中国が主導する国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の設立協議に、欧州を含む国々が参加を表明している。日本は、中国主導の新銀行は組織の透明性などに疑問が残るなどとして、参加には慎重なまま、中国が「創立メンバーになる締め切り」としていた3月末を迎えた。

AIIBの資本金は将来的には1千億ドル(約12兆円)。経済成長を続けるアジアの新興国は、インフラ整備のために膨大な資金を必要としている。大切なのは、AIIBが望ましい貸し手になるのかどうかだ。

AIIBの本部は北京に置かれ、初代総裁は中国が出す方向だ。意思決定の方法や融資の基準など具体的な仕組みは、参加を表明した国々の協議で決まる。世界銀行やアジア開発銀行(ADB)は、融資対象の事業が環境破壊や人権侵害を招かないかなどを審査している。AIIBもそんな配慮をするのか、注視しなければならない。

透明で公正な運営が担保されるなら、日本がAIIBに出資することも選択肢の一つになる。日本が最大出資国であり総裁も出しているADBが、協調融資などでAIIBと協力することも検討に値する。

従来、欧州諸国や有力新興国の多くも、AIIBへの参加に慎重だったが、ここにきて参加を表明する国が相次いだ。中国との関係を密にすることの経済的メリットを重視した国があるのは確かだろう。

だが、気になるのは、AIIBの運営方法などについての中国の考え方が改善してきたことを指摘する国がある点だ。

中国が一昨年にAIIBの設立を提唱してからこれまで、日本は中国とどのように意見交換し、どんな情報を得ているのか。麻生財務相はきのうも国会で、融資基準などについての質問に、中国から「返事は来ていない」と答弁した。このところの日中政府間関係の脆弱(ぜいじゃく)さが情報収集に影響してこなかっただろうか。

日本がAIIBに参加するにしても、見送るにしても、政府はその判断の根拠を、国民に説明する必要がある。そのためにも、中国への関与は、希薄であってはならない。

戦後の国際金融は米欧を中心に動いてきた。日本は長年、米国とともに歩むことで一定の地位を保ってきてはいる。しかし、中国の台頭で、その秩序は大きく変わろうとしている。今後、日本はどういう立ち位置をとるのか。AIIBはそんな問題を日本に投げかけている。