「やんばる」と呼ばれる沖縄本島北部の広い森の中を、機動隊の大型バスやワゴン車の車列が行き交う。警視庁、大阪府警、千葉、神奈川、愛知、福岡の各県警から、総勢数百人の隊員が集結しているのだ。

東村(ひがしそん)高江周辺で、政府が米軍北部訓練場のヘリパッド(ヘリ着陸帯)移設工事を再開して40日が過ぎた。この間ほぼ連日、工事車両を阻止しようと座り込みなどを続ける住民や支援者を、機動隊員が強制的に排除する光景が繰り広げられている。

手足をつかまれたり、胸を圧迫されたりして、けが人が続出している。地元2紙の記者が取材を妨げられ、一時、身動きできなくなったこともあった。

本土から離れた沖縄の、さらに山奥。多くの人の目の届かないところで、政府は権力をむき出しにしている。

その姿勢が沖縄の態度をいっそう硬くさせ、基地問題解決の道を遠ざけていることに、なぜ気づかないのか。小さな沖縄を屈服させようと、本土勢がこぞって押し寄せてきている。それが、沖縄側から見た光景だ。

強制排除の措置にとどまらない。今回のヘリパッド移設計画では、説明も手続きも無視した政府の強引さが目に余る。

新しい着陸帯はオスプレイが使う。森を伐採し、直径75メートルの大きな空間を六つ造る工事だ。

那覇防衛施設局(当時)は環境影響評価に準じる調査をしている。だがそれは、低周波を含む大きな騒音をまき散らすオスプレイを前提としたものではなかった。前提が大きく変わったのだから調査をやり直すのが筋なのに、その声は聞かない。

夏の参院選の期間は静かに過ごし、自民候補の落選が決まった翌早朝に資材搬入を始めた。県道を半日間封鎖し、管理者である県職員も立ち入らせなかった。座り込みテントを司法手続きを省いて撤去し、森林管理署との事前協議のないまま、国有林の立ち木を切り倒した。

当初はさして大きいものではなかった抗議活動が、ここまで続いているのはなぜか。経緯をふり返れば、答えは明らかだ。

着陸帯移設と引き換えに、北部訓練場の51%が返還される。政府は沖縄の基地負担の軽減になるというが、米海兵隊の資料によると、返ってくるのは「使用不能な土地」とされる。

日米両政府はオスプレイ訓練の県外移転を進めている。ならば高江の着陸帯についても、必要性の有無やその程度を検討し直す余地があるはずだ。力で押しきる手法の先にあるのは、さらなる混迷と不信だけである。