Global Ethics


悲しい話ばかりだが、ぜひ多くの人に読んでもらいたい by limitlesslife
悲しい話ばかりだが、ぜひ多くの人に読んでもらいたい
貴重な記録

── まずは、作品について簡単な解説をお願いします。

布施
先生: 端的に言えば、ヒトラーとスターリンが独ソ両国にはさまれた地域で進めた大
量殺害政策の全容を描き出した本です。ふたりは1933年から12年間も同時に政権につい
ていて、それぞれが自分の身勝手な野望のために、特定の民族を標的にした大量虐殺を
決行しました。その結果、ウクライナからポーランド、ベラルーシ、バルト三国にかけ
ての地域で膨大な人数の民間人が殺されました。命を奪われたのはユダヤ人だけではな
かったのです。

── ホロコーストはよく知られていますが、このような大量殺害の全貌はこれまでほ
とんど明かされてきませんでした。

布施
先生: これまでも、国ごとにそれぞれの歴史認識にもとづいた過去が語られてきまし
たが、著者は、国境で分断された地域史を掘り起こそうと調査を進め、この一帯でヒト
ラーとスターリンに殺された非戦闘員の合計が1400万人以上にのぼることを突きとめま
した。この本には、誰がどんな理由でいかに殺されたかが丹念に書かれています。悲し
い話がたくさん出てきますが、ぜひ多くのかたに読んでいただきたい貴重な記録です。

── 先生は、本作で記されている事実には元々お詳しかったのでしょうか?

布施
先生: いえ、ここまで詳しくは知りませんでした。ホロコースト関係の本は何冊か読
んでいますし、カチンの森事件やスターリンの大テロルについても知っていましたので
、ある程度知識を持っているつもりでした。でもじつはほんの一部しかわかっていなか
ったと気づき、ショックを受けました。スターリンの階級抹殺や民族浄化のすさまじさ
、ナチスドイツの大量銃殺の規模の大きさも、ウクライナとポーランドの受難の歴史も
、はじめて知ることが多くて愕然としました。あとがきにも書きましたが、正直、読む
のはつらかったです。それでも、最終章で語られる著者の真摯な思いに共感し、これは
訳さなければならないと思いました。

── 翻訳作業についてもお聞かせください。まず、訳す際に非常にパワーが必要な作
品だったことはまちがいないと思うのですが、訳了までにかかった時間はどのくらいで
したか?

布施
先生: 1年かかりました。重い障害のある母を自宅で介護していましたので、思うよ
うに仕事の時間がとれなくて困りました。施設のショートステイを利用し、母のいない
日にがんばりましたが、脱稿は当初の予定より大幅に遅れました。でも「母を介護して
いますので」という釈明はしにくいものです。焦ってもしようがないので、誠実にてい
ねいに仕上げることをめざしました。母は今年亡くなりました。曲がりなりにも介護と
両立できてよかったと思っています。介護をしていなくても、この作品にはかなり時間
がかかったことでしょう。決してせかさず、お待ちくださった編集者に感謝しています

── 注や参考文献も多く、作業量はかなり膨大だったと推察しますが、最初から最後
までお一人で訳されたのでしょうか?

布施
先生: はい、ひとり旅でした。

── 分量、内容ともに重みのある作品ですが、原文にはどのような特徴がありました
か?

布施
先生: 原書は知性と教養の感じられる個性的な文章で書かれています。いろいろな意
味を内包する(つまり、いかようにも解釈できる)単語が多用されていますし、indust
rial killing というような、直訳できないオリジナルな表現もたくさん出てきます。
一般的な語でも本来の意味に使われていない場合がありました。とにかく論旨がとりに
くく、一文一文、悩みました。

── 膨大なデータを基に、未知の内容を記した作品ということで、調査も大変だった
のではないでしょうか。

布施
先生: 日本ではほとんど知られていない史実にちらりと触れてあったりするので、何
の話をしているのかわからないこともありました。そういうときはしばらく翻訳を休み
、本を読んで勉強したり、英語のサイトを利用したりして、わかるまで調査を続けまし
た。著者と自分との教養の差を、根気と執念でなんとか埋めていったような感じです。

── そのなかで、翻訳で最も気をつけたのはどういった点でしょうか?

布施
先生: 著者の表現を生かすようにはしましたが、とにかく自分が読んでわかる文を書
こうとしました。研究者ではない一般人のわたしが学術書を訳す最大のメリットはそこ
だろうと思いますから。

── この作品は、出版総合演習の授業で教材として使用なさったという話もうかがい
ました。みなさん、やはり苦労なさっていたのではないですか?

布施
先生: 課題には、第1章の冒頭部分数ページを取り上げました。固有名詞がいろいろ
出てくるうえ、一文の中にたくさんの情報が詰め込まれているという難物でした。先ほ
ども言いましたように、論旨がとりにくいので、どなたも苦しんでおられました。毎回
みなさんといっしょに悩みながら読み進め、授業が終わるときには、いっしょにため息
をついたことを思い出します。帰宅後もなんだか興奮がおさまらず、その夜はなかなか
寝つけませんでした。本そのものはひとりで訳しましたが、授業でみなさんと苦労をと
もにしたことが支えになったと思います。

── ありがとうございました。最後に、学習中の方へメッセージをお願いします。

布施
先生: 英日翻訳の仕事をしていくには、英文を読みとる力が不足していてはどうにも
なりません。学習中はしっかり辞書を引いて粘り強く解釈に取り組んでください。英語
力を伸ばす方法はそれしかありません。訳文を書くときにも、これくらいでいいやとあ
きらめずに、辞書や検索ツールをフルに活用して、ほんとうにベストと思える表現、自
分にしかできない表現を見つけ出すことです。要は自分を追い込めということですね。
苦しいけれどもそれが楽しいという人は翻訳に向いています。家庭や仕事があって、誰
しも学習時間には制約があるでしょうが、その中で全力投球を続けてください。知らず
知らずのうちに力がついてくるはずです。

布施由紀子先生のプロフィール:
出版翻訳家。『ブラッドランド――ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』(筑摩書房
)、『動くものはすべて殺せ――アメリカ兵はベトナムで何をしたか』(みすず書房)
、『核時計 零時1分前 キューバ危機 13日間のカウントダウン』(NHK出版)、『骨と
ともに葬られ』(角川グループパブリッシング)、『夜明けまであなたのもの』(二見
書房)、『捜査官ケイト過去からの挨拶』(集英社)など訳書多数。

https://www.fellow-academy.com/fellow/pages/kobore/kobore111.jsp

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

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池辺 幸惠 via post.freeml.com 

2:38 PM (1 hour ago)

to 市民の風
池辺です。
ご紹介ありがとうございます。是非読んでみます。
人類の大量虐殺の歴史はほんとうにたとえようのない悲しみです。
人類とは、何か。独裁者は、民主主義とは、人権とは・・・?
是非読んでみます。
https://www.facebook.com/groups/436391726555776/?fref=ts

http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/b1aa42f8209a539bfa5e2b26097fac25

ではでは、安倍のような戦争屋に日本がのっとられそうで・・・悲しい、
でも、負けてはおれない!!!