(社説)赤木さん裁判 真相への道を閉ざすな

(社説)赤木さん裁判 真相への道を閉ざすな

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国の「認諾」を受けて会見した赤木雅子さん。「悔しい」と声を詰まらせた=2021年12月15日午後2時57分、大阪市北区、米田優人撮影

追及を逃れるためなら何でもするということか。人間の尊厳を踏みにじるような政府の対応に、強い憤りを感じる。

森友学園問題で公文書の書き換えを命じられ、自死した財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さんの妻雅子さんが起こした裁判が、実質的な審理に入らないまま終結した。被告の国が雅子さん側の言い分を認め、請求された約1億700万円全額を支払うと表明したためだ。

雅子さんは賠償金が目的ではなく、夫が死に至った真相を知りたいとの思いから提訴した。だが、国の「認諾」により、関係者の証人尋問などは行われないことになった。佐川宣寿(のぶひさ)・元同省理財局長を相手取った裁判などは残るものの、司法の場を通じた解明の道は大きく狭まった。雅子さんが反発し、悔しがったのは当然だ。

鈴木俊一財務相は「いたずらに訴訟を長引かせるのは適切ではないと判断した」などと、雅子さんの心身の負担に配慮したかのような発言をした。白々しいにもほどがある。

真に反省しているのなら、政府内でいかなる検討をし、どんな事実を認定したうえで、俊夫さんの死について「国の責任は明らか」と結論づけたのか。これまで法廷で争ってきた前提の、どこがどう変わったのか。詳細を明らかにするべきだ。

賠償金は税金から払われる。特定の個人の言動に故意や重大な過失があったのなら、その者に求償する必要もある。納税者が納得できる説明を求める。行政を監視する国会は、その責務を果たさねばならない。

問題発覚以来、安倍・菅政権の対応は国民の不信を呼んだ。

裁判でも、改ざんの経緯を俊夫さんがまとめていたファイルの提出を拒み続け、俊夫さんの公務災害認定に関する文書は大半を黒塗りにした。第三者でつくる総務省の審査会が違法と断じ、先月ようやく開示した。これが財務相にかかると、「必要な資料を裁判所に提出するなど真摯(しんし)に対応してきた」ことになるのだから、あきれる。

岸田首相の責任は重い。

きのう国会で森友問題に対する姿勢を改めて問われ、「説明責任を果たしていく」と答えたが、財務省が3年前に報告書を出していることなどを理由に、再調査に否定的だ。しかし今回の「認諾」は、当時の調査の欠陥を示すものではないのか。

国有地を大幅値引きして学園に売却したのはなぜか。安倍元首相が関与を否定した直後に、改ざんが始まった理由は何か。多くの疑問がなお残り、岸田首相がいう「民主主義の危機」もまた、自身のあいまいな態度によって一層深まっている。

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