Global Ethics


ヤコヴ・ラブキン教授のシオニズム批判 by limitlesslife
January 18, 2017, 1:45 pm
Filed under: シオニズム

みなさまへ    (BCCにて)松元

新年おめでとうございます。ヤコヴ・ラブキン教授のシオニズム批判を拙訳でお届けします。ご笑覧くださると幸いです。

ヤコヴ・ラブキン教授のシオニズム批判、前文と翻訳本文

「政治イデオロギーの宗教的源泉:シオニズム揺籃の地、ユダヤ教とキリスト教」https://drive.google.com/file/d/0BwD9pIZONGliVUZCeHdha3pqZkU/view?usp=sharing

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自民重鎮たち、CIAメディアさえ安倍晋三の首を切りにかかる by limitlesslife
March 1, 2015, 8:02 am
Filed under: 99.9999% 対 0.0001% (金字塔文明:墓場、・・・), アベノミクス=ダメノミクス, アベノミス, アメリカ合衆国(米国), イスラエル, イスラーム国(ISIS, イラク戦争, エジプト, オリンピック, ガイドライン(日米防衛協力の指針、改定・・・), ガザ, グローバリゼーション, シオニズム, ジュゴン, ストロンチウム, テロリズム, デモ(民意表出)・規制?, ナショナリズム(ウルトラ・愚か・短気=損気・・・), バブル(通貨膨張・インフレ・投機・崩壊), ヒロシマ・ナガサキ・フクシマ, プルトニウム(祭猛毒・原爆材料), ヘイトスピーチ(錯誤・差別・殺戮・・・), マスゴミ(真実無し、良心無し、恥じも外聞も無し、倫理無し、共に飲み食い、金に屈し、力に屈し、大政翼賛、・・・), ヨルダン, ロシア, 無人機(錯誤、差別、殺戮、・・・), 献金(賄賂、買収、, 玄海原発(訴訟、廃止、・・・), 産経新聞(ドン:鹿内信隆:慰安所作り、・・・), 福島原発事故, 秘密保護法, 籾井勝人, 経済(不振、膨張、破裂、・・・), 翁長雄志(沖縄知事、辺野古、・・・), 選挙(制度問題・改正、不正、・・・), 金(力、金融、資本、財閥、死の商人、・・・), 錯誤・束縛・差別・搾取・殺戮(金字塔の五禍), 集団的自衛(共謀・先制・挑発・共殺・共死・・・), 靖国神社(戦国神社?), 首相不信任, 読売新聞(黄泉売り?オマル売り?・・・), 高浜原発・美浜原発・大飯原発, 農業・食料・環境, I am not Abe (アベノミスに組しない、I am Kenji, IAEA (International Atomic Energy Agency) 国際原子力機関, NHK(日本放送協会), nuclear disaster, TPP, 労働(労働者、労働差別、労働被災、労働搾取、、、), 医療保険(国民健康保険、・・・), 原爆, 原発, 原発ムラ(利権マフィア), 吉田調書(フクシマ原発事故調書:政府秘匿:朝日スクープ、・・・), 在特会(在日特権を許さない市民の会:ザイトク、・・・), 地球温暖化(異常気象、海面上昇、海没島嶼・都市、環境破壊、種絶滅、・・・)、, 地位協定, 基地, 大飯原発, 太平洋戦争(第二次世界大戦、・・・), 安倍内閣, 安倍晋三, 小選挙区制度の問題, 小泉(談話、劇場、原発反対、・・・), 差別(人種、民族、宗教、。。。), 帝国支配(米国支配), 年金(基金・流用、目減り、・・・), 強制(連行、労働、売春、・・・), 後藤健二(ジャーナリスト、イスラーム国人質、・・・), 従軍慰安婦, 憲法, 憲法九条(発案、淵源、目的、誓願、和、全体健全、・・・), 戦争(責任、賠償、禁止), 放射線汚染・被曝, 教科書問題, 日米安全保障条約〔憲法違反、治外法権、条約改正・廃止、・・・), 日露, 日韓, 日本(投売り、評価低下、資産低下、・・・), 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮), 朝日新聞, 村山談話(意義、継承し発展させる会、・・・), 東電(東京電力:TEPCO), 核廃物(死の灰、無期限放射能、・・・), 格差(拡大・是正), 棄民(政策、政治、命より金、・・・), 権力, 武器(製造・使用・販売・輸出・・・), 歴史(歪曲、修正、無視、・・・), 死の商人, 沖縄, 三毒(貪欲・怒り・無智:貪瞋痴), 人工金字塔文明か自然帝釈網文化
自民重鎮たち、CIAメディアさえ安倍晋三の首を切りにかかる
過去17人の閣僚のうち、安倍内閣の7人もが「政治と金」の問題で辞任している。
昨日25日の衆院予算委員会で、TPP対策を担当した西川公也(辞任後、行方不明)に税金
と補助金が還流していた可能性を追及して、任命責任を問う後藤祐一議員(民主)の質疑
に答える安倍晋三君。
何も答えられず、「いわゆるですね・・」、「いわば、あー、えー・・」を延々と繰り
返す晋三君。
「質問にお答えください」と質問者の民主党の後藤祐一議員が繰り返し要求するも、揉
み手をしながら、次はどんなことをいって騙そうか、それだけがこの男の脳味噌を支配
している。
さすがに、自民党の重鎮たちも、安倍プロパガンダCIAメディアも、安倍君を切り捨て
にかかっている。
そして、今日、これも数ヵ月前から出ていたことだが、下村博文文部科学相に法に抵触
する恐れのある「不正寄付」疑惑が出てきた。
これでは、安倍晋三は、もはや答弁に立つことはできないだろう
まず、このできたてホヤホヤの動画をご覧あれ。
昨日の安倍君への質疑だ。たった7分の動画だから観てほしい。
「首相である私に任命責任があります」、「国民の命を守るのがこの国のトップである
私の責任であります」、「自民党総裁として、説明責任を述べるべきだ、と私の・・、
その考え・・を述べているわけであります」・・・
あなたは、この7分のうち、彼が言っているたった10秒でも理解できるだろうか。理解
できると言った人は、天才か精神異常者のどちらかである。
結局、安倍君は、西川公也と小渕優子には、「私(安倍晋三)からは、説明責任を果たす
ようにとは言わないから、各人、上手に振舞って、有耶無耶にしてしまいなさい」と言
っているのです。
これは、総理大臣とかの問題ではなく、完全な違法行為です。
youtubeで「安倍 任命責任」と検索すれば、安倍晋三が、過去、何度も「任命責任は
私にある」と言い続けておきながら、すべてを「すっぽかしてきた」のかがよく分かる

馬淵議員の追及は迫力があった。
「農水相辞任で民主が追及「最も政治とカネにまみれた内閣」 -TBSニュース
動画は一部だけだが、安倍内閣の低知能閣僚の中で、こうした論理構築のできる議員は
、ただの一人も存在しない。(画像クリック)
しかし、相変わらず、安倍君は話をはぐらかせて、「しっかりと政策を前に進め、結果
を出していくことで責任を果たしていく決意だ」と述べ、それをロボットのように繰り
返し述べるばかり。
「結果を出す」とは、「農村の所得倍増を目指し、農家の大改革を力強く進めていく」
ことであり、それはつまりTPPによって「日本の安全な食の破壊」につながることなの
である。
さらには、実質上、農家を良くも悪くも保護してきた農協の力を削いで、アメリカの多
国籍保険事業者とウォール街の指示通り、農協の抱えている預金量約90兆円、保険事業
の総資産約50兆円を獰猛な外資の前に差し出すことを意味するのだ。
しかし、ここまで破壊的にオツムが弱いと、後々、問題発生源となりうると、CIAの資
金援助によってつくられた読売コングロマリットのメディアでさえ、安倍晋三を切りに
かかっているのだ。
その他のメディアは、言うに及ばない。
つまり、安倍晋三が尻尾を振って頭をなでなでしてほしい欧米グローバリスト勢からさ
え、「使えない男」と切り捨てられるということなのだ。
各国首脳が安倍を敬遠している以上、これからの外交は実を結ばないだろう
各国首脳が安倍を敬遠して1年以上になる。どの国のトップも、もう安倍晋三とは「会
わない」と態度をあいまいにしているか、遠巻きにしているかだ。
海外のメディアからは、「サギノミクス」、あるいは「バンザイノミクス」と揶揄され
るほどボロクソに叩かれている「アベノミクス」。さすがの安倍君も、もう国会で「ア
ベノミクス」マジックは使えなくなったと悟ったのか、一切口にしなくなった。年金が
本当に危ないのだ。今にぶっ飛ぶぞ。
ブリスベンで開かれたG20サミット。誰も安倍には近づかない。(画像クリック先の動画
へ)
「2分32秒付近で、安倍首相が”手酌”で水を注ぐ様子はなんとも寂し気だ」というが
、あなたにはどう見えるのか。
どうであれ、これが先進国首脳たちと安倍との最後の交流の場になる。
今年1月、パリの「シャルリー・エブド」本社をテロリストが襲撃した直後、日本人が
イスラム国(ISIL)に拉致されていることが報道された。
このとき、安倍晋三君は、こう言った。
「フランスのテロ事件でイスラム国がクローズアップされている時に、ちょうど中東に
行けるのだからオレはツイている。世界が俺を頼りにしているということじゃないか」
と。
このニュースは、数時間後に英語や他の国語に翻訳されて世界中を駆け巡った。
あなたがフランスの大統領だった場合、あなたが英国の首相だった場合、あなたがアメ
リカの大統領だった場合、どう考えるだろうか。
「彼は狂人だ、この男には二度と近づいてはならない」・・・そう思うだろう。
少し、付け加えよう。
オランドも、キャメロンも、オバマも、シャルリー・エブド襲撃事件や、イスラム国の
背景は、程度の差はあれ、知っているわけである。
それでいて、彼らのアジェンダを遂行するために、いっせいにポーカーフェイスを決め
込んでいるのだ。
そうした中で、安倍晋三だけは、ペラペラしゃべってしまいそうなので、「二度と会い
たくない男」という評価を下されてしまうのだ。
良い悪いではなく、「我々にとっても危険な男」と見なされている、ということ。
オバマは、軍産複合体から猛烈な圧力をかけられても、ヨーロッパでの新たなテロの勃
発を抑止し、日本人人質の殺害予告を出していたイスラム国を刺激しないように、ヨー
ロッパ、イスラエルとの外交は控えたのだ。
プーチンは、同盟国のシリアがイスラム国に乗っ取られそうなっていることを知りなが
ら、ウクライナ休戦協定の華僑を迎えていたので手出ししなかった。
安倍晋三は何をやったか。
エジプトでいい気になって、「イスラム国対策費」とわざわざ銘打ちながら2億ドルの
支援を宣言したのだ。
さらに、イスラム国に殺害された湯川遥菜氏、後藤健二氏の動向をアメリカに伝えてい
た外務官僚の情報によって、イスラム国が待ち構えて二人を拉致したことを隠蔽するた
めに、最初から見殺しにする暗黙の了解のうちに、徹底的に、そして不自然にもイスラ
ム国を挑発したのも安倍晋三という精神に異常のある男だ。
さら、二人の殺害が確定的になった後に、当初約束した2億ドルにさらに経済支援を上
乗せすると明言したのだ。
これで、海外にいる日本人にイスラム国の剣が向けられることになってしまったのだ。
今、安倍晋三は5月の連休に、「地球の裏側でも戦争のできる国にしよう」と、なんと
か私たち国内の有権者向けにアピールするために、オバマに会う日程を模索している。
その前に、辺野古の工事を少しでも進めて沖縄米軍基地移転の成果をオバマへの手土産
にしたいのだろうが、アメリカは、本音では辺野古基地移転などどうでもいいのだ。
米軍が望んでいるのは、とうとうジャパン・ハンドラ―が本音で語ったように、「全国
に展開している日本の自衛隊の基地を、米軍がスーパーバイザーとして管理・監督する
こと」なのである。
米軍は、沖縄への一極集中はリスクが大きいと考え始めている。そして、全国の自衛隊
の基地を中国、北朝鮮のターゲットとすることによって、日本の国民を絶えず恐怖に晒
すことによって、軍事防衛費を増やしたいのである。
こんなアメリカの本音もわからないような安倍は、もう使えないとジャパン・ハンドラ
-たちは呆れているのだ。
外務省も、まったく人が悪い。知っていながら、安倍を孤立化させようとしている。
外務省の如才ない官僚たちは、「安倍では、もうもたない」と割り切ったということな
のだ。
また、安倍晋三は、ウクライナの休戦協定が事実上破棄され、土壇場まで後退させられ
ていたプーチンに、なんとか会えないものかと外務省のルートを通じて打診していたと
いう。まったく、呆れたKY男だ。
こんな男を、世界の誰が相手にするというのだろう。
ただし、その国の演壇に上って、1分当たり10万ドルも払えば、ひょっとしたら彼の演
説を聞く者が出て来るかも知れない。
安倍晋三の馬鹿げた功名心のために、国民の命が無駄に捨てられる日が来る
自民重鎮たちの安倍批判が止まらない。
それはそうだろう。安倍内閣の閣僚たちは、人質を最初から見殺しにすることを決めて
おいて、自衛隊を地球の裏側でも戦争のできる軍隊にして、人殺し産業で儲けようとし
ている連中だ。
「戦前の軍国主義に回帰しつつある。誰かが止めないといけない」-山崎拓元幹事長。
「戦後70年の今年、手遅れになる前に、もう一度立ち止まって考える必要がある」-古
賀誠元幹事長。
(後略)

http://kaleido11.blog.fc2.com/blog-entry-3434.html

MLホームページ: http://www.freeml.com/public-peace



100 分断のパレスチナから来日した保健師さん by limitlesslife
September 30, 2014, 11:03 am
Filed under: イスラエル, シオニズム, パレスチナ

100 分断のパレスチナから来日した保健師さん

日経メディカル 2014年9月29日 色平哲郎

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/blog/irohira/201409/538552.html

先日、パレスチナから保健師さんと栄養士さんが研修目的で来日、女性お二人で佐久
総合病院に立ち寄られたので、昼食をとりながらお話しする機会があった。

ご存じのように、パレスチナ自治区のガザ・西岸両地区では、イスラエル政府による
占領政策が続けられてきた。

この夏もイスラエル軍(IDF)の空爆と侵攻によって多くの人命が失われた。私はか
ねてJICA(国際協力機構)が実施した「パレスチナ母子保健に焦点を当てた・リプロダ
クティブヘルス向上プロジェクト」(2005年8月~2008年7月)の「その後」に関心を持
っていたが、今回は当該プロジェクト終了後の状況について少し伺うことができた。

お手本は日本の小学校「保健室」

JICAプロジェクトの開始前、つまり2000年の第2次インティファーダ(民衆蜂起)後
の数年間、ガザ・西岸両地区では軍事侵攻に伴う外出禁止令や経済活動停滞に由来する
混乱と貧困化で、母子保健が危機的状況になっていた。特に西岸地区では地域が検問所
や隔離壁で分断されたことによる交通事情の悪さ、移動の困難さが大問題だった。

妊産婦死亡率や5歳未満乳幼児死亡率の統計数値は高かった。産前産後、出産、新生
児、乳幼児ケアが標準化されておらず、地域によって、施設によってもサービスがばら
ばら。妊娠時検診内容と記録方法も不統一で、女性たちを含む地域住民全体の出産リス
クや乳幼児の発育発達に対する意識・関心も低かった。

そこで、JICAが世界初のアラビア語版「母子健康手帳」の普及をはじめ行政の保健サ
ービス機能強化や女性宅への家庭訪問、男性や若者たちに対するワークショップなどの
取り組みを組み合わせ、母子保健・リプロダクティブヘルス向上を目指す支援事業を開
始した。

当地・佐久を訪ねた保健師さんと栄養士さんのお二人は、諸支援で状況が多少とも改
善された現在、パレスチナ各地の小学校に「保健室」を併設し、可能なら「学校給食」
まで実現することを目指していた。夢を実現するため「学校保健室・先進国」「学校給
食・先進国」の日本から少しでも学びとりたいものだと考え、今回の来日につながった
のだという。

パレスチナ自治区で出産した母親たちの母子健康手帳普及率は、直近の調査によると
西岸地区で89%、ガザ地区でも63%まで高まり、母子保健サービスの全国的な標準化も
進んできているという(JICAのウェブサイト参照)。
http://www.jica.go.jp/project/palestine/001/news/ku57pq00000m92u8-att/20121105

_01.pdf

「イスラエルとは何か」

パレスチナの方々と接して、改めて痛感したのは、1948年に「シオニズム」によって
建国されたイスラエルという国の不可解さだ。

シオニズムとは、ユダヤ人を独自の民族とみなし、ユダヤ人差別や迫害の究極的克服
をユダヤ人国民国家の建設によって達成しようとする運動を指す。シオンとは「約束の
地」エルサレムの古い呼び名だ。シオニストが「父祖の地に帰れ」と全世界のユダヤ人
に呼びかけてイスラエルは建国された。しかし、そこにはパレスチナの人びとが平和に
暮らしていたのである。

イスラエルは建国当初から「国境」を定義せず、どんどん空間的に占領地を押し広げ
ている。人口約700万人の小国でありながら、世界の武器貿易の1割以上に関与する。ど
うして、このような軍事国家が中東に誕生したのだろうか。

その疑問に答えてくれる本が『イスラエルとは何か』(ヤコブ・M・ラブキン著、菅
野賢治訳 平凡社新書)。敬虔なユダヤ教徒で歴史学者のラブキン教授(モントリオー
ル大学)は、シオニズムの源流にユダヤ教徒を「聖地」に集合させて一斉にキリスト教
に改宗させることで黙示録に描かれた世界が実現され、キリスト教の最終的勝利が早め
られるというキリスト教世界の願望があったことを述べたうえで、次のように記してい
る。

「シオニズムも反ユダヤ主義も、植民地主義と人種差別の温床たる19世紀ヨーロッパ
から生まれたものであることを、ここでもう一度確認しておきましょう。シオニズム運
動の主流は、その後も、先住の人間集団を排除し、その財産を奪取する移住型の植民地
主義をさかんに押し進めながら、ヨーロッパ式のナショナリズムをお手本とし続けるで
しょう。(中略)シオニストたちは、実のところ、種族としてはかなり異質な人間を寄
せ集めた少数派の移民集団でありながら、それを核として、地球上のある一隅に国家主
権を打ち立てようとしました」(同書p79~80)

外交といえばアメリカ合衆国しか見えない日本人。

ラブキン教授の透徹した歴史観が新鮮だ。

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace



【ガザ】イスラエル国会副議長のガザ・ジェノサイド計画&マラクとアハメドはこのイードを永遠に忘れない by limitlesslife

 永岡です、京都の岡真理さんから、ガザ情勢を二つお送りいたします。
<以下、転送>
(その1)
■拡散歓迎■

京都の岡真理です。

昨日、アリー・アブーニウマの「ガザの集団虐殺は「ユダヤ国家」の代償」をお送りし
ました。著者は、シャロン首相の元顧問で人口学者のアルノン・ソフェルの、「ユダヤ
-シオニズム国家」を維持するためには殺し、殺し、殺し続けなければならないという
主張を紹介し、次のように指摘しています。

シオニズムに基づいたユダヤ国家を維持するために、イスラエルは、ガザのパレスチナ
人を殺し続けなければならない。集団虐殺を繰り返すことを正当化するために、イスラ
エルはガザのパレスチナ人を悪魔化してきた。その結果、イスラエル社会は、国会議員
が、ガザの女たちのジェノサイドを呼びかけても非難されないばかりか、むしろ国民か
ら大きな支持を得るほどまでに、異常な社会になってしまったと。

「ユダヤ国家」の代償は、ガザのパレスチナ人を繰り返し集団虐殺することだけではな
いのですね。自らの社会が、ジェノサイドを公然と呼びかけたり、それを多くの国民が
公然と支持することに何らの問題性を見い出せないほどまでに倫理的に崩壊してしまう
こともまた、「ユダヤ国家」を維持するために支払わねばならない代償であるように思
います。「ユダヤ国家」は、あるいはシオニズムは、パレスチナ人の命を殺すと同時に
、イスラエルのユダヤ人の、人間としての魂を殺しているように思えてなりません。

イスラエルは長らく、「ホロコースト」を資源にして、パレスチナ人に対する民族浄化
で成立した自国の歴史と「ユダヤ国家」を維持するためにパレスチナ人に対して揮い続
けるあらゆる暴力を正当化してきましたが、今回のガザ攻撃で、「ホロコーストの犠牲
者の国」というイスラエルの自称が、イスラエルという国の実像を隠すための偽りの看
板に過ぎなかったこと、そして、その偽りの看板の陰でその社会は、政治家がジェノサ
イドを公言し、それが国民にも広く支持されるという、なんともグロテスクな社会であ
ることが、多くの人々の目にも明らかになりつつあるように思います。

国民の支持を得るために、極右政治家たちは、ガザのパレスチナ人に対する思想の過激
さを競い合っています。以下、アリー・アブーニウマの「イスラエル国会副議長のガザ
・ジェノサイド計画」をご紹介します。クネセト(イスラエル国会のこと)の副議長を
務めるモシェ・フェイグリンが発表した声明について論じています。

フェイグリンは、ネタニヤフ首相と同じリクード党の出身。2012年の同党の党首選挙で
ネタニヤフと争いました(得票率23%)。オスロ合意に反対する「これは我々の土地」
の共同設立者でもあります。

著者のアリー・アブーニウマはパレスチナ系アメリカ人のジャーナリストで、エレクト
ロニック・インティファーダの創設者の一人。ちなみに、アブーニウマは、8月11日、
シカゴのエヴァンストン公立図書館で、新著について話をすることになっていましたが
、図書館側が一方的にそのイヴェントを中止すると発表しました。アブーニウマの発言
を、圧力をかけて封殺し、可能な限り市民の耳から遠ざけておかねばならないのだとし
たら、それは、彼の発言が、イスラエルにとって致命的な事実を語っているから、では
ないでしょうか。

■■ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
http://electronicintifada.net/blogs/ali-abunimah/concentrate-and-exterminate-i
srael-parliament-deputy-speakers-gaza-genocide-plan

「強制収容所」「絶滅収容所」:イスラエル国会の副議長のガザ・ジェノサイド計画

アリー・アブーニウマ

エレクトロニック・インティファーダ
2014年8月3日

クネセト(イスラエル国会)の副議長、モシェ・フェイグリンは、ガザのパレスチナ人
の殲滅計画を発表した。

強制収容所の利用を呼びかける彼の詳細なプランは、国民にジェノサイドを直接けしか
けているのと同じことだ。ジェノサイドの扇動は、ジュネーヴ条約のもとでは罰すべき
罪である。

8月1日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の与党リクードのメンバーであるフェイグリン
は自分のフェイスブックのページに投稿して、「ガザ全土の征服と全戦闘勢力とその支
持者の殲滅」を呼びかけた。

「これは我々の国だ――我々だけの国だ、ガザも含めて」と彼は書いている。

フェイグリンが投稿したのは、ネタニヤフ宛ての書簡である。

世界の市民と公権力は、もし、フェイグリンが自国領土に足を踏み入れたならば、[ジ
ェノサイドを扇動する]彼の発言を理由に、ジェノサイド条約にもとづきフェイグリン
を逮捕し、起訴する努力を払わねばならない。

フェイグリンの言語道断な計画は、ガザに対するイスラエルの現在進行中の大量虐殺の
死者が、1752名に達したときに発表された。これらの死者には、日曜の朝、シェル
ターとして使われていた国連が運営する学校をイスラエルがまたも攻撃し、殺された1
0名も含まれる。

フェイグリンは、やはりクネセトの議員であるアイェレト・シェケド同様、以前にも、
ジェノサイドを示唆する発言をしてきたが、その中でも今回のものは、もっとも具体的
かつ露骨である。

大量の絶滅と民族浄化を呼びかけながら、フェイグリンはネタニヤフに、「ガザを[第
二の]ジャッファにしろ、すなわち敵性市民は可能な限り少数に抑えられた、繁栄する
イスラエルの街にしろ」と駆り立てる。

ジャッファは、パレスチナの主要な海岸部の都市で、1948年にシオニスト民兵組織
によって民族浄化され、今日のイスラエルに組み込まれた。街にとどまった数千人のパ
レスチナ人は、自分たちを追放しようとする現在進行中の試みに直面している。

これを書いているあいだにも、フェイグリンのフェイスブックには、8000以上の「
いいね」がついており、ほぼ2000回、シェアされている。

■「強制収容所」そして「絶滅収容所」

フェイグリンは、イスラエル軍は「海に面する、シナイ半島との境界に一定の空き地地
区を設けなければならない。そこに民間人を集中的に集める。そこはロケット弾の発射
やトンネルなどに使われるような建物が建て込んだ地区から遠く離れたところに。これ
らのエリアには、適切な移住先が決まるまで、テントの野営地が設けられる」

パレスチナ人民間人が「集中的に集められた」「テントの野営地」とは単純に言えば「
強制収容所」である。

「かつて人口が集中していた地区への電気と水の供給は切断される」と付け加え、それ
から彼は言う。「かつて人口が集中していたエリア」を最大級の火器で砲撃することを
呼びかける。ハマースの民間インフラと軍事インフラのすべて、通信や兵站の手段もそ
の土台に至るまで、すべて破壊する。」イスラエル軍はそれから、「レジスタンスの巣
を絶滅する。もし、残っているならば。」

■追放

「イスラエルはガザの難民たちの移住先を探し、割り当てを決める。」とフェイグリン
は書く。だが、「あくまでもとどまろうとする者たちは、ハマースと何の関係もないと
証明されれば、イスラエルに対する忠誠宣言に公けに署名することが求められ、東エル
サレムのアラブ人が持っているのと同じようなブルーのIDカードを給付する」

■フェイグリンの発言は犯罪である

ジェノサイド条約は、ジェノサイドを、「国民的、民族的、人種的、宗教的な集団の全
体もしくは一部に対して破壊する意図をもってなされる行為」と定義している。

それらの行為とは、
・その集団の構成員を殺すこと。
・その集団の構成員に深刻な肉体的、もしくは精神的危害を加えること
・全部または一部の肉体的破壊をもたらすために意図された生活条件をその集団に故意
に課すこと。
・集団内における出生を防止することを意図する措置を課すこと。
・集団の児童を他の集団に強制的に移すこと。

フェイグリンの計画は以下の二点で明らかにジェノサイドの意図を有している。彼は、
パレスチナ人が存在することを否定し、パレスチナ人をその信仰を理由に、集団的に敵
および標的として考えているからである。

・2国家などというものはない。2民族などといものもない。ひとつの民族のためのひ
とつの国家があるだけである。

・戦略的な敵とは、イランからガザにかけての地域における、イスラエルのすべてを殲
滅しようとする、あらゆる形態の過激なアラブ人のイスラームである。

あからさまなジェノサイドの諸行為に加えて、ジュネーヴ条約のもとで罰せられるべき
犯罪とは、「ジェノサイドを犯すよう、直接的に国民を扇動すること」「ジェノサイド
を犯す共謀」や「ジェノサイドへの共犯」も含まれる。

公平な精神の持ち主の検事だったら、フェイグリンの発言はジュネーヴ条約のもとで、
じゅうぶん逮捕するに足る相当理由を提供していると見なすだろう。

ジェノサイド条約の締約国は、それぞれの国内法廷で、ジェノサイド条約のもとで罪を
罰するよう義務づけられている。

世界の市民は、法執行機関や入国管理機関に対しこれらのジェノサイド的発言を周知す
るということも含め、ジェノサイド的行為を犯したフェイグリンその他のイスラエル
の指導者を逮捕し、利用可能な法的メカニズムを何でも使って、彼らを法廷に送るよう
努めなければならない。

■フェイグリンの声明の翻訳全文

フェイグリンのフェイスブックのページが彼自身のページだということは検証可能であ
る。クネセトのウェブサイトの彼の公式ページからリンクが張られているからである。
以下は、フェイグリンが8月1日にフェイスブックに掲載した声明である。デナ・シュ
ンラが全文、ヘブライ語から英語に翻訳してくれた。

神の助けとともに

ベンヤミン・ネタニヤフ首相に宛てて

首相、
ハマースが停戦を利用して、将校をひとり拉致したと聞いたところです。この軍事作戦
は、すぐに終わるようなものではなくなりました。

この軍事作戦の失敗は、最初からこの作戦自体に内在していました。なぜなら、

a)適切かつ明確な目標がなく、
b)我々の兵士を支える適切な道徳的枠組みもないからです。

今、必要とされているのは、オスロ合意は終わったという事実、これは我々の国であり
、ガザを含めて、我々だけの国である、という事実をしっかりと心に刻むことです。

2国家などというものはありません。二民族などというものもありません。一つの民族
のための一つの国があるだけです。

このことを心に刻んで、必要なことは、敵について、作戦の任務、戦略的目標、そして
もちろん、適切かつ必要な戦争の倫理についての定義に関して、深く徹底した戦略的再
検討をおこなうことです。

(1)敵の定義
戦略的な敵とは、イランからガザにかけての地域において、イスラエルのすべてを殲滅
しようとしている過激なアラブ人のイスラームですが、差し迫った敵はハマースです(
トンネルでも、ロケットでもなく、ハマースです)。

(2)任務の定義
ガザ地区全土の征服と、戦闘勢力とその支持者の殲滅。

(3)戦略的目標の定義
ガザを[第二の]ジャッファにすること、すなわち、敵性市民が可能な限り最少に抑え
られた、繁栄するイスラエルの街にすること。

(4)戦争倫理の定義:「邪悪なものはなんと不幸なことか、そしてその隣人もなんと
不幸なことか」

a)IDF(イスラエル軍)はシナイ半島の、海に接する境界地域に一定の空き地地区を
設け、そこに民間人を集中的に集める。ロケットを発射したり、トンネルに使われるよ
うな、建物が建て込んだ地区からは遠く離れたところに。これらのエリアに、適当な移
住先が決まるまで、テントの野営地を作る。これまでの人口が集中していた地域への電
気と水の供給は切断される。

b)これまで人口が集中していた地域は、最大級の火器で砲撃される。ハマースの民間
インフラ、軍事インフラのすべて、通信や兵站の手段も、その土台に至るまですべて破
壊される。

c)IDFはガザ地区を横と斜めに分け、回廊を著しく延長し、遠くまで見渡せる位置
を占領し、もし、レジスタンスが残っていれば、その巣を殲滅する

d)イスラエルは、ガザの難民の移住先を探し、割り当てる。移住したい者たちは、気
前よく経済援助パックが与えられ、かなりの経済的可能性をもってホスト国にやって来
ることができる。

e)あくまでもとどまるという者たちは、もし、ハマースと無関係であることが証明でき
たら、イスラエルに対する忠誠宣誓書に公に署名することが求められる、そして、東エ
ルサレムのアラブ人が持っているのと同じようなブルーIDを給付する。

f)戦闘する意志を持つものがいなくなれば、イスラエルの法が拡大され、ガザ地区全
土をカヴァーする。グーシュ・カティーフ[ガザ最大の入植地、2005年に撤退]から撤
退させられた人々は、彼らの入植地に迎え入れられる。ガザ市とその近郊はイスラエル
の観光都市、商業都市として再建される。

首相、
これは、イスラエル国家の歴史における運命の決断のときです。
イランとヒズボッラーからISISとムスリム同胞団まで、我々の敵は次々に転移しな
がら、その手を上機嫌にこすり合わせて次のラウンドを待ち構えているのです。

私がここで明示したものを下回る結果はどれも、イスラエルに対して彼らが攻撃し続け
ることを意味するのだということを警告します。ヒズボッラーは、我々が南のハマース
にいかに対処したかを理解したとき初めて、北から10万発のミサイルを発射するのを
止めるでしょう。

ここに提案された戦略を採用するよう所望します。
これをあなたが採用したとき初めて、イスラエルの全国民の圧倒的大多数が、私同様、
あなたの右に並ぶでしょう。

敬具

モシェ・フェイグリン

[翻訳:岡 真理]

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(その2)

■拡散歓迎■

京都の岡真理です。
サラ・サリービーの「マラクとアハメドはこのイードを永遠に忘れない」をご紹介しま
す。

昨日、お送りした、ハナ・バールーシャの「私たちは生き延びて、ガザの戦争犯罪の物
語を伝える」でも、イードについて触れていました。「イード」とは、イスラームのお
祝いを意味するアラビア語です。ラマダーン(断食月明け)のお祝いのイード・アル=
フィトルと、アブラハム(アラビア語でイブラーヒーム)が息子を犠牲に捧げようとし
た故事にちなんだ犠牲祭、イード・アル=アドハーの二つがあります。

今年は6月の下旬からラマダーンが始まりました。断食というと苦行を想像されるかも
しれません。たしかに夜明けから日没まで飲食を控えるのは、しんどいことです。暑い
夏であればなおさらです。でも、日が暮れると、人々は親戚や友人を互いに訪問し、断
食明けの食事をともにします。テレビも毎日、ラマダーン月のための特別番組を放映し
ます。街は深夜まで賑わいます。実はラマダーンは、ムスリムの人々にとっては、とっ
ても楽しい1ヶ月なのです。

そして、ラマダーンが明けると、待ちに待ったイードです。子どもたちは晴着を着て、
お菓子や玩具やお年玉をもらいます。親族が集まっていっしょにご馳走を食べ、空き地
には遊園地ができます。断食月明けのイードとは、ムスリムの子どもたちにとって、ク
リスマスのようなものなのです。今年、ガザの人々は、殺戮に殺戮のただ中で、イード
を迎えました。

著者のサラ・サリービーは、ガザ北部のジャバリヤ難民キャンプ出身。ガザ・アズハル
大学で英文学を学び、今は英語を教えています。英文サイトには、マラクとアハマドの
写真もアップされています。

■■ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
http://mondoweiss.net/2014/08/malak-remember-forever.html

マラクとアハメドはこのイードを永遠に忘れない

サラ・サリービー
Mondoweiss / 2014年8月3日

私たちは今年のイードをとっても楽しみにしていた。幼い弟と妹は断食月が始まったそ
の週に、イードで着る服を買ってもらった。あの頃はまだ、この狂気の戦争は始まって
はいなかった。二人は断食月のラマダーンが明けるのを今か今かと心待ちにしていた。
早く新しい服を着て、イードをお祝いしたくて。でも、戦争が、ラマダーンの2週目に
始まって、そのときから、楽しいイードを迎えるという二人の夢はしぼみ始めた。

私の幼い弟と妹は訊ねるのを止めない。いつ、これは終わるの?イードのお祝いはする
の?新しい服は着るの?二人は訊ね続けた、イードが来て、二人の疑問に答えを出すま
で。そこかしこの爆弾と死のニュースがその答えだった。

イードの最初の日、私は、母の従兄が殺されたという知らせで眠りから起こされた。母
は従兄の死を知ると、我を忘れて祖父の家に駆けつけた。私たちも数分後、母を追いか
けた。玄関で、亡くなったムハンマドの甥っ子や姪っ子たちが、敷居の上に座り込んで
泣いていた。子どもたちが泣いている光景に心が張り裂けそうだった。本当なら今頃、
この子たちは、イードをお祝いして楽しんでいるはずだったのに。代わりに、大好きな
おじさんの死を悼んですすり泣いているなんて。私は悲しみに沈みながら、殉難者の家
に入った。ムハンマドの奥さんと姉妹たちがいた。ショックを受け、悲しみでいっぱい
だった。その家にいる誰もが、起きたことが信じられなかった。ムハンマドが、あのい
つも笑顔を絶やさなかったムハンマドが、今はもういないなんて、永遠に。

戦争が始まってから殺された何百人もの人々のことを私は思った。今、起きていること
は、ガザじゅうのいたるところで起きていること、起きたこと、そしてこれから起こる
こと。そのとき外で大きな音がして、私の思考は中断された。何が起きたのか見るため
に私は外に出た。ムハンマドだった。男たちの肩に担がれて。誰もが殉難者のために歌
い始めた、「安らかに眠れ、ムハンマド。私たちは闘い続ける。」殉難者が家の中に入
る、そのあとに私たちも続きながら、誰もがこの言葉を歌っていた。ムハンマドは、旗
にくるまれて横たわっていた。彼が愛した誰もが最後のお別れを言いにやって来て、お
別れのキスをした。

ムハンマドは結婚していた。マラクとアハメドという二人の子どもがいた。マラクは4
歳、アハメドは3歳。泣かなかったのはこの二人だけだ。何が起こったのか二人は理解
していなかった。お父さんはただ眠っているだけだと、男たちがお父さんを仕事に連れ
て行って、そしてまたすぐに帰ってくるのだと、マラクは思っていた。お父さんが永遠
に行ってしまったなんて、マラクには分からなかった。自分が父のない子になってしま
ったなんて、分からなかった。

イードは、これまでのどのイードとも違った。辺りは悲しみで満ちていた。それでも子
どもたちがお祝いをして空襲のことなんか忘れようとしても、イスラエルは子どもたち
を追いかけて、遊んでいる彼らを殺したのだ。10人の子どもたちが殺された。イード
の最初の日、ビーチ難民キャンプの小さな観覧車に乗ってはしゃいでいるところを。

「自衛」のためなら、ガザでイスラエルが犯すあらゆる犯罪が合法とされるらしい。自
衛の名で、子どもたちは殺された。浜辺で遊んでいた子どもたち、自宅の屋上で遊んで
いた子どもたち、観覧車に乗って、はしゃいでいた子どもたちが。

[翻訳:岡 真理]
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以上



イスラエルの「脱シオニズム化」:アラブ=イスラエル紛争のイデオロギー的源泉を枯渇させること by limitlesslife
February 19, 2014, 7:53 am
Filed under: アラブ, イスラエル, シオニズム, パレスチナ

みなさまへ (BCCにて)松元

「人種主義と植民地主義の源泉となっているイ スラエルのシオニ ズム」、あるいは「シオニズムとユダヤ教はまったく別物」「ユダヤの戦争と呼ばれているものは正しくはシオニストの戦争」と指摘されてい ながら、日本人の 多くがシオニズムの理解は難しいというと聞きます。シオニズムについては多様な角度からの情報があった方がよいように思います。昨年11月には、アメリカのシオニスト権力機構の米国政策への影響力を論じたジェームズ・ペトラスの論考をお届けしました が、今回は、同時期にパレスチナ人が論じた「脱シオニズム化」の論考を拙訳ですが紹介させていただきます。

著者のニコラ・ナースィル氏は、主に欧米諸国 の読者対象に活躍 する西岸ビルゼイトのパレスチナ人ジャーナリストです。イスラエルはもとより米国・ヨーロッパの「脱シオニズム化」こそが、「この地域に おける平和を正夢 にさせ、歴史を正常なコースへと回復させるであろう」と論じています。欧米人に対する切実なパレスチナ人の期待と読むことができます。ま た、文中で触れら れているエルサレム諸教会の指導者による「キリスト教シオニズムにかんするエルサレム宣言」もご参考に拙訳を添えてみました。

シオニズム理解については、先回もヤコヴ・ラ ブキン氏の『イスラエルとは何か』(平凡社新書)を紹介しましたが、イスラエル/パレスチナ問題をめぐる現代史および世界史におけるその意味と位置づけについては、中東・イスラーム研究者の板垣雄 三氏の独自の歴史理解に学ばれることをお勧めします。(板垣雄三著『歴史の現在と地域学―現代中東への視角』、『イスラーム誤認』ともに 岩波書店、他多数)

また不十分ながら、いくつかの訳注を付しまし たが間違いもあるかもしれません。くれぐれも上記二氏の諸著を参考にしていただきたいと思います。

なお、このニコラ・ナースィル氏の論説につい て、板垣雄三氏か ら寸評をいただきましたので紹介させていただきます。現在のパレスチナをめぐる情況も浮き彫りにする以下の鋭い洞察は、パレスチナ問題を 考える私たちに、 さらに日本におけるさまざまな言説評価にさいしても、重要な指摘が含まれていると思います。(2014年2月16日記)

【「…原文も乱れているうえ、筆者は聖書の知 識でも欠陥があ り、アブラハムやヤコブへの約束を無視したり、バルフォア宣言について誇張した新(珍)説を持ち出したり…またアラブ社会の中のユダヤ教 徒という問題を ヨーロッパの「ユダヤ人問題」に安直に連結してしまう筆者の頼りなさに注目する必要があるでしょう。…」

「筆者ニクーラー・ナースィルが欧米の外交政 策ないしオート・ ポリティークとしての国際政治の変化の側からイスラエルの脱シオニズム化を進めようとして、欧米世論に訴えかける戦略をとっていることを 見抜く必要につい ては以前指摘したことですが、むしろ大事なことは、欧米読者向けに書く、というより欧米メディアを顧客として売り込む、そのために、彼が 採らざるを得ない 戦略戦術として、パレスチナ問題をイスラエル・パレスチナ紛争そして中東の平和をめぐる問題と捉え、正面から植民地主義とそれへの抵抗・ それからの解放の 問題だという本質を打ち出すことを控え、自制して、欧米メディアと欧米読者とに通用する用語と論理構成とを借りながら、国際的植民地主義 において欧米とシ オニズムとが一体的に複合する構造を半面適応的・半面教育的に掘り崩せないかという前記のような迂回戦略をこれでもかこれでもかと試みて いるうち、ミイラ 取りがミイラになる式で、彼自身がその思考法や論理の運びに慣れきってしまった観がある、という問題です。パレスチナ人同胞やアラブや世 界のムスリムに向 けてでなく、さらに日本人に向けてでもなく、欧米相手の言説の「たたかい」において、パレスチナ人ジャーナリストをしてそのように討死さ せるような、そん なパレスチナ問題なのだということを観なおさせる材料でしょう。…」

「植民地主義批判という本質論は抑制して「衣 の下の鎧」として 隠し、あくまで〈紛争〉解決・〈平和〉回復という欧米メディア・読者に合わせた議論の仕方で、メッセージを送ることを通じて、欧米の世論 や政策が変化する ことを期待し、そこからイスラエルという国のあり方を変化させる突破口が開けないものか、という筆者の試みから、私たちはあらためて八方 塞がりのパレスチ ナ問題の性質や構造を考えなおす機縁ともすることができるのではないでしょうか。」(板垣雄三)】

The “De-Zionization” of Israel: Drying up Ideological Wellsprings of Arab – Israeli Conflict

イスラエルの「脱シオニズム化」:アラブ=イスラエル紛争のイデオロギー的源泉を枯渇させること

ニコラ・ナースィル(Nicola Nasser)(松元保昭訳)

2013年10月30日

グローバル・リサーチ誌

 

Url of this article:
http://www.globalresearch.ca/the-de-zionization-of-israel-drying-up-ideological-wellsprings-of-arab-israeli-conflict/5356184

 

イスラエル国家の対内政策ならびに米国およびヨーロッパの 外交政策の脱シオニズム化こそが中東における平和の必須条件になってきたという認識が、徐々にではあるがイスラエルと世界の世論およ び公衆意識の中に着実に定着しつつある。

 

しかしながらこの認識も、欧米の外交政策をシオニズムへのイデオロギー的執着から解放させイスラエルが脱シオニズム 化するまでは、アラブ=イスラエル紛争におけるシオニストの イデオロギー的水源を枯渇させることも、あるいはそれを現実政治に反映させることも、いまだ時を待たねばならない。

 

ジェイムズ・トゥローブ(James Traub:ニューヨーク・タイムズ・マガジンを中心に批評活動で練達のジャーナリスト)は、今年10月25日『フォーリン・ポリシー』誌が掲載した彼の論文で、去る5月にバラク・オバマ大統領が「対テロ戦争の再定式化を公表」した演説を引き合いに出し、「われわれは 過激なイデオロ ギーが根付くあらゆる場所で軍事力を行使するわけにはいかず」、「永久戦争」に唯一代わるものは「過激主義の水源」を減らす努力を継続す ることだ、という 一節を引用した。

 

過去20世 紀の大部分をつうじ現在にいたるまで、中東における「永久戦争」と「過激主義」の「水源」は、(本来の)世俗的(シオニズム)が転じた宗 教的シオニズムの 「過激イデオロギー」と現実政治とが野合する不自然きわまる邪悪な組み合わせのなかに容易に見出すことができたはずである。

 

【訳注】文中の「世俗的転じて宗教的シオニズ ムthe secular – turned – religious Zionism」については、シオニズム変遷の理解が必要。シオニズムは本 来、伝統的ユダヤ教 から袂を分かちユダヤ教信仰の日々の実践を無視して自らを民族主義(ナショナリズム)と一体化する非宗教的な世俗的シオニズムとして台頭 した。しかし、バ ルフォア宣言を機にパレスチナの「領土」獲得が日程に乗ぼるようになると、聖書の言説「約束の地」を後ろ盾にした植民地的侵略を正当化す る過激な宗教的シ オニズムに転じた、と考えられる。その前史として、「シオニズム運動のプロテスタント的な源泉」があるが、前文紹介のラブキン氏の論説を 参考にされたい。

 

この組み 合わせは、母国で圧迫され反ユダヤ主義・ポグロム・ホロコーストの犠牲者にされていた西洋諸国のユダヤ人を人工的に寄せ集めた多国籍集団 に取って代えたた め、パレスチナ・アラブ先住民の倫理に反する住民追放を容認し正当化することを可能にさせ、かつ欧米人にとってはあたかもうわべだけ倫理 にかなったことの ように思わせた。

 

米 国およびヨーロッパのシオニスト・イデオロギーに対する一貫した執着が、彼らがこのイデオロギーの落し児=イスラエルこそ中東における最 大の「死活的利 害」のひとつとみなす処遇の核心にある。そしてこうした処遇がこんどは、反米主義その他アラブの「西洋」に対するさまざまな形の紛争の心 臓部に横たわって いる執着と化すのである。

 

アメリカの「新世界」という安全な避難所は、ヨーロッパ人にとっては、彼らの「ユダヤ人問題」を厄介払いして解決す るため時機を得た実際的な解決であった。この「避難所」は今やイスラエルが吸収したより多数のユダヤ人を吸収している。

 

共産主義者は彼ら自身の解決策を提示 した。それは旧ソ連の中国との国境近くのビロビジャンに[最初は共和国とする計画もあったが]ユダヤ人自治オブラスト(州)として実現し た。そこはおよそ300万人のユダヤ人の居住地ともなった が、共産帝国崩壊後その約3分の1はイスラエルに移住した。

 

国民国家が市民権の基礎として法の支配を重んじることは、こんにちヨーロッパの当世風の規範であり、そこではユダヤ 人は他の同国民が享受する憲法上の宗教的・市民的・政治的その他のすべての諸権利をひとしく十分に享受している。

もはや「ユダヤ人問題」なるものは、ヨーロッパに特定し ても、西洋一般に 拡げてみても、存在しない。もし、そんな問題がいまなおしぶとく続いているとしたら、むしろ政治や金融やメディアの分野で決定権を有する 者に及ぼすユダヤ 人市民の不釣り合いな影響力に関係した問題であろう。
にもかか わらず、イスラエル内外のシオニスト・プロパガンダは依然として熱烈な調子で、ユダヤ人はイスラエルの外では危険に晒された一生物種であ ると煽り立て、ユ ダヤ人の移住を誘い、彼らの間に二重国籍と二重忠誠とを奨励し、さらにイスラエルの外にいるすべてのユダヤ人を「難民」と見做しているの である。

 

パレスチナ人の一指導者でパレスチナ の国会議員でもあるハナン・アシュラーウィ(Hanan Ashrawi)は、彼女が昨年9月6日http://www.huffingtonpost.comに寄せた一文の中で、イラク出身の有力シオニストでイスラ エルの閣僚の一人でもあるシュロモー・ヒッレル(Shlomo Hillel)が語った言葉「私は、ユダヤ人が難民 としてアラブの土地を立ち去ったなどとは思っていない。彼らはシオニストとして来ることを望んだからここへ来たのだ。」を引用し、またイ ラク出身の移民でイスラエルの元国会議員ラン・コーヘン(Ran Cohen)の「私は言わねばならない。私は難民 ではない。私はシオニズムの指令に基づいて来たのだ。」と語った言葉も引き合いに出している。

 

結果的に は、抑圧されたヨーロッパ・ユダヤ人が中世ヨーロッパの異端審問の文化を避けて生き延びるため命からがら逃げ込んでいった先の、まさにそ のアラブの安全な 避難所の方に、皮肉にも「ユダヤ人問題」が移動したということなのである。今日、最大規模のユダヤ人マイノリティがモロッコのアラブ社会 の中に見出される のは、そうした歴史を物語っている。

 

このアラブの安全な避難所は、そのシオニスト・イデオロギーの結果、打ち続く戦争地獄・不安定・つねに進行形の紛 争・「ユダヤ人問題」再演の本拠地へと化してしまった。かつてはヨルダンを除く22のアラブ諸国の首都のすべてでユダヤ 人が繁栄するマイノリティをなしていたアラブ世界の中心に、65年前、イスラエル国家が人工的に創設 されたからである。

 

【訳注】実際に「アラブ諸国」がつくられたのは、第一次世界大 戦後の1920年、英国委任統治領パレスチナの範囲設定に合わせて英・仏が旧 オスマン帝国の領 域を分割する取り決めを決定した連合国のサンレモ会議に始まる。英・仏に加え日本・イタリアなど参加。ここから、アラブ諸国やトルコやイ ラン、そしてのち にイスラエルも加わる中東の「国分け」システムの形が出来てきた。ここで筆者が、パレスチナ問題を中東諸国体制という分断体制(オスマン 帝国分割の国分け システム)の視点から見ず、アラブ諸国がはじめから存在したという軽率な話にした点は批判されよう。(前文で紹介した板垣氏の諸論稿を参 照されたい。)

 

シ オニズムは、二つの基本的な論点を論争的に持ち出すことによってパレスチナにおけるイスラエル国家の創設を正当化している。すなわち、ま ず神がユダヤ人に その土地を約束したという論点であるが、ここでは、ヨシュアと彼の軍勢が「神の命令」でヨルダン川を渡りイェリコの町を破壊し男・女・子 ども・動物を皆殺 しにしたときより、はるか以前からそこに久しく住んでいたアラブ住民に一体何が起きたかは問題外となっている。

つぎなる論点は、1917年11月2日、時の英国外務大臣バルフォア卿 が、神の意志を伝えるべく遣わされた使者と自任して行動し、ユダヤ人がパレスチナに「ホームランド」を得るという現代の神の約束を発布し たことである。

 

【訳注】この「神の約束」は、アブラハムとの契約では「わたし はこの地をあなたの子孫に与える。エジプトの川から、かの大川ユフラテまで」(創世記:15章)となっているが、ヤコブの場合、「あなたの子孫は地のちり のように多くなって、西、東、北、南にひろがり」(創世記:28章)と神の約束が全地に拡大されている。またその契約は、「地 の約束」だけでなく「あなたの子孫は他の国に旅びととなって、その人々に仕え」(創:15-13)と、その在り方にも及んでいる。ユダヤ教徒の流謫、寄留の民 という在り方は、 戒律遵守の実践によってひたすら「贖い」を待つという「神の約束」によるものである。シオニストはこの「神の契約」を土地の所有と考えて パレスチナの領土 の獲得、「イスラエル建国」を正当化しているが、ヤコヴ・ラブキン氏は、これは「『約束の地』を占有する権利を断じて意味するものではな く」、「その地が 「約束」を受ける側ではなく「約束」を与える側に帰属しているということであり」「人為によって『聖地』を奪取することはしないというの が『神との約 束』」だ、と明言している。筆者は、シオニストたちが領土を強奪するときの正当化に持ち出すヨシュアのイェリコ侵攻だけを援用し、聖書の 逐語理解を借用す るシオニストの「約束の地」プロパガンダを批判的に扱っていない点は読者に誤解を与えよう。また「神の約束」説話は、聖書だけでなく当時 の他の諸民族の説 話にも登場していると考証されている。

 

さらに筆者は、「バルフォア宣言」の発布をバルフォア卿の主観 的(信仰的)信念 に帰しているが、当時、オスマン帝国と交戦状態に入ったイギリスがパレスチナの軍事的掌握のためにシオニスト指導者の懇請あるいはロス チャイルドの資金援 助付き要請を受け入れる必要があったこと、さらに19世 紀からユダヤ人国家を想定してきた植民地主義的構想の実現であったことなどに言及せず、まったく客観性を欠く論述になっていることは読者 を惑わせることに なろう。またシオニズム受容のプロテスタント的下地のあった帝国イギリスが、「パレスチナの地に民族的郷土を樹立する」として、さきの聖 書説話の「約束の 地」を現実政治の日程に乗せたことの罪はかぎりなく大きい。

 

ホロコーストという現代風の正当化は、他者すなわちアラブ・パレスチナ人が、彼らが犯したわけではない罪の代償を支 払わされている事実に注意を払うことはない。

さらに皮肉であるが啓発的でもある事実は、シオニズムがそもそもユダヤ人のオリジナルな創作ではなかったということ だ。

 

『キリスト教シオニズム:ハルマゲドンへのロードマップ?』(Inter-Varsity Press, 2004)の著者スティーブン・サイザー(Stephen Sizer)博士/師(シオニズム批判者として知られる英国の牧師・伝道者)は、去る8月1日の『ミドルイースト・モニター』紙上で「その運動[キリスト教シオニズム]の起源を尋ねれば、19世紀初期まで遡ることができ、その出発は、英国国教会の中の常 軌を外れた一部聖職者グループがキリストの再臨を必然ならしめる前提条件としてユダヤ人のパレスチナ帰還を求める働きかけを開始したこと だった。…したがってキリスト教シオニズムはユダヤ人のシオニズムより50年以上も先行していた。テーオドル・ ヘルツル(シオニズム運動の指導者、『ユダヤ人国家』[1896年]の著者)の最も強力な支持者の幾人かは、キリスト教の聖職者だった。」と書いている。サイザー博 士は、その論説のタイトルを「キリスト教シオニズム:中東の平和を蝕む新しい異端」としている。

 

彼スティーブン・サイザー博士は、エルサレムのキリスト教諸教会の首長たち、すなわちラテン教会 (ローマ・カトリック)エルサレム総大司教ミシール・サッバーフ(Michel Sabbah)、シリア正教会エルサレム大主教スウェリオス・マルキー・ムラード(Swerios Malki Mourad)、英国聖公会エルサレム主教リヤーフ・アブー・ル・アサル(Riah Abu El-Assal)、福音ルター派教会エルサレム監督ムニーブ・ユナーン(Munib Younan)とともに、2006年「キリスト教シオニズムに関するエルサレム宣言」に署名し公 表した。同宣言は、「われわれは、キリスト教シオニストの教義を、愛・正義・和解という聖書のメッセージを腐蝕させる誤った教説として、 全面的に拒絶する。」と結論づけている。

【訳注】サイザー博士は、署名した4名の在エルサレム諸教会指導者に招 かれ、ドナルド・ワグナーとともに宣言文の起草にあたった、というのが実態のようだ。なお本文末尾に、同宣言文の拙訳を添えた。

シオニストが作り上げた物語は、イスラエルの「新しい歴史家たち」から異議申し立てを受けた。ベニー・モリス(Benny Morris)、イラン・パペ(Ilan Pappe)、アヴィ・シュライム(Avi Shlaim)、トム・セゲブ(Tom Segev)、ヒッレル・コーヘン(Hillel Cohen)、バルーフ・キンメルリン(Baruch Kimmerling )、その他の歴史家たちは、すでに「ポスト・シオニズム」の構想について考察を重ねそれを創り上げて いた。パぺの結論は、シオニスト指導者らが計画し実行したのはアラブ・パレスチナ人の大部分を追放するための「民族浄化」だったというも のである。

 

シュロモー・サンド(Shlomo Sand)(イスラエルの歴史家、テルアビブ大 学教授)の三部作―『ユダヤ人なるものの発明』、『〈イスラエルの地〉という発明』、および未発表の第3巻『神なき世俗ユダヤ人なるもの の発明』―は、まさにシオニズムの土台に大きな打撃を与えている。

 

【訳 注】三部作の最初の作品は、高橋武智監訳『ユダヤ人の起源―歴史はどのように創作されたのか』(ランダムハウス講談社、2010年)で邦訳されているが他は邦訳未刊 行。また、ユダヤ人アイデンティティに焦点を当てたサンドの新作『いかにして私はユダヤ人であることをやめたか』も2013年、ヘブライ語から英訳されている。

 

シオニズム運動の初期段階では世俗的 シオニズムは宗教的な「世界のユダヤ人」一般から嫌われていたこと、またそれが強力なユダヤ教徒少数派から現在もなお依然として反対され ているイデオロギーだということは、シオニストたちが必死に覆い隠したがっている事実である。

 

ハイファ、エルサレム、およびテルア ビブにあった「国連通り」は、「シオニズムは人種主義および人種差別の一形態である。」とした1975年11月10日の国連総会決議3379の採択に対抗して「シオニズム通り」 と改名された。

75年の決議は、1991年の国連総会決議46/86によって無効にされる。しかし、現在 もなお進行中のイスラエル・シオニストのイデオロギーおよび常習行為は、1975年の国連総会決議を復権する方向で再 審議すべきであって、その破棄が時期尚早であったことを表している。

 

国連が代表する世界共同体は、1947年の決議181を 採択することによって、先住民アラブ・パレスチナ人と侵入したよそ者シオニスト植民者との間でパレスチナを分割し、またキリスト教シオニ ズムおよびユダ ヤ・シオニズムに操られるまま行動し、中東の平和の命運を断って来たるべき将来長きにわたり人道主義的希望を達成困難なものにするという 歴史的過ちを犯し たのである。

 

か つてユダヤ人は地域の歴史と社会編成の不可欠の一部をなしていたのに、シオニズムが現れるに及んでこの連係の実態は断ち切られてしまっ た。イスラエルおよ び世界政治の脱シオニズム化という必要条件さえ整えば、この地域における平和を正夢にさせ、歴史をその正常なコースへと回復させるであろ う。十字軍がこの 地域の歴史の遮断を惹き起こしたことは豊かな知識を与える先例であり、そこから教訓を引き出すことがあらゆる関係者にとって可能ではない だろうか。

 

Copyright © 2013 Global Research

(以上、本文翻訳終り)

 

【ご参考】

 

The Jerusalem Declaration on Christian Zionism

キリスト教シオニズムにかんする エルサレム宣言

http://imeu.net/news/article003122.shtml
http://int.icej.org/media/jerusalem-declaration-christian-zionism
「平和をつくり出す人たちは、さいわいである、彼らは神の子と呼ばれるであろう。」(マタイ5:9)

 

キリスト 教シオニズムは、シオニズムのもっとも過激なイデオロギー的立場を信奉する現代の神学的、政治的な動向であり、それゆえパレスチナとイス ラエルの公正な平 和にとって有害となっている。キリスト教シオニストの計画予定表では、帝国、植民地主義、および軍国主義のイデオロギーに福音が結び付け て考えられてい る。その過激な形態では、キリストの愛と正義が現在に生きているよりも、むしろ歴史の終末を導く黙示録の出来事を強調して考える。

 

われわれは、愛、正義、および和解という聖書の指針を堕落させる誤った教えとしてキリスト教シオニストの教義をきっ ぱりと拒絶する。

 

さらにわ れわれは、パレスチナを全面的に支配し無意味な国境を現在一方だけに負わしているイスラエルおよびアメリカ合衆国政府の構成員とともにあ るキリスト教シオ ニストの指導者たち、および組織の現代の同盟を拒絶する。これは、中東および他の世界のすべての人々の安全を脅かす終わりなき暴力の循環 を必然的に導いて いるからである。

 

われわれ は、あまねく存在するイエス・キリストが教えた愛、贖い、和解の福音よりも永続する戦争と人種主義的排他主義を進めるような政策を支持し 促進するキリスト 教シオニズムの教えを拒絶する。ハルマゲドンの破滅へ向かうと世界を運命づけるよりも、むしろわれわれは軍国主義と占領政策のイデオロ ギーから自らを解放 するようひとり一人に呼びかける。むしろ、国々の和解を追い求めようではないか!

 

われわれ は、占領政策と軍国主義の犠牲を被っているパレスチナ人とイスラエルの双方の人々のため、すべての大陸の教会のキリスト教徒に祈ることを 求める。これらの 差別的な行為は、イスラエルの排他的な入植地に囲まれてパレスチナを疲弊したゲットーに変えている。没収したパレスチナ人の土地の上に不 法な入植地を創設 し分離壁を建設することは、このすべての地域の平和と安全はもとよりパレスチナ国家の実現可能性をも妨害している。

 

われわれは、沈黙を破り聖地における公正な和解を語ることを沈黙しているすべての教会に呼びかける。

 

それゆえ、もうひとつの道として以下の行動基準をわれわれ自身の立場として誓約する:

われわれは、すべての人々が神の似姿として創られていると確信する。同様に、他者の奪うことのできない権利を尊重す ること、すべての人間存在の尊厳を尊ぶことを、われらは求められている。

 

われわれは、イスラエル人とパレスチナ人が、平和、公正、安全の中で共に生きることが可能であると確信する。

 

われわれは、パレスチナ人はイスラム教徒とキリスト教徒と共にひとつの民族であると確信する。われわれは、彼らの一 体性を分裂させ破壊するすべての企てを拒絶する。

 

われわれは、他者の犠牲をある人々に許すというキリスト教シオニズムおよびその他のイデオロギーの狭量な世界観を拒 絶するようすべての人々に訴える。

 

われわれは、公正で永続的な平和を達成するため違法な占領を終結する最も効果的な手段として非暴力抵抗運動を果たす ことを誓う。

 

われわれは、キリスト教シオニズムおよびその同盟者たちが、植民地化、アパルトヘイト、さらに帝国建設を正当化して いることを差し迫って警告する。

 

神は正義(公正)が行われるよう要求している。正義(公正)の基盤なしに、平和、安全、和解を保持することはできな い。正義(公正)の要求が見えないのではない。正義(公正)に取り組むことは、一生懸命、持続的に、かつ非暴力で続行されなければならな い。

 

「主のあなたに求められることは、ただ公義をおこない、いつくしみを愛し、へりくだってあなたの神と共に歩むことで はないか。」(ミカ書6:8)

 

これが、 われわれの立つところだ。われわれは、正義(公正)のために立ち向かう。ほかではありえない。正義(公正)だけが、わが大地のすべての諸 国民に繁栄と安全 な生活とともに和解につながる平和を保証する。正義(公正)の立場に立つことによって、われわれは自らを平和の仕事に用いて平和のために 働く神の子にさせ るだろう。

 

「すなわち、神はキリストにおいて世をご自分に和解させ、その罪過の責任をこれに負わせることをしないで、わたした ちに和解の福音をゆだねられたのである。」(コリント人への第二の手紙5:19)

 

ローマ・カトリック教会エルサレム総大司教マイケル・サッバーフ(Michel Sabbah)

シリア正教会の大主教スヴェリアス・マルキ・モラッド(Swerios Malki Mourad)

英国聖公会中東およびエルサレム監督リアー・アブー・エルアサール(Riah Abu El-Assal)

ヨルダンおよび聖地の福音ルター派教会監督ムニブ・ヨーナン(Munib Younan)

 

2006年8月22日
(以上、松元保昭訳)

 

 



by limitlesslife

イスラエルという国―ヤコブ・ラブキン「シオニズムの非神話化」

みなさまへ   松元@パレスチナ連帯・札幌

この論考は2009年のものですが、下敷きとなっているヤコブ・ラブキン氏(カナ
ダ、モントリオール大学)の主著【「Au nom de la Torah: Une histoire de
l’opposition juive au sionisme」(2004)】の日本語訳が『トーラーの名
において―シオニズムに対するユダヤ教の抵抗の歴史』(菅野賢治訳、2010年、
平凡社)と して刊行されています。(すでに10言語以上で翻訳刊行中。)豊饒
な学識を背景に、「シオニズムがユダヤ教の連続性に対して大胆な反乱であった
こ と」を克 明に論証しています。ユダヤ教内部からのこれほど完膚なきまでの
シオニズム爆撃論は、これまで無かったのではないでしょうか。その普及版とし
て本 年6月に 『イスラエルとは何か』(菅野賢治訳、平凡社新書、2012
年)が、かなりの新規加筆の章を加えて出版されています。ぜひ、お読みいただ
きたいと 思いま す。ここに訳出した論考は、これら両著の基本的なデッサンと
いえるものです。拙訳ですが、著者の了解を得て訳出紹介いたします。

ヤコブ・ラブキン氏は、ユダヤ国家を名乗るイスラエルをユダヤ教の教え(トー
ラー)のまな板の上に載せ詳細で厳しい倫理的審査によってイスラエル の根底
的 な批判を提示しています。明治維新後、あらたな民族形成に歩みだした日本
は、度重なる侵略戦争を経て第二次大戦の敗戦を経験し、今回、福島原発事 故
による 未曾有の災厄に出遭いました。今後、日本人がどのような民族形成を獲
得しようとするのか、どのような倫理的審査を自らに課すのか、氏に学ぶべきこ
とは多い ように思います。

Demystifying Zionism
By Yakov M Rabkin

http://www.informationclearinghouse.info/article23617.htm

■シオニズムの非神話化
ヤコブ・ラブキン著

2009年10月2日「インフォメーション・クリアリング・ハウス」

「シオニズム」という言葉は、さまざまな人々にそれぞれ異なる意味を与えてい
る。中には良かれ悪しかれ無条件にイスラエル国家を防衛する栄誉ある バッジ
に 使う人々もいる。いまなお多くのシオニストは、シオニスト国家というイス
ラエルの呼称に不愉快な思いを抱いている。彼らは、「ユダヤ人国家」であ り
「ユダ ヤ民族の国家」であることに固執している。自身をシオニストと認める
かなり多くの人々は、自分の悩みの種をおおやけに表明することをしたくないま
ま、イス ラエルの存在と実際にやっている姿に悩まされている。かなりのイス
ラエル人を含む他の人々は、共通の自滅への道であるイスラエル/パレスチナ紛
争 の和平へ の重要な障害としてシオニズムを見ている。最後に、いくつかの
サークルにおいてこの言葉はひとつの侮辱として使われている。

この論考では、シオニストの思想および宗教との関連についてその起源の輪郭を
描いてシオニズムの神秘性の覆いを取り除くつもりである。ここでは種 種雑多
な 見かけ上相矛盾する思考様式から、最近流行のかなり一枚岩の政治姿勢にい
たるまでシオニズムの展開のおよそを素描し考察している。論考は、今日多 く
の人々 に関わる二つの疑問に解答を提供して終える。すなわち、カナダ、米
国、他の多くの西側政府がイスラエル国家に提供している一貫したサポートをど
の ように説 明するのか、およびシオニズムの拒絶とイスラエル批判がしばしば
反セム主義(訳注1)の行為と見なされるのはなぜか、である。

【訳注1】この論考で著者は、ヨーロッパのカトリシズムおよびプロテスタン
ティズムに古くから根付いていた宗教的な「反ユダヤ主義 anti-Judaism, anti-
Juwish」と、19世紀後半に現れ20世紀に猛威をふるい今日イスラエルに利用され
ている民族主義的、人種主義的「反セム主義 anti-Semitism, anti-Semitic」を
区別している。

◆起源

シオニズムは、ヨーロッパの歴史および人間と社会が変化し始める現代史の最後
の運動の所産である。シオニストとその反対者の双方は、シオニズムと イスラ
エ ル国家はユダヤ人・ユダヤ教徒(訳注2)の歴史における革命であり、19世
紀および20世紀におけるヨーロッパ・ユダヤ人の解放と世俗化とともに 始まっ
た 革命の一部をなしているという点では一致している。

【訳注2:jew, jewishは、ユダヤ人あるいはユダヤ教徒を意味するが、文脈に
よってはそのどちらかをあてがい、多くは「ユダヤ人・ユダヤ教徒」と表記した。

ヨーロッパの多くのユダヤ人・ユダヤ教徒を襲った神なき世俗化(訳注3)の波
は、シオニズムを出現させる要因が不十分にもかかわらず、ひとつの必 然で
あっ た。いまひとつの重要な要因は、人種的あるいは科学的な反セム主義とい
う世俗イデオロギーを抱え込んでいたヨーロッパ社会へのユダヤ人の参入に敵
対する抵 抗でもあったということである。改宗による救済を目標とするキリス
ト教の反ユダヤ主義と違って、現代の反セム主義はユダヤ人・ユダヤ教徒をヨー
ロッパ人と その文明にとって本来的に他者、敵ですらある人種あるいは民族と
みなしている。

【訳注3】secular、secularizationは、世俗的な、非宗教的な世俗化である
が、宗教的なものに対立する含意を強調して「神な き世俗化」と訳してみた。

神なき世俗化(セキュラリゼーション)は、さらに次のものの内部からユダヤ
人・ユダヤ教徒のアイデンティティを変革した。伝統的なユダヤ教徒は彼 らが
何を 行うかあるいは何を行うべきかによって識別されたが、新しいユダヤ人は
彼らが存在していることで見分けられた。じっさい彼らは同じ宗教の習慣を
もっている だけで、ポーランドから、イエメン、そしてモロッコのユダヤ人ま
で同じエスニック・グループ(種族集団)に属しているどころか、大胆にも聖書
的ヘ ブライ人 の子孫であると見なされたのである。テルアヴィブ大学のシュロ
モ・サンド教授のように若干の人々は、エスニック概念としてのユダヤ民族は、
19世 紀後半に おけるシオニズムの必要性によってたんに「発明された」もので
あったと主張している。結局、彼らはナショナリスト(民族主義者)であるため
にひと つの民族 を必要としたのである。

エルサレムのヘブライ大学イエシャーフ・レイボヴィツ教授の晩年の言葉に、

「歴史上のユダヤの民は、同じ言語を話すひとつの民族としてでもなく、この国
あるいはこの政治制度の国民でもなく、ましてや人種でもなく、トー ラーのく
び きおよびその戒律…の受け入れを表明する特定の生き方をもつ人々として、そ
の精神的および実践的な双方のレベルにおける特定の生活様式をもつ人々 とし
て、 トーラーのジュダイズム(訳注4)とその戒律の民として定義されたもの
であった。この自覚こそ、この民の中で効力を発揮したものであった。それこ
そが民族 の本質を形づくり、世代を貫いてその自覚を維持し、時代や状況にも
かかわらずそのアイデンティティを保持することが出来たのである。」

【訳注4】Judaismは、ユダヤ教あるいはユダヤ思想であるが、「ジュダイズ
ム」と表記した。

シオニズムは現代的、民族的なものを選択して、伝統的な定義を拒絶した。した
がってシオニストたちは、まったく別個の民族ないし人種としてユダヤ 人・ユ
ダ ヤ教徒にかんする反セム主義的見解を受け入れ、さらに、堕落した非生産的
な寄生虫であるとユダヤ人に向けられた反セム主義の非難や責めの多くを内 面
化し た。シオニストたちは、ユダヤ人・ユダヤ教徒の嘆かわしい状態から彼ら
を改革し回復することに着手し始めた。元パリ駐在イスラエル大使、エリ・バ
ルナヴィ 教授の言葉によれば、「シオニズムは、ユダヤ人の実存的不安を解消
する救済策を必死になって探し出し、ラビに背を向けて現代的なものを熱望し
た… 同化ユダ ヤ人と知識人の発明であった。」しかしながら大部分のユダヤ教
徒は、まさにその始まりからシオニズムを拒絶した。彼らはシオニストが、最悪
の敵、 反セム主 義者たちを利する行為をしていることを分かっていたのだか
ら。前者がイスラエルにユダヤ人を集めようとしていた一方で、後者はユダヤ人
という状態 から解放 されたかった。シオニズムの創設者テオドール・ヘルツル
は、反セム主義者たちを彼の運動の「友であり味方である」と見なしていた。

シオニズムの中の多くの潮流で成功したものは、つぎの四つの目標を公式化し
た。①トーラーに集中していた国家を越えた治外法権的なユダヤ教徒のア イデン
ティティを、当時のヨーロッパ諸国によく見られた民族的アイデンティティに変
質させること。②聖書的およびラビ的ヘブライ語を基礎にした新しい民 族言語を
開発すること。③ユダヤ人・ユダヤ教徒を彼らの出生の国からパレスチナへ移送
すること。そして④必要なら力づくで、かの地の至る所に政治的経済的 支配権を
確立すること。ポーランド人、あるいはリトアニア人のように他のヨーロッパ・
ナショナリストが帝国権力から「彼ら自身の主人」となるためにもっぱ ら祖国
を 力づくで支配するだけであったものが、シオニストたちは最初の三つの目標
を同時に達成するために、はるかに大がかりな挑戦に直面した。

シオニズムは、謙遜と譲歩を装う一時的な熱狂であり、伝統的なジュダイズムに
対するひとつの反乱であった。それは、神聖な神の摂理を信頼する柔和 で敬虔
な ユダヤ教徒を、自らの力に頼る恐れを知らない非宗教的な(世俗的な)ヘブ
ライ人に変質させる断固とした試みであった。この劇的な変化は、ひとつの 見
事な成 功であった。

◆シオニズムと宗教

イスラエルの同僚の皮肉な見方によれば、「この地に対するわれわれの権利は、
簡単に言えば『神は存在しないが、神がわれらにこの地を与えたもう た』とい
うことだ。」 まさしくシオニストの事業の根底には、神なき世俗的ナショナリ
ズムと宗教的レトリックとが横たわっている。

確かにシオニズムは、祈りの言葉や救世主への期待を政治的・軍事的行動の鬨の
声に変えた。ヘブライ大学教授シュロモ・アヴィネリは、シオニズムに ついて
の 彼の理論的な歴史記述において、「大部分のキリスト教徒がキリストの再臨
を待ち望む以上には、ユダヤ教徒はさらに行動的な方法で帰還のヴィジョン に
関連さ せはしなかった。…この事実は、感情的、文化的、および宗教的な情熱の
すべてにとって、パレスチナとの関連ではディアスポラにおけるユダヤ人の生
活習慣を 変えることはなかったということである。ユダヤ教徒は、世界を変え
彼らをエルサレムに連れて行くという救済のために一日3回祈りはするが、彼ら
は 実際にエ ルサレムに移住するわけではなかった。」 これらのことは、ユダ
ヤ的伝統が集団的に、言うまでもなく情熱的にも、パレスチナの地に帰還するこ
とに希望を失っているというわけではない。この帰還は、 全世界のメシア的な
救済の一部として働いているということである。

シオニストの目論見が、伝統的なユダヤ教徒の間にただちに対立を引き起こした
ことはすこしも驚くことではない。「シオニズムは、かつてユダヤ民族 に現れ
た もっとも恐ろしい敵である。…シオニズムは、その民族を殺し、あろうことか
その死体を玉座に献げたのだ。」 とほぼ一世紀前に、卓越したヨーロッパのラ
ビが公言していた。イスラエルの学者、ヨセフ・サルモンがこの対立を説明して
いる。

「もっとも深刻な危機を提供したのは、シオニストの脅威であった。というの
も、救世主的待望の目標であるディアスポラ(離散)とイスラエルの地の 双方
にお いて、ほかならぬ相続権が属する伝統的コミュニティを強奪しようとした
からであった。すなわち、現代的、民族的なユダヤ人のアイデンティティにか
んするそ の提案において、新しいライフスタイルに対する伝統的社会への服属
において、ディアスポラと救済にかんする宗教的理念に向かう心構えにおいて、
シ オニズム は伝統的ジュダイズムのあらゆる局面に挑戦した。シオニストの脅
威は、あらゆるユダヤ・コミュニティに及んだ。それは包括的で容赦がなかった
た め、それゆ え妥協のない対立に直面した。」

「シオニストたちはダビデとゴリアテの役割を逆にして、けして戦争を讃えずけ
して軍人を崇拝しなかったジュダイズムの堕落に帰す砲弾と銃剣のジュ ダイズ
ム を創設することになるだろう。」と、イスラエル国家独立宣言のかなり以前
から、ラビたちもまた重大な懸念を表明していた。これは、1967年にイ スラエ
ル 軍に征服された占領地において、とりわけシオニスト入植地の原動力となっ
た国家宗教運動の中で実際に起きたことであった。

伝統的なユダヤ教徒のシンボルを本質的に神なき世俗的シオニズムに接ぎ木する
ことは、いかに矛盾しようとも効果は絶大である。イスラエルの力に対 する依
存 という自己理解は、彼らが崇めつづけているラビたちのシオニズムへの原理
的な拒絶にもかかわらず、それに気づいている多くのユダヤ人・ユダヤ教徒 の
あいだ でさえ増大した。より重大なことは、世俗的で無神論的な何百万もの
人々に、新しい宗教としてシオニズムがジュダイズムに取って代わったことであ
る。彼ら は、イスラエルにかんする不愉快な事実を避け、イスラエル非難を反
射的に拒絶する。あたかも、ひとつの理想としてソ連を援助した西側共産主義者
の ように、 彼らは善良なユダヤ人としての行動を信じて、ほとんど現実とは無
縁の理想的で仮想のイスラエルを応援し歓呼することになる。

同時に、ユダヤ人/教徒の幅広い多様性は、ユダヤ人/教徒の倫理的価値を破壊し
ユダヤ人/教徒を危機に晒しているとイスラエルや他の各地で訴えシ オニズム
に反対し続けてもいる。ユダヤ人の民族主義(ナショナリズム)にしがみつく
人々とそれを憎悪する人々のあいだの破断が、いつの日か修復されるかど うか
はま だ誰にも分からない。言い換えれば以前のキリスト教のように、シオニズ
ムはジュダイズムとは無関係な新しいアイデンティティを形成するだろう。

シオニズムがユダヤ人/教徒に深刻な分裂を招いている一方で、シオニズムは米
国および他の地域で幾千万もの福音主義キリスト教徒と一体となった。 彼らの
う ちの一部の者は、イスラエルは「ユダヤ人にとって以上にキリスト教徒に
とってさらに重要である」と主張している。有名な福音派の伝道師レバレン
ト・ジェ リィ・ファルエルにとって1948年のイスラエル国家の創設は、「イエ
スの昇天以来、歴史上もっとも決定的な出来事であり、…聖地にイスラエル国 家
なくし てイエス・キリストの再臨はありえず、最後の審判も終末もない。」 イ
スラエルのためにキリスト教徒がひとつになった連合は、ユダヤ人世界の総計
(1300万~1400万人の間)より何十倍ものサポーターに値する。19世 紀後半に
ユダヤ人がそれを取り込むかなり以前、アングロ・アメリカのプロテスタント世
界に現れていた実際に聖地にユダヤ人を集めるというまさにこ のプロ ジェクト
以来驚くこともないことだが、今日、大部分のシオニストはキリスト教徒である。

◆シオニズムの展開

シオニズム内部の政治的イデオロギーは、好戦的で排他的なナショナリズムか
ら、ヒューマニスティックな社会主義や民族的共産主義にいたるまで、変 奏を
重ね るのが常だった。前者が、圧倒的な軍事力に直面した先住民のパレスチナ
人はシオニストの植民地化にただ黙って従うだろうと確信していた一方、後者
はその発 展経過と近代化の最終的利益は、入植者と被植民者とのプロレタリア
的一体性を導くだろうと信じていた。強引な個性をもって植民地主義者を公然と
支 持した右 派のウラジミール・ジャボチンスキーと違って、シオニストの先駆
者の大部分の社会主義者は、シオニストと先住民の間の土地をめぐる対立を認め
るこ とを拒ん だ。ムッソリーニを賛美し「戦争、反乱、そして犠牲」のための
ユダヤ人の動員を叫んだジャボチンスキーは、社会主義シオニストの「潔白な武
器」と いう彼ら の主張と幻想を嘲笑った。

じっさい武力行使を重視する点では、社会主義シオニストのあいだではほとんど
が共通であった。確かに、1920年代のファシストでさえ彼らは反動 的だと考 え
ていて、何千という社会主義者や共産主義者、および一般のシオニストたちがユ
ダヤ人国家のアイディアに反対されていたのである。同時に、労働シ オニスト
の指導者たちは、ムスリム諸国からのユダヤ人移民や現地のアラブ人に対して
は、社会主義者の平等主義という基本原則を適用しなかった。社会主義 は、本
質的 な社会的政治的価値というより、むしろナショナリズム(民族主義)の大
義名分のために利用すべき道具以上のものではなかった。将来のイスラエル国
家の創設 者であるデヴィッド・ベン=グリオンは、1922年に次のように表明して
いた。

「われわれの活動方針を決定できるのは、社会経済的な生産の完璧な制度の諸原
理にわれわれを調和させて活動を導く方法を探し出すことではない。わ れわれ
の 思想と任務を決定すべき重大な関心事は、土地の征服と大規模な移住によっ
てその道を築くことである。あとの一切は、たんなる議論や言葉遣いの問題 に
すぎな い。そして…惑うことはない…われわれは政治的な情勢を配慮して前進し
なければならない。つまりこの地域および海外におけるわが民族の力とその力
関係を しっかり認識して前進しなければならない、と言うべきである。」

イスラエル右派集団のもっとも著名な歴史家ゼーヴ・シュテルンヘルによれば、
ベングリオンの社会主義は第一次世界大戦直後の時代のドイツ民族社会 主義に
吹 き込まれたものだった。彼の著書『シオニズム神話の創設』の序論では、ベ
ングリオンの政治的見解である国家社会主義と称することを避けるために 「民
族社会 主義」なる語を発見することに、シュテルンヘルはどんな苦労もいとわ
ない。一部のシオニストが国際的左翼に感心されていた1950年代の「小さい が
美しい イスラエル」の消失を嘆いている一方で、必然的に現地住民の入れ換え
を必要とする実践的シオニズムは、シオニスト先駆者たちを夢中にさせた社会主
義者の理 想から遠く離れた排他的な民族主義に向かって発展することが期待さ
れていた。

◆西側の援助

かつてイスラエルの政治評論家は、もしジャン・マリー・ルペンが彼の政党をイ
スラエルに移籍したなら、この国の政治勢力の中心左派に彼の政党を見 出すだ
ろ うと語っていた。イスラエルのメディアは、2009年に選出された議会を「レ
イシスト」および「ファシスト」と呼んだ。この選挙は、その陰で何千 という
民 間人の死傷者を出した大規模なガザ攻撃を支持した大衆に押されて勝利を収
めた。新政府は、ユダヤ人反対派グループへの警官の嫌がらせを増大し、一 連
の抑圧 的な立法措置を提案し、かつ国連当局者の入国を妨害した。

しかしながら、オーストリアにおけるハイダーの大臣任命、あるいはガザのハマ
ス選挙でさえ、引き続く非難をともなうこれらすべてに西側諸国政府は 反応し
な かった。大部分の政府は、イスラエル民主主義の強健さに信頼を表明して非
難声明を避けた。カナダの保守党政権は、イスラエルとの治安協力および熱 心
な支持 政策を続行した。イスラエルは、なぜこれほどまでに西側諸政府の支援
を享受しているのか?

理由のひとつは、イスラエルの政治的、社会的、および経済的な諸条件の右傾化
への転換である。競争が社会的連帯に取って代わり、富裕層と貧困層の 格差は
増 大し、さらに民営化はキブツを侵食した。これは、ソビエト連邦崩壊のあと
を追った大多数の西側諸国の福祉国家解体への施策とぴったり符合する。あ た
かもソ ビエト・インターナショナリズムの反動のように、初めにバルト諸国の
共和政体で、遅れてヨーロッパの残りの国々で公然としたエスニックな民族主義
が復活し た。平等主義者の寛大な言説は、かつての支配的な立場を「他者」を
排除する企てに譲ってしまったのだ。

自由主義的価値観は、他の何よりも一つの文化、一つの宗教、ただ一つの人種の
優位を宣言することが容認されなくなったポスト・コロニアル時代に台 頭し
た。 第三世界の支持を獲得するため超大国間で激しい戦闘が管理されていたこ
とと並行して、冷戦は人種差別を違法なものとした。ヨーロッパおよび世界中
の植民地 においては、過去の人種差別主義者の行為にかんして恥と悔恨が表明
されていた。冷戦の終結は、このプロセスを逆転した。ひとつはSS兵士がウクラ
イナに建 てたモニュメントが判明して、また、ロマ、アフリカ人、アジア人が
ヨーロッパのいたるところで乱暴に襲われたことに注目して、フランスにおいて
植 民地支配 の正当化にかんする弁明が聞こえ始めた。チェコスロバキアは民族
的な境界線に沿って平和裡に分解したが、ユーゴスラビアの崩壊は大量虐殺を
伴っ た。西側諸 国がアフガニスタンおよびイラクを戦争に巻き込んだとき、民
族的および宗教的な行為にかんする「固有の」要素を勘案することが合法性を回
復したの だった。

ここで再び、市民ではなくエスニック(種族的)なナショナリズム(民族主義)
を採用しているイスラエルが流行仕掛け人として登場した。シオニスト として
は、彼らの国家の土台に先住民に対する不法行為が横たわっていることを認めな
いだろうし、追放されたパレスチナ人が憎しみを我慢していることを彼 らの強
制 追放と土地の没収への憤りのせいだとは考えないだろう。むしろ「アラブ」
は、分別もなく憎むだけの人々、宗教的狂信、あるいはさらに現代のナチと し
て描か れている。一部の人々は、彼らを、多くの植民地開拓者に共通する動物
学的用語リストの、動物や虫になぞらえてさえいる。9・11事件に対する西側 の
反応 は、進歩と自由にかんするアラブの非理性的な憎悪、および「ユダヤ・キ
リスト教的」価値に対する先天的な敵意というイスラエルの物語を喜んで採用
した。さ らにイスラエルは、キリスト再臨の先駆けをイスラエルに見る福音主
義右派に歓迎されている一方で、西側諸国に指揮された「対テロ戦争」に対する
高 度の専門 知識および技術にかんする特権的な情報源として重大な役割を演じ
てきた。

しかしながら、民主主義的な劣勢に陥って以来、西側の援助は脆弱になってい
る。彼らの政権がイスラエルを熱心に支持している各国の世論は、一貫し てイ
スラ エルを世界平和の主要な脅威と見なしている。経済界がイスラエルへの称
賛を表明している一方で、労働組合やその他の草の根(グラス・ルーツ)諸組
織は資本 引き上げや制裁のボイコット・キャンペーンを繰り広げてアパルトヘ
イト国家としてのイスラエルを強く非難している。しかしイスラエルは、断固と
し て自身を 正義の標識と位置付けてきた。

◆シオニズムを拒否しイスラエルを批判することは、反セム主義か?

大多数のパレスチナ住民―キリスト教徒、イスラム教徒、およびかなりのユダヤ
教徒―の意思に反して単独で独立を宣言した1948年以来、イスラエ ルの指導 者
たちはユダヤ人の種族的多数派の確保について悩み始めた。彼らは、他の国々の
ユダヤ市民の移民を促進する方法の範囲を拡大した。本物か偽物かと いう―反
セム主義の脅迫を受けた大多数の移民がイスラエルに移動した以上、反セム主義
はイデオロギー的理由というよりむしろイスラエルの利益に大いに役 立ったと
い える。

今日では、反セム主義はほとんどの場合中東紛争の副産物となっている。ユダヤ
人は、TV放映にあふれているイスラエルの戦闘爆撃機、銃を所持した 兵士た
ち、シオニスト入植者たちに、ますます結び付けられている。しかしながら、イ
スラエル政府当局は、パレスチナ人に対する彼らの政策が世界中の反セ ム主義
の 原因となっているとは考えていない。それとは反対に、反セム主義の高まり
はイスラエルの中でユダヤ人を安心させればいいという彼らの主張を支え、 実
際には 移民を増大させている。

同時に、「イスラエルの臣下たち」(しばしばユダヤ人指導者と誤解された人物
で前駐仏イスラエル大使エリ・バルナヴィによって造り出された言葉) は、イ
ス ラエルに対する忠誠を公言するだけでなく、老人ホームや病院などを含むユ
ダヤ人施設の玄関に挑戦的にイスラエル国旗を掲げてさえいる。このような イ
スラエ ルと他の国々のユダヤ人・ユダヤ教徒市民との合成は、敵意を招き反セ
ム主義を挑発している。標準的なシオニストは、イスラエルが―大部分のユダヤ
教徒が支 配もされず居住もしていない遠く離れた好戦的な国家であるにもかか
わらず―、イスラエルのやることなすことが世界中のユダヤ人・ユダヤ教徒を巻
き 込む「ユ ダヤ民族国家」であると主張している。イスラエルをユダヤ人国家
と呼ぶことは、予想されるように反セム主義を助長し反ユダヤの暴力を増殖する
こと になって いる。

これらの「イスラエルの臣下たち」は、反セム主義の告発にともなうもっとも穏
当なイスラエル批判さえ圧殺することで、反ユダヤ感情をさらに高めて いる。
こ れとは逆に、イスラエルの行動に反対し発言するユダヤ人は―「カナダ独立ユ
ダヤ人の声」のように―原理主義的な反セム主義的信条を衰弱させてい る。彼ら
は、世界ユダヤ人の陰謀という反セム主義的デマに真っ向から反対して、ユダヤ
人の生活現実の多様性―「二人のユダヤ人に三つの見解」―を具現化し ている。
だが、ユダヤ人だけがシオニズムとイスラエルについて議論する「公認された」
唯一の人々である必要はない。

ユダヤ人・ユダヤ教徒と彼らの歴史にかんするイスラエルによる合成は、理性的
な議論を抑圧しまた混乱を助長している。以下の概念について比較対照 し識別
す ることが重要な所以である。シオニズムとジュダイズム。国家としてのイス
ラエル、地域としてのイスラエル、領土としてのイスラエル、そして聖地と し
てのイ スラエル。ユダヤ人・ユダヤ教徒(イスラエル人とその他のユダヤ人・
ユダヤ教徒)、イスラエル人(ユダヤ人と非ユダヤ人)、シオニスト(ユダヤ
人・ユダヤ 教徒とキリスト教徒)と反シオニスト(再びユダヤ教徒とキリスト
教徒)。イスラエルは、ホロコーストやオデッサのポグロムを参照することな
く、そ れ自身の 長所と欠点に従ってどんな独立国家とでも同じように扱われる
べきである。イスラエルについて議論する場合、反セム主義の含みを避けるため
にシオニ ズムがユ ダヤ教の連続性に対して大胆な反乱であったことを忘れない
こと、そしてイスラエル国家とその行動からユダヤ人とジュダイズムを切り離し
て考えるこ とが重要 である。

シオニズムにかんするイスラエル知識人のひとりボアズ・エヴロンは、このしば
しば感情的な問題に対して良識ある判断力を示している。

「イスラエル国家、および世界のすべての国家は、出現しそして消滅する。イス
ラエルという国家は、明らかに100年、300年、500年の間に消 滅するだ ろう。
しかしユダヤの民は、ユダヤ教が存在する限りおそらく1000年以上も存続するだ
ろうと、私は思う。この国家という存在は、ユダヤの民に とって問題 ではな
い。…世界中のユダヤ教徒は、国家など無くともほどほどに善く生きることが出
来るものだ。」(完)

(松元保昭訳)

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