【案内状入手】岸田お膝元でも有権者買収疑惑――公明党現職閣僚の選挙でカネが、茨城と同じ手法

【案内状入手】岸田お膝元でも有権者買収疑惑――公明党現職閣僚の選挙でカネが、茨城と同じ手法

2021-11-25 05:00

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ウグイス嬢、県議・市議など100人を買収し逮捕・辞職した河井元法相。その選挙区を自民党は公明党の斉藤鉄夫国交相に譲り、岸田首相も自ら応援に入って与党は死守する。だが、ここでも演説会に出席すると――。
「茨城六区の買収疑惑を報じた週刊文春の記事を読んで、『これは広島も一緒じゃ』と。ホテルグランヴィアの演説会に社長が参加した際、トラック協会の支部から旅費名目で約五千円をもらったそうです。社長は『斉藤さんが好きで参加するならいいけど、お金をもらうのはどうなんかなぁ』とこぼしていました」
 小誌の取材に匿名を条件にそう明かすのは、広島市安佐北区に拠点を置く運送会社の関係者である。
 小誌は十一月十一日発売号で、岸田首相の応援演説を巡る「集団買収」を報じた。茨城六区の国光文乃議員を支援する「茨城県トラック協会」が設立した任意団体「茨城県運輸政策研究会」が、岸田氏の演説に参加した有権者に日当五千円を支払っていたのだ。報道後、政策研究会側は、合計二十一人に日当五千円を支払ったことを認めている。
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茨城での買収を報じた小誌記事
「国光氏は岸田派の二回生議員。十一月十八日、東京地検特捜部に有権者買収の疑いで刑事告発されましたが、この日開かれた岸田派の総会は欠席していた。本人は周囲に『私は全く知らなかった』などと漏らしています。ただ、国光事務所が作成した文書も動員に使われており、『全く知らない』との言い訳は通用しません」(政治部デスク)
 そして、茨城と同じ手法が、岸田文雄首相のお膝元・広島でも使われていたと証言するのが、冒頭の運送会社の関係者だ。
「しかも、うちは広島三区ですから。夫妻で買収事件を起こした河井さんの選挙区です。これはまずい話じゃなぁ、と……」
 先日、公職選挙法違反での実刑判決が確定した河井克行元法相。公明党が「支持者が事件に嫌気が差している」と広島三区に擁立したのが、比例中国ブロックで当選していた斉藤氏だ。
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斉藤氏
「河井氏は妻・案里氏の参院広島選挙区で、ウグイス嬢に法定上限の二倍となる日当三万円を支払ったほか、地元県議や市議ら百人に現金約二千八百万円を配りました。岸田氏も昨年の総裁選では『言語道断の買収劇だ。強い怒りを覚える』と厳しく批判していた。そこで今回の衆院選では、自民党は候補者を擁立せず、斉藤氏を支援することになったのです」(同前)
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有罪となった河井氏と案里氏
 その斉藤氏は一体、どんな人物なのか。広島県・修道高校を卒業後、東工大の大学院で博士号を取得。清水建設に入社した。
「同社に在籍しながら、米プリンストン大学で客員研究員を務めたインテリです。普段は人を褒めない麻生太郎副総裁が『IQが二百もあるし、能力が高い』と言うほど。初当選は中選挙区時代の九三年、旧広島一区からで、岸田氏とは同じ選挙区での当選同期にあたります。その後、環境相や党幹事長などを歴任してきました」(自民党幹部)
 だが、広島三区での戦いは決して楽ではなかった。八月の自民党調査でも、立憲民主党の候補にリードを許すなど苦戦。そこで、岸田氏と公明党は“異例の人事”に打って出た。
「公明党の人事は二年に一回行われ、本来なら来年に当たります。赤羽一嘉前国交相の留任が既定路線でしたが、比例区から鞍替えした斉藤氏を入閣させ、ゲタを履かせたのです」(同前)
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公明党の山口代表
〈旅費をお渡ししますので〉
 衆院選公示直前の十月十七日、斉藤氏を直撃すると、こう答えていた。
「特に(山村地帯の)郡部で、保守系の方で『選挙に行かん』という人もいます。都会部でも、かなり冷たい視線を感じることもある。『もう与党は信用せん』と。(被買収人の県議や市議には)一切近寄っていない。事件と関係のない人にしか応援してもらってないので、そこが弱いところ。(岸田首相は)『応援に行く』と言っていますから、そこは非常に期待しています」
 事実、岸田首相は十月二十日、広島三区に入り、こう応援演説を行った。
「クリーンでまっすぐで、皆さんの期待に応えてくれる政治家が斉藤鉄夫さんだ」
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首相が応援に(公明党HPより)
 さらに、投開票日を九日後に控えた十月二十二日夕刻。広島駅直結のホテルグランヴィア広島で開催されたのが、斉藤氏の個人演説会だった。
「大逆転させて下さい!」
 千二百人まで収容できる県内最大規模の宴会場「悠久」で、そう声を張り上げた斉藤氏。会場には、斉藤氏と当選同期にあたる茂木敏充外相(当時)も姿を見せ、こう訴えていた。
「自公協力の最も象徴的な選挙区であります」
 結果、斉藤氏は小選挙区での勝利を果たし、十回目の当選を決めたのだった。
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岸田夫人も出陣式に登場(公明党HPより)
 しかし――。
 小誌の手元に、一枚の案内状がある(下写真参照)。名義は〈斉藤てつお事務所〉。本文には以下のように記されている。
〈このほど下記の通り、「個人演説会」を開催する運びとなりました。時節柄、ご多用中とは存じますが、万障お繰り合わせの上、何卒ご出席を賜りますようご案内申し上げます〉
 十月二十二日、ホテルグランヴィア広島。茂木氏らが登壇した個人演説会だ。
 これだけなら一般的な案内文だ。しかし重大な問題を孕(はら)むのは、〈ご案内〉の末尾に達筆に手書きされた次の一文である。
〈各位 当日受付近くで広島北支部のA(注・原文では実名)が旅費をお渡ししますので受付前に対面できる様ご配慮願います。〉
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斉藤事務所の案内状
 この手書きメモの右下には〈広島北支部事務局〉と明記されている。すなわち、斉藤氏の個人演説会に参加すれば、〈広島北支部事務局〉なる組織が旅費を手渡すことを意味する。
人集めに苦労していた斉藤氏
 公職選挙法に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が解説する。
「民主主義の健全な発達を目的にした公選法では、選挙運動で金銭を支払うことができるのは、事前に登録したウグイス嬢など一部の選挙運動員に限ると厳格に定められています。つまり、例外を除き、有権者・運動員ともに原則金銭を配ってはいけない。当選させる目的で金銭を支払っていれば、有権者買収に当たります」
 国光氏の例では、茨城県運輸政策研究会が岸田首相の応援演説に参加した有権者に日当五千円を支払ったとして、有権者買収の疑いで刑事告発されている。
 果たして、斉藤氏のケースはどうなのか。
 内情を知る広島県トラック協会関係者が言う。
「国光氏の選挙では、茨城県トラック協会が設立した『運輸政策研究会』が参加者に〈日当〉を支払っていたようですが、斉藤氏の選挙でも、広島県トラック協会が設立した任意団体『広ト協政策研究会』が〈旅費〉を支払うことを約束していました。茨城の例と同じく、研究会は、与党議員に対し、高速道路料金値下げなどの陳情を行う協会の“政治部門”で、会長や所在地は協会と同一です」
 問題の案内状には、〈広島北支部事務局〉〈北支部のA〉と記されていたが、
「研究会は県内に十の支部があり、広島三区の場合、主に『広島北支部』に広島市安佐北区と安佐南区、山県郡、『北備支部』に安芸高田市が所属している。Aさんは長年、北支部に勤める女性職員で、実務を取り仕切っています」(同前)
 県トラック協会会長を務めるのは、大手運送会社・福山通運の小丸成洋社長だ。
「小丸氏の父、故・法之元社長は、首相の親族で最側近の宮沢洋一参院議員の後援会長を務めました。法之氏は一七年、岸田首相にも三十万円の個人献金を行っています」(県連関係者)
 協会本部の所在地には、広島県選管に登録された政治団体「広島県トラック経営研究会」に加え、「自民党広島県トラック支部」も事務所を置き、いずれも小丸氏が会長を務める。
 収支報告書を確認すると、経営研究会が一七年に岸田氏の小選挙区支部に二十万円の献金を行っているほか、トラック支部なども含めると、自民党議員や広島県連に対し、一七年からの三年間で四百八十万円を 超える献金を行っている。
 つまり、広島県トラック協会や関連団体は、自民党と極めて近い組織。しかも、斉藤氏が大臣を務める国交省は運送事業を所管しているのだ。
 では、実際に旅費は支払われたのか。県トラック協会の会員は今年三月末時点で千七百社を超える。そのうち、北支部に所属する会員は百七十二社だ。小誌はその大半にアプローチを試みた。だが、茨城六区の事例を有権者買収として報じた直後だけあって、会員らは一様に口が重い。
 それでも――。
 冒頭のように、運送会社の関係者が「社長が約五千円を受け取った」ことを語るのだった。
 さらに、選挙区内の別の運送会社関係者も次のように証言する。
「実際、グランヴィアの演説会に参加した人は、宴会場の前に到着すると、飲食店の“順番待ち”の際に書くような紙に記帳をした上で、四千数百円の旅費を受け取ったそうです」
 なぜ、斉藤氏の個人演説会では旅費を支払おうとしたのか。
「河井さんのイメージが悪いこともあって、斉藤さんは選挙戦に必死だった。トラック協会に所属する小さな企業まで頻繁に訪ね、『よろしくお願いします』と頭を下げていました。それでも、演説会の人集めには苦労していたようです」
 そう明かすのは、安芸高田市の運送会社役員だ。
「グランヴィアでの演説会の前日、安芸高田市で演説会を行いましたが、動員をかけたにもかかわらず、聴衆は五十人ほどしか集まらなかったのです。ところが、グランヴィアの演説会では旅費ももらえると書いてあった。そうしたこともあって、多くの参加者が集まったのでしょう」(同前)
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問題の個人演説会(公明党HPより)
 河井氏の汚職事件の舞台となった広島三区。現職閣僚が出馬したその地で、再び有権者買収が行われていた疑いが浮上したのである。
(写真・続きは週刊文春をご覧ください)
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