「今後、何か指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしてまいります」

安倍首相が一昨日の記者会見で語った言葉だ。その国民への約束を果たすべき局面である。

加計学園の獣医学部新設をめぐり、萩生田光一・内閣官房副長官が昨年10月、文部科学省の局長に発言した内容とされる新たな文書が明らかになった。

「10/21萩生田副長官ご発言概要」と題した文書には、「官邸は絶対やると言っている」などと記録されている。

昨年10月といえば、特区での事業者が加計学園に決まる約3カ月前だ。文書はこの時期に加計学園の具体名や立地にふれており、そのころから政府が加計学園ありきで調整を進めていたことがうかがわれる。「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」と首相の意向に言及する記述もある。

文書について萩生田氏は、文科省から「一担当者が伝聞など不確かな情報を混在させて作った個人メモ。著しく正確性を欠く」という説明と謝罪があったとするコメントを出した。だが、文書は文科省の複数の部署に送信され、共有フォルダーで保管されていたものだ。

先に明らかになった「総理のご意向」文書をめぐっても、文科省と内閣府の説明は食い違ったままだ。

首相の最側近であり、学園系列大学の名誉客員教授でもある萩生田氏がこの問題にどうかかわったのか。誰がみても解明が急がれる問題である。

この問題には首相官邸も含め複数の官庁が関与している。それぞれの役所による身内の調査には限界がある。

萩生田氏本人はもちろん、文科省や内閣府の関係者を国会に証人喚問し、証言を突き合わせることが欠かせない。

問われているのは、首相の友人が理事長を務める学園が特区の事業主体に選ばれる過程が、公平公正であったかだ。

そこに疑問を持たざるを得ない文書や証言が次々と出ているのだ。首相は率先して事実を明らかにする責任がある。

耳を疑うのは、菅官房長官が、首相が直接国民に説明することについて「考えていない」と否定したことだ。首相自ら国民に誓った「真摯な説明責任」の実行を促すことこそ、官房長官の役割ではないのか。

本紙の世論調査では加計学園問題の首相の説明に66%が「納得できない」と答えている。

首相が会見で語った「反省」は本心か。口先だけか。そのふるまいを国民は見つめている。

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