず
 日本は、ワクチンの承認ばかりではなく、確保における交渉でも、ことごとく後手に回った。
 昨年七月三十一日、厚労省はファイザーとワクチン供給の基本合意を交わす。二一年六月末までに六千万人分を確保するという内容だった。
 前出とは別の厚労省幹部はこう振り返る。
「六月の時点で、ファイザーだけでなくアストラゼネカ(六千万人分)やモデルナ(二千万人分)とも仮契約が取り交わされ、日本人全員分のワクチンを確保した。その素早い動きに『やった!』と思ったが……」
 その慢心があったのか、その後、ファイザーとの交渉は停滞。正式契約は今年の一月二十日までずれ込んだ。さらに、基本合意では「二一年六月末までに六千万人分」だったのが、正式契約では「二一年中に七千二百万人分」と、供給時期が大きく後退したのだ。夏以降、交渉の現場で一体何が起こっていたのか。
 厚労省で製薬会社との交渉を担ったのは、健康局の予防接種室だ。
「昨年の春先から各国の製薬会社がワクチン開発に取り組みだしたのですが、予防接種室ではそれらを逐一リサーチし、第一相試験という臨床試験を始めた企業には全てアクセスしていました。それが、六月の全国民分の仮契約に結びついたのでしょう。ただ、予防接種室の業務はこうした交渉のみならず、接種体制の整備など多岐にわたる。にもかかわらず、十二月ごろまで人員の大幅な増強が無く、キャパオーバーだった。政治の責任で、もっと早く体制を強化すべきでした」(前出・記者)
 昨年十二月になって、ようやく交渉の停滞に気付いたのが、菅首相の懐刀・和泉洋人首相補佐官だった。
「この時点でようやく正式合意に向けた文案を目にした和泉氏でしたが、『×月までに×回分を供給』という具体的なタイムスケジュールのない契約だったことに驚愕したのです。これでは二一年のいつ供給されるか見通しが立たない。このとき厚労省はファイザーの日本法人と交渉をしていましたが、和泉氏は米国のファイザー本社に働きかけなければダメだと判断。外務省の秋葉剛男事務次官に相談の上、菅首相に『杉山晋輔駐米大使を使っては』と進言した」(同前)

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和泉首相補佐官

 二一年の年明け――。秋葉氏が、米国の杉山氏に国際電話をかけた。
「総理の指示です」
 杉山氏は、トランプ政権で厚生長官を務めていたアレックス・アザール氏とゴルフ仲間だ。そのことを知っていた秋葉氏は、杉山氏ならアザール氏を通じて、ファイザーのアルバート・ブーラCEOに働きかけることができると考えたのだ。
 アザール氏の仲介により、一月七日の午後六時半、杉山氏とブーラ氏との電話会談が実現。早期供給を求める杉山氏に、ブーラ氏は「日本の首相がそう言っているのか」と言って、前向きな検討を約束。その後の交渉は、一月十八日に就任した河野ワクチン担当相に引継がれ、なんとか二月十二日に第一便となる約三十八万回分を受け取った。
 前年七月末の基本合意から、約五カ月間も進捗がなかったファイザーとの交渉。長らく交渉を現場に任せきりにしていた厚労省だが、九月までその大臣を務めていたのは、加藤勝信氏だ。

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加藤官房長官

「加藤氏は元大蔵官僚だけあって頭は切れるが、究極の“事なかれ主義”。厚労大臣としてコロナ対策で主体的に動いたことは殆ど無く、安倍首相のアビガン活用の指示などに淡々と従っていた」(前出・デスク)
 だが実はこの加藤氏、アザール氏とはコロナ前から国際会合でたびたび顔をあわせてきた仲。加藤氏のブログにも、一八年五月と九月の二度にわたり、アザール氏とのツーショットが誇らしげに掲載されている。

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アザール氏と加藤氏(加藤氏のブログより)

「アザール氏も杉山氏とのゴルフの際に、加藤氏のことを話題にしていたそうです。ワクチン確保の進捗状況の確認は厚労大臣として当然の責務。それを怠り、アザール氏との人脈も“宝の持ち腐れ”だった。当事者意識が欠如していたとの批判は免れない」(同前)
 さらに、部下たちにも問題があった。当時、加藤厚労相を支えていた橋本岳厚労副大臣と自見英子(はなこ)厚労政務官。小誌が昨年八月六日号で〈厚労副大臣と政務官が溺れるコロナ不倫〉と報じた二人だ。二人は基本合意の直前、七月十日から二十二日の約二週間で、少なくとも五回にわたり退庁後の密会を繰り返していた。レストランでワイングラスを傾け、橋本氏が夜、自見氏の暮らす参院議員宿舎に入り、翌朝、午前四時前に帰宅したこともあった。
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昨夏の不倫報道後、離婚した橋本氏
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自見氏
「二人は現場の指揮をとるために一緒にダイヤモンド・プリンセス号に乗り込んだ際に仲を深めたようです。下船後の二人は、PCR検査の拡充などに奔走しており、ワクチンを気に掛けている様子はなかった」(前出・厚労省関係者)

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昨年7月、デート中の2人

 その後、九月に発足した菅政権下では、ワクチン関連の舵取りを、もう一組の“不倫カップル”が担った。
「和泉補佐官と、“コネクティングルーム不倫”のお相手である厚労省審議官・大坪寛子氏です。大坪氏は子ども家庭局の担当ですが、昨年十月十二日付で『災害対策担当』という担務も加わりました。そのころから、『ワクチンのことで』と言って、堂々と官邸に出入りしています」(同前)

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大坪審議官

 大坪氏は周囲に、「一人で五人分の仕事をしている」と豪語しているという。
「年明けからは、ワクチン業務を担う予防接種室に大坪氏の席が用意されました。席次表には大坪氏の座席が、室長よりも大きなサイズで記載され、河野ワクチン相とともにファイザーとの交渉も行っている」(同前)
“我関せず”の無責任大臣に二組の不倫カップル。彼らが交渉に専心しなかったことが海外ワクチンの承認ばかりか“確保”にまで影響を与えた可能性が高い。
 菅首相は最近、ファイザーとは基本合意がされた以上、いつでも手に入ると甘く見ていたと悔やみ、「もっとしっかりやっておけばよかった」と周囲に漏らしているという。
(4)2020年10月 菅首相、薬機法を改正せず
 見てきた通り、ワクチン遅れは、「国産ワクチンの開発の遅れ」「海外ワクチンの承認の遅れと確保の遅れ」など、安倍政権時代からの不作為の連続の帰結である。では、後継の菅首相に為す術は無かったのか。
「菅首相は就任当初から『アビガンよりワクチンだ』として、ワクチンの重要性を強調していた。一方で、いま菅首相が最も問題視しているのは、日本ではワクチンの承認に時間がかかることです」(前出・首相周辺)
 和泉補佐官も、小誌の直撃にこう答えた。
――日本のワクチン接種が、世界的にも遅い。
「それは承認が遅れたの」
――承認だけでなく、ファイザーからの調達も遅れたのでは。
「承認が遅れたら調達してもしょうがないでしょ。使えないんだから。承認はどうしても、日本でなかなか治験ができなかったから」
 官邸中枢が最も問題視する、承認の遅れ。(2)で詳述したように、日本では承認審査に国内治験のデータの提出が求められ、そのデータ収集に時間を要した。結果、ファイザーのワクチンは、申請から承認決定までにかかった期間は約二カ月。モデルナは約二カ月半、ごくまれに血栓の症状が見られたアストラゼネカは約三カ月半かかっている。
 その点、米国では治験データが揃っていなくても緊急的に使用を許可する『EUA』という制度がある。十一月九日にファイザーの国際共同治験のデータがまとまると、十二月十一日には同許可が下りた。わずか一カ月だ。
 菅首相は承認審査について「三カ月もかかるんだから、仕方ねえだろ」と苛立ちを見せつつ、いまになって、海外のような緊急使用許可の必要性を痛感しているようだ。四月二十三日の会見でもこう述べた。
「海外は国内治験を必要としない国が殆どだが、日本は国内治験を必要とする仕組みになっている。緊急事態の法律を変えないといけない」

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4月の訪米前にワクチンを接種した菅首相

 だが、千載一遇のチャンスが昨年十月にあったことには決して触れようとしない。それは「審査について定めた薬機法の改正だ」(前出・デスク)という。
「昨年十月に招集された臨時国会で、薬機法の改正を行っておくべきでした。菅首相は今になって、来年の通常国会で、薬機法改正法案の提出を目指すと宣言しています。来夏には参院選もあるため、菅首相にとっては選挙対策の意味合いもあるんでしょうね」(同前)
 実際、昨秋の臨時国会では、コロナワクチンで健康被害が起こったときに企業の損害賠償を国が補償するため、予防接種法の改正が行われている。これはファイザーをはじめとした製薬会社との契約を見据えたものだった。この時点で承認審査の問題にも気付いていれば、薬機法改正を推進することは可能だった。
(以下省略:写真などと共に週刊文春を御覧下さい)
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