四国電力伊方(いかた)原発3号機(愛媛県伊方町)について、原子力規制委員会が新規制基準に適合しているとの審査書案をまとめた。九州電力川内(せんだい)原発、関西電力高浜原発に次ぐ3例目だ。

今後、審査書が正式決定されれば、再稼働に近づく。

伊方3号機は東京電力福島第一原発と違い、加圧水型だ。運転開始も94年と国内では新しい世代で、新基準にも比較的対応しやすいとみられてきた。

だが川内や高浜と同様、基準をクリアしても、取り組むべき課題は残っている。

一つは住民の避難計画だ。

伊方原発は海に突き出た佐田岬半島の付け根にある。原発事故で放射線が漏れた場合、半島部の住民約5千人が孤立する恐れがある。県の避難計画では、船で県内か対岸の大分県へ向かうことになる。

大分への定期船だと避難完了に16時間半かかる。自衛隊などの船を使えば4時間半で済むというが、津波がくればどうするのかなど、住民の不安は強い。県が主導して、計画の実効性をより高めていく必要がある。

再稼働に対する地元同意もこれからだ。

同意の根拠となる安全協定を四国電力と結んでいるのは愛媛県と伊方町だけだ。しかし避難計画づくりが義務づけられている30キロ圏内にはほかに愛媛県の6市町と山口県上関町が入る。

同意対象を立地自治体のみにせず、少なくとも30キロ圏の自治体の意見を反映させる仕組みを四電と愛媛県は考えるべきだ。

規制委の審査では、原発の北約8キロにある国内最大級の活断層「中央構造線断層帯」での地震対策が焦点となった。四電は基準地震動を引き上げて耐震策を強化したが、専門家から「想定が甘い」という声も出る。

耐震設計の基礎となる基準地震動の妥当性は、高浜と川内に対する福井、鹿児島両地裁の判断が異なったように難しい問題だ。四電は規制委が了承したとしても、今の想定で本当に大丈夫なのか、新たな知見を取り入れることを怠ってはならない。

福島原発事故前、原発依存度が4割を超えていた四電は原発の全停止を受け、一昨年、料金を値上げした。経営を安定させるため、既存の原発を活用したいという姿勢は否定しない。

だが事故後の社会環境の変化を考えれば、再稼働はあくまで将来的な「原発ゼロ」への一時的な選択肢と考えるべきだ。

四国は原発なしでも供給力に比較的余裕がある。四電と国、自治体は時間を惜しまず、課題の解決に努めるべきだ。