福一津波以前に破壊:元東芝炉心技師の調査報告

from小倉/2022-01-17昼
「文芸春秋」誌に載った木村俊雄さんさんの
記事については、載った時点で私も、脱原発
運動の仲間も読みました。
しかし、木村さんの書いている内容で同意できる
点と同意できない点があり、載った雑誌が
科学技術の専門誌でないことから、静観すること
にしました。
1.同感できる点:津波襲来以前にどこかの
配管が損傷しただろう。(現場の放射線レベルが
高く、いまだに損傷状況を調査で来ていない)
2.同意できない点:木村さんが指摘する
計装用小口径配管の破断で炉心損傷にいたる
とは断定できない。
科学者、ないし、技術者としては確認できていない
ことを断定してしまっては、以後その人の論は
信頼されなくなります。
木村さんは高知県を拠点に、再生可能エネルギー
(太陽光発電利用)の事業を始めたと聞いていますが、
現在、まったく情報交換をしていません。

from小倉/2022-01-17夕(JST)
炉心流量がゼロになっただけでは炉心損傷を
起こしません。炉心の水位が下がり、発熱している
核燃料が水面上に露出する状態になって初めて
損傷が始まります。ですから、
「炉心流量がゼロ」で「ただちに炉心損傷」という
論理は成り立たないのです。
しかし、どこかの配管が破損したらしいことが
わかったのですから、それがどこの配管でどういう
破損のし方をしているのかを調べ、それに対して
どういう対策を取ればよいのかを検討しなければ
なりませんが、現場の放射線レベルが高くて
それがわかっていないのです。ですから、対策の
立てようがないのが現状です。
木村さんと意見が一致しているのは「津波対策だけ
ではダメだ」ということです。
3・11地震発生から炉心損傷までのプロセスが
まだまったくわかっていないというのが正直な
ところです。あの事故の「検証」がまったく済んで
いないし、今後いつ検証が済むのか見通しする
立っていません。原発の事故については、一般の
産業の常識が通用しないのです。現場が放射能で
汚染しているからです。
>核破壊(原爆も原発も)は生命破壊(放射能被爆と資
>源の誤用)で生命系に入れてはならないものと考えま
>すが如何でしょうか?
まったく同感です。
from小倉/2022-01-17夜
確かに使用済核燃料は膨大な放射性物質を
含んだもので危険なものですが、原子炉内で
核分裂反応を止めてから長期間を経ているので
発熱量はそれほど多くなく、冷却が止まったとしても
すぐに溶けるような温度にはなりません。
使用済核燃料の貯蔵プールは底の方には配管が
なく冷却水システムの配管は上部についている
のみですから、配管が破損しても、プールの水が
抜けることもありません。プールそのもの、すなわち
鉄筋コンクリートのプールにステンレス鋼板を貼り付け
た構造が何らかの原因で崩壊するようなことがあれば、
使用済核燃料がむき出しになり、人が近づけない状態
になります。水がぬけていなければ、プール脇に
人が立っても大丈夫です。水が放射線の遮蔽効果を
持っているからです。ただし、燃料より上に通常は
8mの深さの水を確保しています。
使用済核燃料の貯蔵プールは底の方には配管が
なく冷却水システムの配管は上部についている
のみですから、配管が破損しても、プールの水が
抜けることもありません。
「非武装『美しい日本』を目指すピースアゴラ」

from小倉/2022-01-17夜
炉心流量がゼロであっても、炉心の水位が維持されて
いれば、炉心では沸騰が起きているわけで、仮令
幕沸騰であっても、沸騰に伴い燃料棒から熱を奪って
いるので、被覆管金属が溶けるほどの温度にはなりません。
沸騰している上記の温度が300度C程度に対して、
金属が溶ける温度は1000度を超えますから、水が
ある限り燃料は損傷しません。
配管の強度については、現場の配管の被害状況が
調査できないので、評価ができていません。
-ー----
吉田さん
from小倉/2022-01-17夜
ピースアゴラHPの投稿文を広めてくださり、
まことにありがとうございます。
今年の7月の参議院選挙までに
「日米安保条約破棄が必要だ」という
ことをどれだけ広められるかが、
勝負だと思っています。
ーー
from小倉/2022-01-18朝
まったく同感です。
私たちは等しく、地球人・地球生物・一切衆生なんです。
皆、等しく幸せになりたいのです。それを忘れなければ
身の回りの問題も、世界の問題もどうすれば良いか
わかるはずです。
from小倉/2022-01-18朝
原子炉内の水が失われたらそうなります。
原子炉につながる配管が破断した場合を想定して、
原子炉に冷却水を送り込む「非常用炉心冷却系
(Emergecy Core Cooling System=ECCS)」が
複数あり、炉心が空焚きにならないように設計されて
います。ところが3・11事故の時には、非常用電源が
使えなくなり、ECCSが機能を失ってしまったのです。
一番わかり易い理由が津波で非常用ディーゼル発電機や
配電盤が水没して電源喪失が起きたということです。
しかし、水没以外の原因が本当になかったのか?
これが確認されていません。現場の調査が十分できない
からです。
ともあれ、木村さんの「原子炉につながる小口径配管
の破断が起きたのだろう。その結果炉心のメルトダウン
が起きた」と言う説明は飛躍がありすぎます。
マグニチュードというのは震源における地震の
エネルギーの大きさを示していて、震源から原発までの
距離とか地震の波が伝わってくる間の地層の様子に
よって、実際に原発内部に起きる地震加速度が変わります。
それを考慮した地震時の原発の設計加速度の決め方
(「新耐震設計審査指針」)を2006年に原子力安全委員会で
決めています。実は、2007年に起きた中越沖地震によって、
柏崎刈羽原発内で発生した地震加速度が2006年に決めた方法
による加速度を超えてしまったのです。つまり、
「新耐震設計審査指針」は不十分な基準であることが
露呈してしまったのです。すなわち、今後、どれくらい大きな
地震が襲ってくるのかを原子力安全委員会として示すことが
できなくなってしまったのです。ならば、原発の再稼働など
できるわけがないのに、東電は経産省原子力安全保安院の
了解の下に同社の原発を再稼働させてしまいました。
その結果が3・11事故です。現時点でも、政府の原発に
対する規制の在り方はこんな状態のままです。言い換えれば
今の政府に原発の安全確保のための十分な規制をする
能力を持っていないと言うことです。あるいは、再稼働の
可否を審査するに十分な基準が現在無いとも言えます。
この辺の事情は拙著「元原発技術者が伝えたいほんとうの怖さ」
(彩流社、2014年7月初版)にもう少し詳しく説明してあります。
(「新耐震設計審査指針」)を2006年に原子力安全委員会で
決めています。実は、2007年に起きた中越沖地震によって、
柏崎刈羽原発内で発生した地震加速度が2006年に決めた方法
による加速度を超えてしまったのです。つまり、
「新耐震設計審査指針」は不十分な基準であることが
露呈してしまったのです。すなわち、今後、どれくらい大きな
地震が襲ってくるのかを原子力安全委員会として示すことが
できなくなってしまったのです。ならば、原発の再稼働など
できるわけがないのに、東電は経産省原子力安全保安院の
了解の下に同社の原発を再稼働させてしまいました。
その結果が3・11事故です。現時点でも、政府の原発に
対する規制の在り方はこんな状態のままです。言い換えれば
今の政府に原発の安全確保のための十分な規制をする
能力を持っていないと言うことです。あるいは、再稼働の
可否を審査するに十分な基準が現在無いとも言えます。