自由自立・平等平和は一切の願い:歴史の流れ

これは焚書を待つ一冊の本である

「永世中立を目指し、琉球との間で非武装の同盟を締結することを提案します」

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これは焚書を待つ一冊の本である、、、

われわれは生まれながらの善良な公民でもなければ、高貴な王者の一族でもない。
窮況に迫られて、美徳と技術を学んだ。
窮況に追い込まれたことは、われわれをして世界に立ち向かわせた。
かくして、善に向かうよう迫られた、、、

市民社会を足場とする台湾独立運動家は、民族自決、民主、人権、平和、そして環境保護の
共通理念に基づき、米軍基地撤廃、琉球人民による運命の自決を支持すると宣言すべきである、、、

台湾が「中立」を選択することは、大国との同盟によって外部の支持を得ることを放棄し、
そこから転じて自身の内部の力によって自らの自主独立を守ることを意味するからだ、、、

台湾島は黒潮の子である。
黒潮の暖流の抱擁の下で生命を育み、歴史を切り拓き、外部と連結し、世界の島となってきた。
台湾にとって黒潮は、浄化、生命、連結を象徴する、、、

黒潮の流れに耳をそばだてよ。

呉叡人 「受困的思想 台湾重返世界」  中央研究院台湾史研究所副研究員

「台湾、あるいは孤立無援の島の思想 民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて」

みすず書房 駒込武=訳 (巻頭、90、272、273、411、413ページより)

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書評 藤原辰史「台湾の政治学者 呉叡人さんの問いかけにどう応えるか」
@「週刊金曜日」 2021年12月10日

もしも日本が「小さな島じま」の一つとしてやりなおせるなら

台湾をめぐり米国と中国の緊張関係が高まる中、歴史学者の藤原辰史(ふじわらたつし)さんは、
台湾の政治学者・詩人の呉叡人(ごえいじん)さんの著作を「足を震わせながら」読んだという。
台湾が米・中のどちらにも依存せず中立を保つことを提唱する呉さんの思想に、
日本に住む者としてどう応答すべきか、考え続ける。

今年1月、「台湾、あるいは孤立無援の島の思想 民主主義とナショナリズムのディレンマを越えて」
という本が日本で刊行されました。
台湾の政治学者で詩人でもある呉叡人さんが、約20年にわたって書いた論文や詩をまとめたものです。

私の専門は農業史・環境史で、国際政治の専門家ではありませんが、まさに足を震わせる思いで
この本を読みました。
それは、台湾をめぐる「せっぱつまった」状況の中で呉さんが米中どちらの大国とも与(くみ)しない
「中立主義」を提唱しているからです。

足元がすくむ状況の中でも、強い覚悟を決めて提唱する呉さんの姿をみて、自分がこれまで、
足元を安定させて論じすぎてきたように思いました。

しかし、本当は自分の足元もぐらぐらしているのです。
2015年に安保法制への反対運動に私も参加しましたが、それから6年経たいま、
現在の日本の状況は危険な、より「せっぱつまった」方向に進んでいるからです。
・・・

呉さんは、台湾が永世中立を目指し、琉球との間で非武装の同盟を締結することを提案します。

私にとって最も大きな衝撃は、呉さんが描く理想像の中に琉球以外の「日本」が含まれていないことでした。

・「台湾危機」で問われる私たちの平和主義

・中立主義を提唱する呉叡人さんの覚悟の深さ

・「黒潮の流れに耳をそばだてよ」

・日本はその連帯の輪に加われるのか

・米中とは異なる価値観を編み直す必要

・人文学にもまだまだやれることがあるはず

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呉叡人氏は1990年の「野ゆり学生運動」(約6000人の学生が民主化を求めて
台北の中正紀念堂で座り込んで抵抗。台湾民主化の大きな転換点になった)では
台湾大学学生連合会代表として運動を牽引した。

その後呉氏の主張は、2008年の「野いちご学生運動」(中国からの特使来訪にかかわる
過剰警備や集会デモでの弾圧に学生たちが抗議)や、14年の「ひまわり学生運動」
(中台サービス貿易協定批准に反対し、約300人の学生が日本の国会議事堂にあたる
「立法院」を3週間にわたって占拠)などの運動において理論的支柱となった。

呉氏は中国の対台湾政策を厳しく批判する一方、米国との協調路線をとる台湾・蔡英文
(さいえいぶん)政権にも一定の批判的距離を保っている。

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(書評より)”親日台湾”という幻想をばっさりと斬捨てる

本書のキーワードは”賤民(パーリア)”である。

台湾はアジアで数少ない真の民主主義国であり、TSMC、鴻海といったグローバル企業を多く抱える先進的な資
本主義国であるにもかかわらず、国際連合から排除され、コロナ禍対策で最も成果を挙げた国でありながらWHO
から締め出されたままだ。

日本の敗戦により台湾は圧制の軛から逃れることができたが、その圧制を中国本土を追われた国民党が更なる
暴力をもって引き継いだ。中華民国と名乗るその国はあくまでいつか本土に帰るべきもう一つの中国であり台
湾ではなかった。日本をはじめとする国際社会は圧制に苦しむ台湾人を見捨て、特に日米両国政府は冷戦下に
おいては中華民国を支持し、中国と国交を回復するや中華民国ともども台湾を見捨ててしまった。

国内外で真のナショナリズムと独立を阻害されてきた台湾人の状況を著者は”賤民(パーリア)”と位置付ける

ただ、アイデンティティは多層的なのが当然で、ナショナリズムは本質主義的なものとしてではなく、あくま
で互いの合意形成を経て打ち立てていくべきものだと著者は言う。

台湾の歴史、日本との関係、日本や中国で”賤民(パーリア)”的地位に置かれている沖縄や香港、今後あるべ
き台湾の姿等、著者の長年の思索が様々な形式の文章で綴られるが、抽象的で晦渋なものも多く読み通すのは
容易ではない。著者の思想の日本における紹介者たらんと任じているいう訳者によるあとがきが大いに助けに
なるだろう。

日本との関係で言えば、著者は反共、反中国という政治的な利益と「植民地肯定論」で結びついた台湾独立派
と日本の右派の共闘を真の台湾独立、ナショナリズムに繋がらないものとして斬って捨てる。実際、以前、野
党代表の台湾との二重国籍問題(「二重国籍と日本」 (ちくま新書) が詳しい)が起こった時に、右派は野党
攻撃の道具に使うだけで、台湾との関係をどうすべきかといった議論には全くならなかったように記憶してい
る。

一方、返す刀で台湾独立派をそのように追いやった左派もばっさりだ。インターナショナリズムを標榜し中国
の側に立った左翼はもちろんのこと、良心的でリベラルな知識人の代表とみられる大江健三郎にも「ヒロシマ
・ノート」「沖縄ノート」の読解を通じ手厳しい。

結局、台湾独立は右翼による反動的な主張という見方を覆したのは、台湾人自らの手によって成し遂げた民主
化の進展だった。その先に今回のコロナ禍での成功がある。

昨今、香港、チベット、ウイグルに絡めて台湾を論じる向きがいよいよ盛んだが、中国というプリズムを通し
てしか台湾を見ないのは台湾を”賤民(パーリア)”に置き続けるものだ。そもそも沖縄を”賤民(パーリア)”
的地位に置いていることを問題と思わない日本人に、香港、チベット、ウイグル、台湾について語る資格はな
いだろう。

原著が出版された2016年に以降、いよいよ放縦に振る舞う中国による香港の圧殺、トランプ政権の誕生とポピ
ュリズムや分離独立主義の蔓延、ヘイトクライムの頻発、米中対立、コロナ禍と、やや理想的に過ぎる著者の
思想を裏切るような分裂と混迷を深める方向へ世界は大きく変わった。

著者がどのように思索を進め、今、どんな風に考えているのか知りたいと思う。

そもそも本書を読むべき者は本書を手に取ることさえないのではないか。自分の言動や行動について深く考え
ることなく、それゆえどんな非道なことでも躊躇なくできてしまうような者でないとリーダーになれないので
はないか。そう考えないとおかしなことが頻発するこの世界をうまく説明できないような気がする。

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