Global Ethics


介護人材、アジアで過熱 技能実習生の職種拡大へ 松川希実 by limitlesslife
介護人材、アジアで過熱 技能実習生の職種拡大へ 松川希実
朝日新聞 2016年12月5日

介護現場で働く外国人が、早ければ来年度から大幅に増えそうだ。技能実習制度とし
て受け入れる道が広がったためで、アジアの国々では人材の争奪戦が過熱。人材不足に
あえぐ日本の施設も狙いを定めるが、技能や知識を途上国に移すという制度の目的とか
け離れた動きになっている。

■渡航前に実習、日本語訓練

11月半ば、ミャンマー最大の都市ヤンゴンの一室に日本語が響いた。

「じゃあ言うよ。実は、まんじゅうが怖いんだ」

20代前半の男女5人が、古典落語「まんじゅうこわい」を音読していた。オチまで
読んでニヤリ。「これは笑い話ですね」と日本語で言い合った。5人は日本の介護現場
で働くことをめざし、1年間にわたり訓練を受けている。

この教室は、日系のジェイサットコンサルティング(JSAT)が昨年7月に医療団
体と協力して開設。介護に特化した人材育成プログラムだ。まず適性を見るため、1カ
月の座学を経て老人ホームで1カ月間の実習をする。掃除やオムツ洗いをやり切った人
だけが日本語訓練に進む。「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる」と
いう日本語能力試験3級以上のレベルが目標だ。

西垣充(みつる)社長(46)は「介護をやりたい人材でなければ、日本での仕事に
疲れて逃げてしまう。きちんと育てれば良い人材が育つ例を示したい」と意気込む。

適性試験に合格し、6月から日本語教室に通うウィー・イー・トゥーさん(24)は
日本の介護現場で働いてお金を稼ぎ、育ててくれた祖母に恩返しをしたいと希望。「仏
教のクドー(功徳)にもなるし、いつか故郷に老人ホームを建てたい」と夢を膨らませ
る。

日本の介護現場は人材不足が深刻で、2025年には約38万人が足りなくなるとさ
れる。東京都のある特別養護老人ホームは求人活動で人を集められず、今年度は20人
確保するため人材派遣会社に1200万円を払った。別の介護施設の担当者は「技能実
習生なら5年は働く。1人100万~200万円の手数料を払ってもいい」と漏らす。

日本へ技能実習生を最も多く送り出してきた中国は近年の経済成長で希望者が減少。
ミャンマーは人口5千万人超で平均年齢が27・1歳と若く、人材の送り出し国として
注目が集まる。

ヤンゴンには「CHIBA(千葉)」や「TSU(津)」など日本各地に溶接工などと
して送り出した人数を掲げる事務所が点在。「介護人材募集」と貼り出す老舗の担当者
は「日本の介護人材は足りないから集められるだけ送れる」とし、人集めの秘策を明か
した。

日本の施設が求める人材の日本語能力に応じて、「基本的な日本語を理解できる(4
級)人材は20万円」「3級なら30万円」と、あっせん費用を引き上げる。上乗せ分
を奨学金として実習希望者に渡せば、他社より集められるという戦略だ。当面は月70
人の送り出しを目標にする。

ミャンマーの認定送り出し機関は約200。この2年ほど、日本の介護施設からの問
い合わせが相次ぐ。

大手送り出し機関には昨夏、「山口県の老人ホーム用に50人以上育てられるか」と
照会があった。急きょフェイスブックに「日本語ゼロから教えます。介護に興味がある
人募集」と書き込むと、昨年9月だけで約40人が集まった。寮に住まわせて日本語を
教えたが、日本で法整備が進まず、半数以上はしびれを切らして別の職種で日本に渡っ
たという。それでも担当者は「時間も金もかかるけど、介護人材を送り出せば元が取れ
る」と期待する。

■「出稼ぎ」目的 意義空回り

介護人材の受け入れでは経済連携協定(EPA)の枠組みが先行する。ただ、政府間
の取り決めで資格要件もあるEPAと異なり、技能実習生の人材に明確な基準はない。
途上国に人材を還元するという制度の目的も空回りしそうだ。

ミャンマーのある老人施設の理事は「技能実習の経験者を雇いたいとは思わない。『
お客様』として扱う日本と『家族』として支える私たちの介護方針は違う」。ヤンゴン
の送り出し機関は「日本へは出稼ぎ目的だ」と言い切る。

経済が発展すれば技能実習のうまみは薄れる。ヤンゴンの送り出し機関組合の幹部は
「今の給与水準で介護人材を送れるのは、あと5年ぐらい」と指摘する。

今年に入って中国を抜き、新規の技能実習生を最も多く送り出したベトナム。青森県
むつ市の社会福祉法人「青森社会福祉振興団」は中部フエにある医科薬科大学と連携し
、昨年10月に10カ月間の「介護人材養成コース」を創設した。介護技術指導員を常
駐させ、現地で介護技術も日本語もほぼ身につけた「即戦力」を養成する狙いだ。

「目線を合わせて着たい服を尋ねています。お年寄りだって、自分で選んだものを着
たいですよね」

11月中旬の授業。ビデオで日本人介護職員によるケアの様子を見せながら、指導員
の小関博之さん(42)が尊厳を大切にする介護の心を伝えた。生徒のグエン・ディ・
タイさん(22)は職員が利用者の入れ歯を取って洗う場面に顔をゆがめた。「これも
介護の仕事だと思わなかった」と驚き、「でも目線を合わせるのは良い。介護をすると
優しい人になれそう」と語った。

青森社会福祉振興団の中山辰巳専務理事(64)は、ベトナムに戻った介護人材が活
躍する場をつくる必要性を感じている。「外国人の介護人材をきちんと育てるルールを
定め、人材の好循環を作らなければいけない。ただ安くこき使おうとする国に、人材は
いずれ来なくなる」(松川希実)

《外国人技能実習制度》 途上国への技能や知識の移転を目的に1993年にできた
。現在は機械、繊維、建設関係など74職種で約21万人を受け入れている。安価な臨
時労働者として扱われるため国際社会から「強制労働」との非難が高まり、今国会で制
度の適正化を進め、併せて介護を職種に加える関連法が成立。来年11月までに施行さ
れる。

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

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【クローズアップ現代】がん治療が変わる~日本発の新・免疫療法~   by limitlesslife
March 9, 2016, 9:09 am
Filed under: 健康・病気・治療・予防・・・
【クローズアップ現代】がん治療が変わる ~日本発の新・免疫療法~
2015年10月27日放送
https://www.youtube.com/watch?v=yH2qV4BjMv0

日本人の2人に1人がかかり、3人に1人が命を落とすと言われる「がん」。このがん
治療が、大きな転換点を迎えている。画期的な治療薬、「免疫チェックポイント阻害剤
」が登場したのだ。いわゆる免疫療法の一種だが、従来のものとは逆の発想から生まれ
た。これまでの免疫療法は免疫細胞の攻撃力を高める、いわばアクセルをかける働きが
中心だったが、この阻害剤では免疫細胞にかけられた「ブレーキを外す」。他に治療法
のなかった患者にも治療効果をあげることに成功した。地道な研究を新薬開発に結びつ
けたのは1人の日本人研究者だ。効果の持続が長く、幅広い種類のがんに適用できると
いうことで、今や異例のスピードで薬事承認され、世界中で様々ながんへの臨床試験が
始まっている。日本で生まれた新薬開発の道のりを紹介しつつ、今後の期待や残された
課題に迫る。

【MBS】肺がんに効果的な高額治療薬が保険承認 その光と影
2016年2月24日放送
http://www.mbs.jp/voice/special/archive/20160224/

肺がん治療薬として承認された「ニボルマブ」。がん医療を変えると効果が期待されて
います。去年11月には保険承認されました。しかし価格は大変高価で、日赤医療センタ
ーの医師が「日本の肺がん患者5万人がこの薬を使う」と仮定して試算したところ、1年
で1兆7500億円もかかるという結果が出ました。新たな抗がん剤が使えるようになるの
は患者にとっては朗報ですが、これだけの巨額の費用を日本の医療保険制度で賄うこと
ができるのか。難しい問題も浮上してきています。

コストを語らずにきた代償 “絶望”的状況を迎え,われわれはどう振る舞うべきか
【医学書院】第3165号 2016年3月7日【interview】
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03165_01

今,がん領域では,抗PD-1抗体,抗PD-L1抗体,抗CTLA-4抗体などの免疫チェックポイ
ント阻害薬が注目されている。日本ではその中の1つ,抗PD-1抗体の「ニボルマブ」(
オプジーボ,MEMO)が2014年に「根治切除不能な悪性黒色腫」に対して承認され,2015
年12月には「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」へ適応拡大された。従来の抗が
ん薬と異なる新しい作用機序を持つ同薬は,今後他のがん種にも適応が広がると予想さ
れ,大きな期待が寄せられている。しかし,國頭氏は,この免疫チェックポイント阻害
薬の登場によって医療,それどころか国そのものの存続が脅かされると指摘する。一体
,どこにその危険性があるというのだろうか。氏は,「すでに手遅れ」と語るが――。

脚光を浴びる新たな「がん免疫療法」:小野薬品のオプジーボ
京都大学・本庶研究室が開発をけん引
http://www.nippon.com/ja/column/g00268/  2015.04.22

日本生まれの新しい抗がん剤

人類に四千年戦争を仕掛け、“病の皇帝”とも称される「がん」。いくつも武器を備え
ても、我々はまだ完全に勝利を収めてはいない。2014年だけで約37万人もの日本人の命
が、がんによって奪われている。
がん細胞は正常細胞から発した異形細胞であり、ヒトを生物として繁栄させた仕組みを
利用していることが、治療の難しさの一端にある。がん細胞は、生体防御のために備わ
っている免疫系の攻撃をかわしながら徐々に成長して生命を脅かす一方、免疫細胞はが
んとの長期の戦いにより疲弊していく。
2014年、新しいコンセプトの抗がん剤、小野薬品工業(本社・大阪市中央区)のニボル
マブ(商品名オプジーボ、点滴静注)が登場、画期的な「がん免疫療法」として大きな
期待を集めている。この創薬をけん引したのは、世界の免疫学研究を長年リードしてき
た京都大学の本庶佑(ほんじょ・たすく)氏(現・客員教授、静岡県公立大学法人理事
長)だ。

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「インスリン治療、それがなんぼのもんやねん?」 by limitlesslife
January 14, 2016, 11:26 pm
Filed under: 健康・病気・治療・予防・・・

学会ダイジェスト:第52回日本糖尿病学会
2009年5月21日~24日 大阪
「インスリン治療、それがなんぼのもんやねん?」
――糖尿病劇場から
2009/5/26  三和 護=日経メディカル別冊

会場は、立ち見ができるほどの盛況だった。今回の日本糖尿病学会の目玉の一つ「糖
尿病劇場I」が5月23日、開演した。目の前で繰り広げられる寸劇に、会場ではマスク越
しの笑い声がこぼれる。患者役は終始インスリン治療を拒み、一方の栄養士や医師は一
生懸命にインスリン治療を勧める。日常診療や療養指導の中で、普段どこの医療施設で
も遭遇することの多い場面が再現される。残念ながら、患者の心の声を代弁する黒子は
、「インスリン治療、それがなんぼのもんやねん?」との態度を崩すことはなかった。

糖尿病劇場の狙いは、日常診療でよくある患者と医療者のやり取りを再現することで
、参加する医療者が自らを振り返り、問題点に気づいてもらうこと。今回のテーマは「
なぜ患者はインスリン治療を拒否するのか」。

最初は、浪花医師が栄養士の堂島さくらに、患者である福島ほたるの食事指導を依頼
している場面。浪花医師は、福島ほたるがインスリン治療の段階にあることを告げる。
その上で、栄養指導がインスリン治療導入のきっかけになればと願い、さくらの手腕に
期待した。さくら栄養士は、その期待に応えようと自分のスキルをすべて出し切って指
導に当たろうとする。

「食事が大切なことはご存知ですよね」「食換表は知ってますよね」「今度からはコ
ロッケは衣をとって食べましょう」「トンカツも衣をはずせばカロリーを減らせますよ
」などと、堂島栄養士のマシンガントークが続く。しかし、福島ほたるは終始「ええ」
「はあ」「そうですね」など心ここにないといった返答のみ。結局は「インスリンはい
ややねん」という態度を崩さない。たとえばこんな会話が続く。

堂島「朝から焼肉ですか」
ほたる「はい」
堂島「ササミなら大丈夫ですよ」
ほたる「へえ、そうなんですか」
ほたるの心の声を代弁する黒子「(ササミは焼き鳥やないか)」

次の場面は、患者ほたると浪花医師の面談の風景。浪花医師は、今日こそインスリン
治療を認めさせたいと意気込む。患者役のほたるは、いつにない主治医の勢いに押され
ながらも、何とかしのごうとする。

浪花医師「やはり血糖値が高いですね。そろそろインスリン治療にしないといけない
ですよ」
ほたる「学校の行事なんかが続いたんですよ。もうちょっと待ってください」
浪花医師「もう2年も待ったんですよ」
ほたる「ええ、でも運動もしますから、食事も守りますから。いつもの飲み薬にして
ください」
ほたるの心の声を代弁する黒子「(今日の先生は勢いがあるわ。早めに切り上げて帰
ろう)」
浪花医師「仕方ないですね。では今日はいつもの薬を出して置きます。また1カ月後
に来てくださいね」

会場では寸劇が終わるたびに、京都医療センター臨床研究センターの岡崎研太郎氏(
写真)や東京大学医学部附属病院の大橋健氏らの司会で、フロアからの声をくみ上げて
いく。参加者もまた登場人物であることが、糖尿病劇場の重要な要素の1つだ。

まず、寸劇での医療者の対応を10点満点で評価してもらい、どこが良かったか、何が
悪いかなどを挙げてもらう。そこから明らかになるキーワードを司会の2人がまとめて
いく。

今回のテーマは「インスリンの抵抗を持つ患者は多い」という実態を反映している。
たとえば、教育入院中にインスリン治療を開始した2型糖尿病患者110人中、当初は「抵
抗感があった」と回答したのは80人、実に73%だったという報告がある(岡崎氏、1999
)。また、もし医師にインスリン治療を勧められたとしても、30%の2型糖尿病患者は
「絶対にやりたくない」と考えているという海外の報告もある(Polonskyら、2005)。

ではなぜ患者はインスリン注射を嫌がるのか。岡崎氏らは、DAWN Studyの成果を紹介
しつつ、インスリンに対する感情や考えが、患者と医療者の間で食い違っていることを
指摘した。つまり「医療者は患者の思いをあまり理解していない」というのがインスリ
ン治療拒否につながっているという見方だ。

京都医療センター臨床研究センターの岡崎研太郎氏

DAWN研究によると、「あなたは、糖尿病を診てもらっている人たちとの関係はよい」
という質問に同意した患者の割合は、調査した10カ国余りで、日本は最下位の49%に過
ぎなかった。平均は89%であり、日本の低さが際立っている。また、「私の治療に関わ
っている人たちは、私のことについてよく話し合えている」という質問では、ドイツが
61%、英国は60%、仏も50%というレベルにある中、日本は38%に過ぎなかった。

岡崎氏は開演に先立ち、なぜ患者はインスリンを拒むのかの問いかけの中で、こう指
摘していた。「本来は味方であるはずのものがいつしか敵になったのは、お互いの理解
を深めようとしない怠慢から生まれたのではないかと私たちは考えます」。

糖尿病劇場Iの幕を閉じるに当たり、大橋氏は1つのイラストを提示した。そこには「
同じキャンバスに向かう」とのタイトルがついている。「患者さんは、私たち医療者に
とって、治療同盟を構成する仲間なのだから」という主催者のメッセージが込められて
いた。

なお、今回の糖尿病劇場に登場した医師、栄養士、患者らは、劇団ケンケンの俳優ら
が演じた。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jds2009/200905/510871.html

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109 「ヘルプマン!!」が問題提起しているもの by limitlesslife
June 26, 2015, 8:09 am
Filed under: 健康・病気・治療・予防・・・
109 「ヘルプマン!!」が問題提起しているもの

日経メディカル 2015年6月26日 色平哲郎

http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/pub/blog/irohira/201506/542761.html

くさか里樹さんの介護コミック「ヘルプマン!!」の連載が昨年末、
週刊朝日で再スタートした。
出版社は講談社から朝日新聞出版に移ったけれど、
その問題提起力は少しも色褪せていない。
「ヘルプマン!!」ファンとしては嬉しい限りだ。

再スタート後の単行本vol.1、
「“胃ろう”になった高齢者が経口食に復帰できる確率6.5%。
日本は胃ろう大国なんだよ。」という長い題名の「介護蘇生編」
が先月末に発行された。

主人公はフリーランスのホームヘルパー、恩田百太郎。
チラシに「介護保険じゃやってくれないこともできます」
「どんなじじばばもたちどころに笑顔にします」と書いて各戸に配布するが、
怪しがられて仕事はこない。

そこに、母娘家庭でお祖父ちゃんが施設に入っている昇子から電話が入る。
お祖父ちゃんは認知症でほぼ寝たきり、
誤嚥性肺炎を起こす危険があるからと医師の指示で胃瘻で栄養補給をしている。

昇子はお祖父ちゃんを少しでも元気にしたい。
できることなら、もう一度、一緒に暮らしたい。
しかし、母親、つまりお祖父ちゃんの娘の千代は、自身が癌にかかっており、
とてもお祖父ちゃんの世話は背負いこめない。

さまざまな事情が錯綜するなかで百太郎は、お祖父ちゃんは胃瘻を外せる、
口から食事がとれると確信し、走り回る。
家族とぶつかり、病院の方針とも対立する百太郎。
お祖父ちゃんの病室で胃瘻をとるかどうかの激論の途中で百太郎は、こう叫ぶ。

「じっちゃんの命だ!
じっちゃんの人生だ!
何をどうやって食うか……決めんのは医者でもオレらでもない……
じっちゃん本人だ!」

現実の医療、介護の現場では、こうはいかないかもしれない。
しかし、百太郎のスタンスこそ今後の超高齢社会に求められているものだと感じる。

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キューバの「医療外交」は世界中から注目されている。 by limitlesslife
アメリカからの経済制裁で苦しめられているキューバは、
後ろ盾だった旧ソ連の崩壊後も、
乏しい国家予算を国民の健康を守るための地域医療に投資している。革命後、キューバは国内全地域にかかりつけ医を配置し、
医師と看護師が各地域住民の健康・予防・治療の三点セット
を担当するシステムを整備した。
必要があればそこから専門医のいる病院などに紹介される。
「国民は治療を受ける権利がある」と書かれた憲法50条にそって、
治療はすべて無料。
だが担当医が地域住民の生活を丸ごと把握しているため、
早期発見・早期治療で医療費は先進国よりずっと低く抑えられている。
経済制裁によって輸入が制限されている医薬品の生産は自国内で行い、
完全無料の医科大学を設立し、国内外の医学生に開放した。

こうした政策の結果、キューバは低い国民所得で先進国並みの平均寿命と
高い医療水準、なおかつ医療費は先進国よりも低いという、三大快挙を成し遂げた。

旧ソ連崩壊前は、経済的援助と引きかえに「兵士」を紛争地に派兵していたキューバ。
だが「医療外交」に切りかえて以降、世界中の国々や被災地に送られるのは、
兵士ではなく自国で養成した医師たちだ。

現在5万人のキューバ人医師たちが世界66か国に派遣され、
政府はその見返りに、石油を安く輸入したり、
さらに年間80億ドル(8000億円)の外貨を稼いでいる。
やがてこの「医療外交」は、南米の他の国々と連携し、
アメリカ型資本主義にノーを言うほどの国力となった。

医師たちが自国の医科大学で教わる、「地域に入り地域に帰る」
という志は、かつて長野の若月俊一医師が提唱した地域医療の根幹と同じものだ。
だがキューバの例はそうした「理想」を政治が後押しすることで、
医療がその先にある国家の自立につながる力になること、
そして「財源不足問題」は何を優先し予算配分するべきか、
為政者の方針次第でいかようにもできることを世界に向けて体現した、
新しいモデルケースなのだ。

2014年12月。

アメリカ政府は、半世紀以上断絶していたキューバとの国交正常化を宣言。

以上、「沈みゆく大国アメリカ」〈逃げ切れ!日本の医療〉堤未果
その208ー209ページより:

__________________

色平さん

いつも貴重な情報提供、まことにありがとうございます。
これまでも、いくつも示唆に富む情報を送信していただき、大変参考になりました
が、下記キューバの「医療外交」については大変驚き、かつ未来社会に示唆と希望を
もたらすと思いました。

前にもお知らせしましたが『講座スピリチュアル学第1巻 スピリチュアルケア』
『第2巻 スピリチュアリティと医療・健康』(BNP)を企画・編集してきたの
で、この取り組みには大変共感できます。

軍事力威嚇外交に較べてはるかに生命的・人間的です。

前期シリーズはこの4月に、『第3巻 スピリチュアリティと平和』を刊行し、まもな
く、『第4巻 スピリチュアリティと環境』が出ます。

5・18 鎌田東二拝



医療・看護系論文テスト 演習第一回【80分】 by limitlesslife

医療・看護系論文テスト 演習第一回【80分】
問題 次の文を読んで、以下の問いに答えなさい。
なお、解答にあたっては、「寄り添う」「向き合う」「心のケア」
は使わないこと。
問1 この村の医療はどのようなものか、説明しなさい。
(400字から500字)
問2 これからの地域医療のあり方について、あなたの考えを述べなさい。
(400字から500字)

ケア、人間として人間の世話をすること

佐久総合病院 色平哲郎 いろひらてつろう

「村での大往生は、”死”とは違うのでしょうか?」
と取材においでになった若い女性記者に訊ねられ、私は、一瞬、返答をためらった。
うかつに答えられないのである。

都会育ちの二十代の彼女は、「村」というコミュ-二ティーのありよう、
病院のベッド以外の場所で看取られる「死」のイメージを欠いたままに質問を発し
ているようだった。

言葉だけの説明だけでは、誤解・曲解されるおそれがある。

死に方を話題にする前に、多少なりとも村人の「生」を知ってもらいたかった。

「お時間があれば、村のご老人に会ってみませんか。
その後で大往生についてお話しましょうか」と私は言い、彼女を長老Sさんに
引き合わせた。

実は、村の老人との対話こそ、診療所を訪ねてくる若い医師や看護婦の
卵たちにも課している「実習」の要(かなめ)なのだ。

Sさんは、庭先でワラジをこしらえながら――この技能は村内でも4人にしか伝わっ

いない――戦争や引き揚げの苦難、かつて村をまっぷたつに割って両陣営が竹やり
を構えて行った村長選、四季折々の行事や冠婚葬祭の共同体的な意味について
とつとつと語る。

聞いているうちに、それまで「映画のなかみたい」(ある帰国子女の医学生)だった
村の風景が、若者たちにも現実のものとして認識されてくる。

やがて世代を超えたコミュニケーションに引き込まれる。

人間には誰しも語るべき歴史を「ものがたり」があり、それを受けとめたところから
ケア「向き合う関係」が始まる。

このあたりまえなことが、医学知識で頭がカチンカチンの医学生には逆に新鮮に
映るようだ。

そして彼らが、「人間=タンパク質の塊」とみる現代医学の対極に、もうひとつの
医療現場があることに気づいたら、私たちは死について語り合うことのできる
共通の土俵に立ったことになろう。

日本の医学教育では、「死は敗北、病と闘え」と教えてきたが、そうではなく
「患者と寄り添い、支えあう」、そんな医療が求められている現実に一歩近づく。

私が連れ合いと3人の子どもと暮らす南佐久郡南相木(みなみあいき)村は、
長野県の東南端、群馬県境に位置する人口1300人の山村。

こんな信州の奥山に年間数百人の医学生たちが訪ねてきてくれるのは、村自体が、
山川草木に彩られた独特の「保健・医療空間」を形成しているからだ。

日々、村人の健康は、公と私の接点である「縁側」に気軽に腰かけて
互いの体調を確認し合うような「顔と顔のつながり」、診療所―佐久病院小海分院
―佐久病院本院と二重、三重にカバーするバックアップ体制などで守られている。

医師は、この「安心のネットワーク」の結節点に位置し、村のひとつの役割を担う
ことになる。

こんなケースがあった。

村人はじつによく働く。

夏、命綱である高原野菜の収穫期ともなれば、午前2時ころから畑に出て、
夜の八時、九時まで猛烈な労働をする。

心身ともくたくたになった農家の人が、たまに「先生、点滴打ってくんねぇかな」
と診療所に来る。

生物学的には、5%のブドウ糖溶液、あるいは0.9%の生理食塩水500cc
の点滴は、カロリー計算すれば大したエネルギー補給にならない。

市販のアルカリイオン水を飲めばいいとの見方もある。

山村に赴任したての頃、点滴を打つべきかどうか逡巡していた私に
大先輩の清水茂文医師(前・佐久病院院長)は「村人の気持ちを察しなさい。
点滴は必要なのだよ」と言われた。

点滴を打ってみて、その意味が理解できた。

顔と顔の安心感は、ウラを返せば互いを監視しあい、共同体内の緊張を高める
ことにもなる。

農繁期、疲労を理由に休んでいると「サボり」と後ろ指をさされる。

しかし精根尽き果てたら労働が続けられない。

その一歩手前で村人は診療所に来て、「合法的に」1、2時間、静かに横たわり、
点滴を受ける。

それは、とても貴重な時間なのだ。

成分分析では推し量れない効果をもたらす。

打ち終わると晴れ晴れとした表情で帰っていく、、、。

この点滴は、医療行為をいうよりは、村の医師が担うひとつの役割といえるだろう。

佐久地方には昔から「ピンピンコロリ」という言葉がある。

大病を患わず、高齢までピンピン元気に働いて、コロリと死ぬ。

理想としての健康長寿を表した言い方だ。

では、ピンピンコロリ、すなわち大往生かというとちょっと違う。

少なくとも「畳のうえ」で家族に囲まれ、安らかに息を引きとってこその大往生であ
る。

全国平均で8割超の人が病院で亡くなっている現在、ここ佐久地方では5割以上
の方が家で死を迎えている(佐久病院地域ケア課統計)。

これは、物理的な条件もさりながら、畳のうえで死ぬことの文化的価値観、
つまり看取りの作法、が地域に息づいているからに他ならない。

たとえば、脳梗塞で本院に入院していた80歳のご老人は、しばしば嚥下(えんげ)
障害(食べ物を飲み下すうえでの困難)を起して気管から肺に食物を入れ、二度、
三度と誤嚥性肺炎を併発。

そのつど、抗生物質のレベルをファースト、セカンド、サード・ラインをグレードを
上げて投与して抑えたが、いよいよ切札の抗生剤も効かなくなった、、、。

「次に肺炎を起したら、どうするか、、、」と本院の担当医から相談された私は、
ご老人を家に戻した。

娘さんもヘルパー資格を取り、看取りに備えていた。

患者を病院から家に帰す時期は、医師の専門的見地からの独断というより、
村人との顔と顔の濃厚なつながりのなかで「そろそろだな」とうなずき合う
「呼吸」によって決まる。

これは、簡単には明文化しきれない。

村人たちは、身近に何人もの老人たちを見送った体験の積み重ねから、
「そろそろ」の判断を下す。

たいていドンピシャリ。

病態を実に正確に把握しているのには驚かされる。

主治医である診療所長は、患者が畳のうえで死を迎えるまで、足繁く往診に通う。

そして、できるだけ痛みをとり、患者の語りに耳を傾ける。

家族からも長く封印してきた戦争体験や、苦難の思い出をうかがうことがある。

その「心の遺言」は、詳細までを口外してはならない。

枕辺に喜寿の祝いで集まった百人もの親族の集合写真を飾って旅立ったおばあさん、
「日本はアメリカの保護国なんだよ」と言い残して亡くなったご老人、、、。

彼らの死こそ「あっぱれ」な大往生として語りつがれ、生きている者は
「わたしもあやかりたい」となるのだろう。

こうして看取りの文化は継承される。

ここでは、”死”は「地域化」されている、といえよう。

最近、都会でも「家庭医」の優れた役割が見直されてきた。

優秀なかかりつけ医が、第一線医療で適切な診断、治療を行えば、
結果として医療費が抑制されるといった文脈で語られる場合が多い。

しかし、それは家庭医への国民的ニーズの高まりの一面でしかない。

大切なのは、患者に寄り添うケアが求められているということだ。

往診体験のない大学医学部の教官が、家庭医療のあるべき姿を学生に
「指導」できるのだろうか、、、。

先日、村を訪れた医学生からこんな感想文が届いた。

「地域医療について学ぼうと思ったときに、ムラ社会に入っていくこと
がこれほどまで重要だとは感じていなかった。

むしろ大病院でないことでの診察・検査・治療上の有利、不利にばかり
考えがいっていた。

毎日、村の人のお宅にお邪魔して、ゆったりとお話を伺うことで、
村人どうしの微妙で濃密な歴史と関係性を感じることができた。

それは”感じる”しかなく、”知る”とか”理解する”という類のものではなかっ
た」

一方、長老のSさんは、こう言う。

「学生と話をしていると昔の記憶が、鮮明に蘇ってくるね。

こないだも、戦後の米や酒、塩なんかの配給切符のことを思い出した。

ボケなくていいよ。

もっといろいろ若い世代には伝えたいことがたくさんあるんだ」

思い出療法、といえようか。

街にも、見えにくいけれど、村に似た地域の原型が残され、
歴史を背負った高齢者が地域に生きている。

彼らに医者はどう向き合っていくのか。

信州の山奥の村だから特殊なのだ、と言われるかもしれない。

だが、その特殊さ、個別性のなかにこそ、人間の普遍性が
脈打っていることもあるのではないか。

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2004年度版ベスト・エッセイに、選ばれました。
(「人生の落第坊主」文藝春秋 日本エッセイスト・クラブ編
04年度版ベスト・エッセイ集  、、、プロ、アマ59篇の傑作を収録)
(初出 「文藝春秋」7月臨時増刊号 2003年)

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace



関西テレビニュースアンカー 須田慎一郎 医療デバイスラグの問題 by limitlesslife

 永岡です、関西テレビのニュースアンカー、月曜レギュラーの経済ジャーナリスト、須田慎一郎さんと、今週は京都大の藤井聡さんが出られました。

東日本大震災から4年、岩手の釜石~宮古間の鉄道は、4年復旧していません。他方、宮城の女川はJRの駅が再建され、そして宮古~釜石間は、ようやく着工です。しかし、三陸海岸沿いの鉄道は寸断されており、藤井さん、インフラの点から、鉄道は交通手段だけでなく、バスとは異なる意味の、地域のシンボルであり、復興のシンボルで、NHKの朝のドラマもそうで、広島も市電が戦後希望を与え、文化的にも象徴的であり、地域に灯がともる、藤井さんは地域の鉄道を復活させるべきと言われました。
須田さんも、鉄道を赤字でバスにしてしまい、他方線路のある鉄道は地域を支え、JR東日本全体で、首都圏も含めて考えるべき、首都圏の山手線で儲けて、過疎地を放置するのはおかしいと言われました。利用客は少ないものの、藤井さん、4年間放置して客は少ないが、それでも700人の需要を再建するのが復興で、きちんと復興する仕組みを作らないと、南海トラフ地震で大阪が打撃を受けたときも問題になると指摘されました。

また、ヤマトのメール便廃止、藤井さんは、この規制で何が保たれるのか、年賀状は日本中にも出せて、全国一律のサービスがあり、規制がなかったら、ゲリラ的に様々な企業が参入して、郵便が崩壊した可能性もあり、様々なメリット、デメリットを考えてやるべきで、郵便局の機能の維持もあると言われました。
須田さんは、信書規制があるのは、一定の義務のためで、通信の秘密は、国家権力に対して漏れないためのものであり、それでヤマトが届け出るわけはなく、信書規制の出来た時代と異なり、なぜ総務省は時代に合わせて見直さないとかと言われました。郵政3事業は郵政省にあり、今は総務省、天下り、株式公開もあり、売り出しのために何かあるとも言われました。

そして、ニュースな裏話(ウラバナ)、日本の医療水準は本当に世界でトップレベルか、重い病気で、世界で使われている最先端の機器が使えない例があり、日本の医療制度の問題です。
過剰な安全規制のため、デバイスラグがあり、医療機器の承認に関する日本とほかの国の差で、これは、国民全体の問題です。
今年1月、大阪大病院に入院していた女児が脳死判定で、しかし、国内で子供用の人工心臓が使えなかったためです。承認されておらず、海外で承認されているものが使えたら、助かったかも知れないのです。
医療機器のデバイスラグの犠牲になるのは、弱い立場の人で、小児用人工心臓があったら、助かった命もあるのです。
須田さん、世界で普通に使われているものが日本で使われず、藤井さんは承認しない合理的な理由はあるのかと言われました。日本だと、補助人工心臓などは、PMDAの承認が要り、厚労省の部署から独立し、審査の体制も35人→104人に増やしたものの、小児用人工心臓は、日本だとまだ承認されていません。
しかし、数字では見えないないものもあり、医療の最前線で働く方は、医療機器に詳しい人が簡単に集まらず、トレーニングしながらの審査はおかしいと指摘があり、デバイスラグの問題は審査する人の質で、審査しようとしても専門外といわれるというのです。
ジャーナリストの若林さんも、PMDAの人材は出向者で、専門性に疑問があるというのです。
それで、日本での実用化には数年かかると、医療機器メーカーの人もいいます。
東京の医療メーカー、補助人工心臓を作り、ヨーロッパでの実用化を目指し、しかし、日本で開発するなら、審査に時間もかかり、承認に900万円(相談、審査料)以上も手数料がかかり、ヨーロッパではこんなボッタクリはなく、よりやすく承認されます。
臨床試験が日本では進まず、医療ジャーナリストの牧さん、日本では保険制度があり、それで患者が治験に参加せず、審査承認と実情が合わず、海外ではデバイスラグで死ぬ患者はなく、技術が問題で、承認制度の問題があるというのです。
須田さん、欧米では民間の機関が承認をして、承認に900万もかかるのに、PMDAは書面で安全上いると関西テレビに回答し、藤井さん、審査承認制度の撤廃も可能で、審査への柔軟性を、人材を見つけてやることは可能と指摘されました。もちろん、これで国民皆保険をなくすのはおかしいのです。
さらに、承認の900万円は、高すぎて、厚労省の天下りに専門の人も少ないのです。

須田さんの肝は、競争原理の導入を、であり、何でも市場原理というのはおかしいが、PMDAには独占で、複数の承認機関があればこんなこともなくなり、安倍政権の成長戦略に、海外から患者を受け入れるというが、これでは海外に先に行ってしまうと指摘されました。以上、今週の須田さんのお話でした。