サウジアラビアやロシア、ベネズエラなど四つの産油国が生産量を据え置くとした合意を受け、17日には増産に前向きだったイランも同調する意向を示した。産油国の足並みがそろい始めたことで、供給過剰と原油安を食い止めることはできるだろうか。▼1面参照

この日、テヘランで開かれた会議は世界的に注目されていログイン前の続きた。「支持する」。会談後、イランのザンガネ石油相が原油価格改善の動きなどに同調する考えを示したことが外国通信社などから流れると、欧米の原油先物価格はすぐに好反応を示して上がった。

石油輸出国機構(OPEC)に加盟するサウジ、カタール、ベネズエラと、非加盟のロシアの16日の合意では「減産には踏み出さないが、生産量を1月の水準から増やさない」ことで一致。ただ、ほかの産油国の同意を条件にしており、イランやイラクへの説得が欠かせなかった。

イランは1月に経済制裁が解除された直後、日量50万バレルの増産を指示したばかり。歳入の7割を原油収入に頼り、経済制裁の影響で高いインフレに悩まされる。公務員の給料の遅配も起きている。価格が安値で推移していても、まずは原油の輸出量を増やすことが経済の立て直しには不可欠の立場だ。イラン政府関係者は「我々は、特別な位置に置かれるべきだ」と述べ、合意に加わることには否定的な見解をみせていた。

ただ、最も激しく抵抗するとみられていたイランが一転してサウジなどによる合意を歓迎する考えを示したことで、ほかの産油国も同調して合意が実行に移される可能性が出てきた。

今回の合意は大きな前進といえる。減産に消極的だったロシアがOPECとの話し合いに応じたからだ。ロシア政府も歳入に占める石油・ガス部門の比率が半分にのぼり、燃料税の引き上げや、パーム油などへの新税が浮上するなど対応に追われる。ルーブル相場は急落し、インフレ懸念が再燃。景気も一段と後退する可能性が増している。

南米のベネズエラや中東最大の産油国のサウジも財政が悪化している状況は同じだ。歳入減を食い止めるためにはシェア争いの思惑を乗り越え、原油価格を引き上げるために協調せざるを得なかった。(テヘラン=神田大介、ドバイ=渡辺淳基、ウラジオストク=中川仁樹

■市場、早くも好感

イランの石油相が提案を受ける姿勢を示した直後から、原油価格は上昇した。原油価格の国際的な指標である米国産WTI原油の先物価格は17日、一時1バレル=31ドル近くまで上昇した。北海ブレント原油の先物価格も一時、1バレル=34ドル台まで上がった。市場では「OPECとして生産調整に動くには、イランが応じない限り不可能」(英調査会社)との見方が根強くあったことから、好感した形だ。

ロイター通信によると、サウジのヌアイミ石油鉱物資源相は16日、「数カ月かけて精査して、市場安定のためにほかに必要な方策がないかを決める。そのプロセスの始まりだ」と強調した。

一方で、世界の原油価格の「調整役」としての役割は、中東中心のOPECから、生産量を伸ばしてきた米国のシェールオイルに移ったとも指摘されている。米国の戦略国際問題研究所のジェイン・ナカノ上級研究員は「3千以上あるとされる米国のシェール業者は、価格が上がれば増産するところが出てくる。今回の合意で価格を反転させる効果があるかどうかは、疑問だ」と話している。(ロンドン=寺西和男、ワシントン=五十嵐大介