Global Ethics


「小指の痛みを、体全体の痛みとして感じてほしいのです」 by limitlesslife

〔追記〕

なぜ「9条3項・加憲案」はダメなのか

本書を書きあげたあと、今年(2017年)5月3日の憲法記念日に、
突如、安倍首相から改憲案が提起されました。
現在の憲法9条1項2項は残しつつ、自衛隊の存在を憲法上
(おそらく9条3項)に明記するという「加憲案」です。

もちろん自衛隊と憲法9条2項(戦力の不保持)のあいだに存在する深刻な矛盾は、
いずれ解消しなければなりません。

けれどもオモテの条文だけを見て、「ウラの掟」(安保法体系と密約法体系)
の存在を知らずに憲法に手を触れることが、いかに危険であるか。
本書を最後まで読んでいただいたみなさんには、
その深刻さがよくわかっていただけると思います。

ひとことで言うと憲法9条は、もともと占領中に国連憲章(国連軍)
とセットで書かれたものだったのですが、
本書(第9章)でご説明したダレスのトリックによって、
1952年の独立後は、日米安保条約とセットで存在しているものだからです。

そのなかで米軍は、オモテの条文には書かれていない、
(1)「日本の国土を自由に軍事利用できる権利(基地権) 」
(第1章・第2章・第3章・第5章)
(2)「戦時には自衛隊を自由に指揮できる権利(指揮権)」
(第8章・第9章)
という、信じられないほど大きな権利を密約によって持っています。

そしてその歪んだ法的関係を構造的に支えているのが、
(3)「日米合同委員会」(第4章)
(4)「最高裁(砂川判決)」(第6章)
というふたつの聖域化された、アンタッチャブルな機関です。

この(1)から(4)までの四つの問題を解決しないまま、
憲法で自衛隊を容認してしまうと、その先に待っているのは
第9章でご説明した通り、朝鮮戦争のさなかに生まれた
「米軍による日本の軍事利用体制」の完成です。

では、いったいどうすれば日本は今後、そのような歪んだ構造をただして、
みずからが主権を持ち、憲法によって国民の人権が守られる、
本当の意味での平和国家に生まれ変わることができるのか。

その複雑なパズルを解くためには、いま、すべての人が、
すべてのポジショントークを一度やめて、遠く離れた場所
(沖縄、福島、自衛隊の最前線)で大きな矛盾に苦しむ人
たちの声に真摯に耳を傾け、あくまで事実に基づいて(第7章)、
根本的な議論を行うときにきていると私は考えます。

あとがき

美しい「理念」を語るより、社会の「安定」を重んじる立場を「保守」
と呼ぶのなら、私はその立場を心から支持します。
社会が混乱に陥ったとき、最初に犠牲になるの はいつも私たち一般の庶民、
なかでも、もっとも立場の弱い人たちだからです。

けれどもその「安定」が、単に見せかけだけのものにすぎないとしたら。

すでに社会の中枢神経がおかしくなっていて、
末端で起きている悲劇やその痛みが、ただ感じられなくなっているだけだとしたら。

遠からず、いま私たちの生活を支えているさまざまな防波堤は決壊し、
日本という国全体が大きな混乱に陥ってしまうことでしょう。

私が自分の本のなかで繰り返し取り上げてきた沖縄の人たちは、
かつてその危険性を、

「小指の痛みを、体全体の痛みとして感じてほしいのです」

という、見事な言葉で表現してくれました。

それはただ、苦境にある自分たちを助けてくれというお願いではありません。

体の一部がこれほどまでに傷ついているのに、
その痛みが感じられないとは、いったいどういうことなのか。
痛みというセンサーを失った生きものが、
どうして安全に生きていくことができるのか。
このあと体全体に何が起ころうとしているのか、
少しは想像してみたらどうなのだーー 。

そういう同胞としての、心からの警告でもあるのです。

沖縄が長い苦難の歴史のなかから紡ぎ出した、
そうした輝くような言葉のなかにこそ、これから日本という国が
再生していくための貴重な知恵が存在していると私は思っています。

この本は、2010年6月の鳩山内閣の崩壊と、
その9ヵ月後に起こった福島原発事故をきっかけに始めた、
約7年間にわたる「大きな謎を解く旅」の全体像を、
できるだけ簡単にまとめたものです。

旅を終えた感想としては、

「日米の軍事的な関係についての闇は、たしかに深かった。
しかしそれは、自分たちがあまりに無知だったから深かっただけで、
わかってみると案外単純な話でもあった」

というのが正直なところです。

本文中では、

「あとは、きちんとした政権をつくってアメリカと交渉するだけだ」

と書きましたが、もちろん容易なことではありません。
急いで調べる必要があるのは、他国のケーススタディです。

○ 大国と従属関係にあった国が、どうやって不平等条約を解消したのか。

○ アメリカの軍事支配を受けていた国が、どうやってそこから脱却したのか。

○ 自国の独裁政権を倒した人たちは、そのときどのような戦略を立てていたのか。

これからは、そうした「解決策を探す旅」が始まります。

少し時間はかかるかもしれませんが、何かわかったら、またご報告します。

それまでしばらくのあいだ、みなさん、さようなら。
お元気で。

はじめに

それほどしょっちゅうではないのですが、
私がテレビやラジオに出演して話をすると、すぐにネット上で、

「また陰謀論か」
「妄想もいいかげんにしろ」
「どうしてそんな偏(かたよ)った物の見方しかできないんだ」

などと批判されることが、よくあります。

あまりいい気持ちはしませんが、だからといって腹は立ちません。

自分が調べて本に書いている内容について、いちばん
「本当か?」と驚いているのは、じつは私自身だからです。

「これが自分の妄想なら、どんなに幸せだろう」

いつもそう思っているのです。

事実か、それとも「特大の妄想」か

けれども本書をお読みになればわかるとおり、
残念ながらそれらはすべて、複数の公文書によって裏付けられた、
疑いようのない事実ばかりなのです。

ひとつ、簡単な例をあげましょう。

以前、田原総一朗さんのラジオ番組(文化放送「田原総一朗 オフレコ!」)
に出演し、米軍基地問題について話したとき、こんなことがありました。
ラジオを聞いていたリスナーのひとりから、放送終了後すぐ、
大手ネット書店の「読者投稿欄」(カスタマーレビュー)に
次のような書き込みがされたのです。

★☆☆☆☆〔星1つ〕 UFO博士か?
なんだか、UFOを見たとか言って騒いでいる妄想ですね。
先ほど、ご本人が出演したラジオ番組を聞きましたが
(略)
なぜ、米軍に〔日本から〕出て行って欲しいというのかも全く理解できないし、
〔米軍〕基地を勝手にどこでも作れるという特大の妄想が正しいのなら、
(略)
東京のど真ん中に米軍基地がないのが不思議〔なのでは〕?

もし私の本を読まずにラジオだけを聞いていたら、
こう思われるのは、まったく当然の話だと思います。
私自身、たった7年前にはこのリスナーとほとんど同じようなことを
考えていたので、こうして文句をいいたくなる人の気持ちは
とてもよくわかるのです。

けれども、私がこれまでに書いた本を1冊でも読んだことのある人なら、
東京のまさしく「ど真ん中」である六本木と南麻布に、
それぞれ非常に重要な米軍基地(「六本木ヘリポート」と
「ニューサンノー米軍センター」)があることをみなさんよくご存じだと思います
(89ページ)。

そしてこのあと詳しく見ていくように、日本の首都・東京が、
じつは沖縄と並ぶほど 米軍支配の激しい、世界でも例のない場所だということも。

さらにもうひとつ、アメリカが米軍基地を日本じゅう「どこにでも作れる」
というのも、残念ながら私の脳が生みだした「特大の妄想」などではありません。

なぜなら、外務省がつくった高級官僚向けの極秘マニュアル
(「日米地位協定の考え方  増補版」1983年12月)のなかに、

○ アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる。

○ 日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が
困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない。

という見解が、明確に書かれているからです。

つまり、日米安全保障条約を結んでいる以上、
日本政府の独自の政策判断で、アメリカ側の基地提供要求に「NO」という
ことはできない。

そう日本の外務省がはっきりと認めているのです。

北方領土問題が解決できない理由

さらにこの話にはもっとひどい続きがあって、
この極秘マニュアルによれば、
そうした法的権利をアメリカが持っている以上、
たとえば日本とロシア(当時ソ連)との外交交渉には、
次のような大原則が存在するというのです。

○ だから北方領土の交渉をするときも、返還された島に米軍基地を置かない
というような約束をしてはならない。(註1)

こんな条件をロシアが呑(の)むはずないことは、小学生でもわかるでしょう。

そしてこの極秘マニュアルにこうした具体的な記述があるということは、
ほぼ間違いなく日米のあいだに、この問題について文書で合意した
非公開議事録(事実上の密約)が あることを意味しています(第4章・第5章参照)。

したがって、現在の日米間の軍事的関係が根本的に変化しない限り、
ロシアとの領土問題が解決する可能性は、じつはゼロ。
ロシアとの平和条約が結ばれる可能性もまた、ゼロなのです。

たとえ日本の首相が何か大きな決断をし、担当部局が頑張って
素晴らしい条約案をつくったとしても、
最終的にはこの日米合意を根拠として、
その案が外務省主流派の手で握り潰されてしまうことは確実です。

2016年、安倍晋三首相による「北方領土返還交渉」は、
大きな注目を集めました。
なにしろ、長年の懸案である北方領土問題が、
ついに解決に向けて大きく動き出すのではないかと報道されたのですから、
人々が期待を抱いたのも当然でしょう。

ところが、日本での首脳会談(同年12月15日・16日)が近づくにつれ、
事前交渉は停滞し、結局なんの成果もあげられませんでした。

その理由は、まさに先の大原則にあったのです。

官邸のなかには一時、この北方領土と米軍基地の問題について、
アメリカ側と改めて交渉する道を検討した人たちもいたようですが、
やはり実現せず、結局11月上旬、モスクワを訪れた元外務次官の
谷内正太郎(やちしょうたろう)国家安全保障局長から、

「返還された島に米軍基地を置かないという約束はできない」

という基本方針が、ロシア側に伝えられることになったのです。

その報告を聞いたプーチン大統領は、11月19日、
ペルー・リマでの日ロ首脳会談 の席上で、安倍首相に対し、
「君の側近が『島に米軍基地が置かれる可能性はある』と言ったそうだが、
それでは交渉は終わる」

と述べたことがわかっています(「朝日新聞」2016年12月26日)。

ほとんどの日本人は知らなかったわけですが、この時点ですでに、
1ヵ月後の日本で の領土返還交渉がゼロ回答に終わることは、
完全に確定していたのです。

もしもこのとき、安倍首相が従来の日米合意に逆らって、

「いや、それは違う。私は今回の日ロ首脳会談で、
返還された島には米軍基地を置かないと約束するつもりだ」

などと返答していたら、彼は、2010年に普天間(ふてんま)基地の
沖縄県外移設を唱えて失脚した鳩山由紀夫首相(当時)と同じく、
すぐに政権の座を追われることになったでしょう。

「戦後日本」に存在する「ウラの掟」

私たちが暮らす「戦後日本」という国には、国民はもちろん
首相でさえもよくわかっていないそうした「ウラの掟」が数多く存在し、
社会全体の構造を大きく歪(ゆが)めてしまっています。

そして残念なことに、そういう掟のほとんどは、
じつは日米両政府のあいだではなく、
米軍と日本のエリート官僚のあいだで直接結ばれた、
占領期以来の軍事上の密約を起源としているのです。

私が本書を執筆したのは、そうした「ウラの掟」の全体像を、

「高校生にもわかるように、また外国の人にもわかるように、
短く簡単に書いてほしい」

という依頼を出版社から受けたからでした。

また、『知ってはいけない』というタイトルをつけたのは、
おそらくほとんどの読者にとって、そうした事実を知らないほうが、
あと10年ほどは心穏やかに暮らしていけるはずだと思ったからです。

なので大変失礼ですが、もうかなりご高齢で、
しかもご自分の人生と日本の現状にほぼ満足しているという方は、
この本を読まないほうがいいかもしれません。

けれども若い学生のみなさんや、現役世代の社会人の方々は、
そうはいきません。
みなさんが生きている間に、
日本は必ず大きな社会変動を経験することになるからです。

私がこれからこの本で明らかにするような9つのウラの掟(全9章)と、
その歪みがもたらす日本の「法治国家崩壊状態」は、
いま沖縄から本土へ、そして行政の末端から政権の中枢へと、
猛烈な勢いで広がり始めています。

今後、その被害にあう人の数が次第に増え、
国民の間に大きな不満が蓄積された結果、「戦後日本」
というこれまで長くつづいた国のかたちを、
否応なく変えざるをえな い日が必ずやってきます。

そのとき、自分と家族を守るため、また混乱のなか、
それでも価値ある人生を生きるため、さらには無用な争いを避け、
多くの人と協力して新しくフェアな社会をいちからつくっていくために、
ぜひこの本を読んでみてください。

そしてこれまで明らかにされてこなかった「日米間の隠された法的関係」
についての、全体像に触れていただければと思います。

(本書の内容をひとりでも多くの方に知っていただくため、
漫画家の、ぼうごなつこさんにお願いして、各章のまとめを
扉ページのウラに4コマ・マンガとして描いてもらいました。
全部読んでも3分しかかかりませんので、まずはマンガから
9章分通して読んでいただいてもけっこうです。

商業目的以外でのこのマンガの使用・拡散は、
次のサイトから自由に行ってください。
〔アドレス https://goo.gl/EZij2e〕)

註1 原文は次の通り。
「このような考え方からすれば、例えば北方領土の返還の条件として
「返還後の北方領土には施設・区域〔=米軍基地〕を設けない」
との法的義務をあらかじめ一般的に日本側が負うようなことを
ソ連側と約することは、安保条約・地位協定上問題があるということになる」
(「日米地位協定の考え方 増補 版」1983年12月/
『日米地位協定の考え方・増補版│ 外務省機密文書』所収 2004年 高文研)

「知ってはいけない」この国を動かす「本当のルール」とは?
矢部宏治著 (講談社現代新書 2017年8月20日刊)

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

———————————————————————-

Advertisements


愛国者のみなさん。対等な関係になってこその日米同盟です。世界的にも異常なこの「在日特権」を是正するため立ち上がりましょう! by limitlesslife
愛国者のみなさん。対等な関係になってこその日米同盟です。世界的にも異常なこの「
在日特権」を是正するため立ち上がりましょう!

日米地位協定の改定について、このような発言をすると、日本が「軍」を持たない限り
いくら何言ったってダメ、という反応があります。つまり、9条があるかぎり、アメリ
カと対等になれない、という理屈です。

同盟を、軍事同盟、つまりmilitary allianceとするならば(僕の米軍関係者の友人の
サークルの中では、日米のそれはsecurity allianceと、区別して呼ぶ向きがあります
)、同盟とは「交戦」できる国家同士のあつまりですから、「交戦」を否定する9条が
ある限り、日本はアメリカと対等になることはないのでしょう。

でも、アメリカの関係公式文書を読む限り(集英社から地位協定の共著を執筆中で調査
中)、100以上もあると言われているアメリカが結ぶ様々な地位協定の「改定」にか
かわる要件については、日本が交戦国になれないことでアメリカが日米地位協定を特別
視する記述は見当たりません。

アメリカ政府には、Global SOFA Templateという、地位協定の交渉における標準の雛形
があります。アメリカの国益を最大限に追求した内容ですが、アメリカ自身が、無理筋
、つまり「こんなの、受け入れ国が全部呑むわけねえ」と認めている代物で、あまりに
も国際外交の現実から離れていると、これの運用を変える議論がアメリカ政府内である
のです。

地位協定の運用においてアメリカ政府が一番気を遣っているのは、受け入れ国の「国民
感情」です。特に、「事故」が起きた時の。だから、Global SOFA Templateから、どこ
まで譲歩できるかを、真剣に議論しているのです。

日本では、事故が起こっても「国民運動」の引き金となることはなく「沖縄の問題」で
終わってしまう。

アメリカが締結している地位協定は数あれど改定がないのは日米地位協定だけであり、
その内容はGlobal SOFA Templateそのものです。

12月23日(金)午後7時半開演
かみむら泰一(ts), 坂本千恵(p), 山口裕之(b), 真喜志透(ds)
於:吉祥寺 メグ:http://www.meg-jazz.com/map.html <http://l.facebook.com/
l.php?u=http%3A%2F%2Fwww.meg-jazz.com%2Fmap.html&h=_AQF8Skqp&enc=AZOOvOjFgYjgz
_5j-zaSCnC-8K1e3gh5g7tfidPTbOUC0NlIf9O0IAG0IAu1TVaYB9U&s=1
>

12月24日(土)午後7時開演
「自衛隊を活かす会」主催トークライブ
於:四谷三丁目 喫茶茶会記:http://sakaiki.modalbeats.com/ <http://sakaiki
.modalbeats.com/>
坂本千恵(p), 田中洋平(b)

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace



12/17(土)【瀬戸内ネット】学習会「日米地位協定ってな~に? どうなる?市民の安心・安全 by limitlesslife

瀬戸内ネットの伊達 純です。

瀬戸内ネットでは以下の要領で日米地位協定についての学習会を行ないます。

御参加をよろしくお願いします。

——————————————————————————-
瀬戸内ネット学習会
日米地位協定ってな~に?
どうなる?市民の安心・安全

沖縄では米兵による犯罪や事件・事故が多発し、被害者が泣き寝入りすることも少なく
ありません。また米兵による犯罪や事件・事故は、岩国でも起きています。そのおおもと
にあるのが日米地位協定です。その日米地位協定について、岩国基地関連訴訟にも関わっ
てこられた山田延廣弁護士から話を伺います。よろしく御参加下さい。

■講師:山田延廣さん(法律事務所八丁堀法律センター、
ストップ!戦争法ヒロシマ実行委員会共同代表)
■日時:12月17日(土) 午後2時より
■場所:岩国市民会館第2研修室
(岩国市山手町1丁目15-3 TEL:0827-24-1221 岩国市役所前)
■資料代:500円(学生、障がい者無料)

瀬戸内海の静かな環境を守る住民ネットワーク(瀬戸内ネット)
〒739-0042 岩国市青木2-24-45 桑原清方
TEL:0827-38-1866
FAX:0827-38-1867

MLホームページ: http://www.freeml.com/abolition-japan



米軍が撤退しても「日本防衛」に支障はない  by limitlesslife
「米軍を撤退させる」ならどうぞ
日米安保を何も知らないトランプ
田岡俊次 たおか しゅんじ・ジャーナリスト

米軍が撤退しても「日本防衛」に支障はない

米兵の人件費や燃料費等を除き、在日米軍の駐留費の大半を負担しているのは日本だ。
トランプ氏がそうした事実も知らないで「撤退」を口にしたら、
困るのは米軍自身なのだ。

11月8日の米大統領選挙で共和党のドナルド・J・トランプ氏(70歳)
が大方の予想に反して圧勝したことは、経済格差の拡大で没落する下位中産階級、
窮乏にあえぐ白人貧困層の既成勢力(エスタブリッシュメント)
への反感の強さを示した。
彼の暴言の連発には共和党の幹部たちもあきれて支持を取り消し、
米国メディアのほとんどがクリントン候補の支持を表明しても、
大衆はエリートたちの警告を無視し、現状打破の希望を彼に託した。

これには予兆があって、2011年9月から数千人がウォール街を占拠する
「99%の乱」が起き、多くの都市に波及した。
米国では国民の1%が資産の34・6%を握っているから、
99%の人々の怒りが金融街での座り込みに表れた。
しかも人口の20%の人々が資産の85・1%を保有するから、
人口の8割はほぼ無産状態で、過去30年間で実質所得が増えたのは上位20%だけ、
次の20%はほぼ横ばい、
その下の60%は減少だからいずれは不満が爆発する形勢だった。
最上位の10%と最下位の10%の所得比は15・9倍に達し、
アルゼンチンの22・1倍、メキシコの21・4倍に近付きつつある。
中国は17・9倍、日本は8・4倍だ。

米国では相続税がかかるのは相続財産が543万ドル(約5・9億円)以上の場合で、
夫婦間の相続は課税対象でないから、子は父が死亡した際に5・9億円を相続し、
母からまた5・9億円を相続すれば計12億円近くを無税で受け取れる。
生命保険金も無税だから巨額の生命保険を掛けたり、
財団を作って資産を寄付し、子が理事となって運用するなどの抜け道もある。
資産格差が拡大して当然だ。

トランプ氏もそうした手法で不動産開発業者の父から資産を受け継ぎ、
今年9月の『フォーブズ』誌の調査では37億ドル(約4000億円)
にまで増やした。
だが節税策で、すでに18年間国税を納めていないとも報じられた。

彼は、中産階級や貧困層の人々の憎しみの的になってもおかしくない人物だ。
そうした人々は、「公立大学の無償化」など、やや社会主義的政策を
唱えた民主党のバーニー・サンダース上院議員を支持する方が筋のように思えるが、
マッチョに傾く大衆は「強い成功者」に変革の期待をつなぐのだろう。

日本を守る米軍?

彼は大衆の怒りを移民やイスラム教徒、自由貿易など外に向け、
自分がその権化の「エスタブリッシュメント」
に挑戦する姿勢を演出して選挙に成功した。
だが彼の選挙戦での発言は、国際情勢や世界経済に無知、
無関心な米国の大衆が快哉を叫びそうなことを、脈絡なく、
実現性も検討せずに羅列しただけ。
当選後「宣伝には若干の誇張も許される」と公言する程だから、
あまり実行はできず、大衆は一層不満をつのらせ、
4年後にはさらに排外的、強権的な候補者が出現するのではと案じられる。

日本に対しても「不公正な貿易で米国人の職を奪う。
安倍は殺人者だ」と叫び、演説中に日韓の核武装を認めるような発言
をする画像もテレビに出たが「私は一度もそんなことを言っていない」
と本人は否定している。
「在日米軍経費は100%日本に払わせる。
条件次第で撤退させる」とも言うが、これも無知を露呈した論だ。
日本は今年度在日米軍の経費5900億円余を負担し、
米国も55億ドル(約5900億円)を出しているが、この大部分は
米軍人5万2000人余の人件費で、一部が艦艇、航空機の燃料費や維持費だ。
100%日本が出せば、米軍将兵は日本政府から給料を貰う傭兵になる。

本来「日米地位協定」の24条では、日本は米軍に国有地を無償で貸し、
民有地の地代を出すが、それ以外の経費は「すべて合衆国が負担する」
と定めている。
だがベトナム戦争後の米国は財政難に陥り、ドルの価値は360円から
180円程に下落したため、基地労働者の給与がドルでは突然2倍になり、
米軍は払えなくなった。
このため日本は1978年からその諸手当分62億円を負担した。
当時、「法的根拠は何か」と聞かれた金丸信防衛庁長官が
「知り合いがお金に困っている際、思いやるのが人情」
と答えたため「思いやり予算」の名が付いた。

これは堤防の一穴で、米軍は次々に基地労働者の給与全額や光熱水費の支払い、
建物等の建設、さては沖縄の海兵隊のグアム移転費の分担などを求め、
日本の負担は急増した。
日本では「米軍に守って貰っている」との意識が擦り込まれているため、
米軍の要求を安易に呑むが、実は韓国やかつての西独と異なり、
日本を直接守っている米軍はゼロだ。
米第7艦隊の21隻は横須賀、佐世保を母校としているが、同艦隊は
西太平洋、インド洋を担当海域とし各地を巡航、アラビア海まで出動する。
「その存在が日本の通商路の安定に寄与する」と米国人は言うが、
それらの海域を船が通る点では中国を含む他の諸国も同じだ。

自衛隊に「一義的責任」

沖縄の海兵隊の戦闘部隊、第31海兵遠征隊(約2000人)は
第7艦隊の陸戦隊で、佐世保の揚陸艦に乗って出動する。
騒乱の際の在留米国人の救出や災害派遣を行ない、
有事の際には上陸部隊の先鋒となるため沖縄に待機している。
沖縄防衛兵力ではない。
米空軍は嘉手納と三沢に戦闘機約70機を配備しているが、日本の防空に
関与せず、防空は1959年以来、航空自衛隊が全面的に担当している。

昨年4月に改定した「日米防衛協力の指針」(ガイドラインズ)は、
その核心部分である「日本に対する武力攻撃が発生した場合」の
「作戦構想」で、自衛隊が防空、弾道ミサイル防衛、
日本周辺海域での艦船の防護、陸上攻撃の阻止、撃退などあらゆる分野で
「プライマリー・リスポンシビリティ(第一義的責任)を持つ」
と定め「米軍は支援、補完をする」としている。
島の奪回作戦も、「自衛隊が行なう」と明記した。
自衛隊が自国防衛に一義的責任を負うのは当然だが、
言わずもがなの語句を入れたのは、もし米軍が何もしなくても
「一義的責任はそちらにあると書いてある」と言えるためだ。

これでは日本で「何のために米軍に基地を貸し、巨額の補助金を出しているのか」
との疑問が生じるから、邦訳では「一義的責任を持つ」を「主体的に実施する」
とごまかしている。
このガイドラインズの規定は、自衛隊がすでに日本防衛の能力と責任を
持っている現状を追認したもので、もしトランプ氏が米軍を撤退させても
日本の「専守防衛」に穴は開かない。

攻撃能力を示して相手の攻撃を予防する「抑止」は米軍に頼っているが、
抑止戦略は「反撃を受けるから攻撃は見合わせよう」
と考える相手の理性を前提としている。
もし北朝鮮が崩壊に瀕し、指導者が自暴自棄になり
「死なばもろとも」と核ミサイル発射を命じるのなら、抑止は効かない。

米国は冷戦後、欧州、韓国で大幅な駐留部隊の削減をしており、
財政状態からさらに削減が進むとしても、海軍は絶対的優勢を将来も保ち、
世界的制海権により本国の安全と発言権確保をはかるだろう。
西太平洋での制海権維持には艦船修理能力のある横須賀、佐世保は不可欠だから、
トランプ氏が「撤退するぞ」と脅すなら「結構なお話です」と応じればよい。
やがて相手は「海軍だけでも置いてほしい」と下手に出るしかなく、
「日本は守って貰っている」のではなく「置いてやっている」
実態が明らかになるだろう。

【週刊金曜日 2016・11・25】

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace



「装甲車を乗り越えよ」 by limitlesslife
「唐牛伝 敗者の戦後漂流」を書いた 佐野真一(さの・しんいち)さん
北海道新聞 2016年9月4日

60年安保のカリスマに迫る

60年安保闘争のカリスマ、唐牛(かろうじ)健太郎。デモ隊を率いて国会に突入し
た元全学連委員長は、闘いに敗れた後、長い間流浪の生活を送った。なぜ彼は何者かに
なることを拒否したのか。本書は函館で生まれ、47歳で逝った男の足跡を追った力の
こもった評伝である。

「全学連は闘いには敗れたが、彼らが岸信介を退陣させたから憲法は改正されず、戦
後70年間の平和がもたらされた」。東京・お茶の水の古びたホテルで佐野さんは語り
出した。当時、東京の下町に暮らす13歳。「日本に革命が起きるのでは」と、国会前
を埋め尽くした学生デモのテレビ映像にかじりついたという。

60年、新たな日米安保条約をめぐり、世情は騒然とした。1月、全学連は岸首相の
訪米を阻止するため、羽田空港のロビーを占拠。4月には国会突入を図った。いずれも
唐牛が先頭に立った。「装甲車を乗り越えよ」。激烈な演説にデモ隊が続いた。だが唐
牛は突入時に逮捕され、新安保条約は国会での強行採決を経て6月19日、自然承認さ
れる。同月15日の国会デモでは東大生の樺(かんば)美智子さんが犠牲になった。

函館・湯の川で芸者の非嫡出子として生まれた唐牛は函館東高を経て北大に進学。自
治会委員長になり、その後全学連委員長に担ぎ上げられた。「唐牛は嫌々だったがみこ
しに乗せられた以上は踊ってみるか、という覚悟があった。そして見事に踊った」。気
っぷの良かった若者は、明るさの裏に出自に関する劣等感を隠していた。革命家という
より、詩人だった。

「60年安保で日本の骨格が決まった」と佐野さんは語る。「祭り」が終わると高度
経済成長が訪れ、安保を闘った若者の多くは社会に戻った。だが、全学連の幹部は敗者
となって漂流を続ける。唐牛はヨットスクール経営、居酒屋店主、漁師と職を変え、鹿
児島県与論島、厚岸、紋別と日本中を転々とした。「高度経済成長の果実をむさぼるこ
となく、若くして死んでいった連中の生き方にすがすがしさを感じた」

ノンフィクション作家の佐野さんは2012年に週刊朝日に発表した橋下徹大阪市長
(当時)をめぐる記事が差別的だったとして連載中止となり、本書が復帰第1作になる
。「ごう慢になっていた」と反省、「テーマを吟味することの重要さを改めて感じた」
と話す。

経済成長の果てに社会の劣化が進んだ今、こう思う。「日本の青春期に闘った彼らを
、忘れることはできない」

編集委員 島倉朝雄

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace



メディア最大のタブー日米同盟を検証する by limitlesslife

> アジア記者クラブ9月定例会
>
> メディア最大のタブー日米同盟を検証する
> 辺野古新基地建設と今も生きる核密約
>
> 2016年9月28日(水)18時45分~21時
> 明治大学研究棟4階・第一会議室
>
> ゲスト 春名幹男さん(早稲田大学客員教授)
>
>  安倍首相の登場以来、「日米同盟は盤石」、「日米同盟の強化」という言葉が
> 金科玉条のごとく繰り返されてきた。「中国の脅威」「北朝鮮の核やミサイル」
> への抑止力として、米軍が日本に駐留している最大の理由にもされてきた。その
> 一方で、尖閣(釣魚)諸島の領有権を巡る日中の対立が武力衝突を招いた場合、
> 米政府の「日本の施政権が及ぶ範囲に日米安保条約第5条を適用」という発言通
> りに、米軍が日本を防衛してくれるのか、疑問符が付いたままである。旧安保条
> 約が締結されてから65年。毎年、1800億円を超える「おもいやり予算」を
> 組みながら、巨額の負担に見合った同盟の実態が検証されることはなかった。
>  9月定例会は、共同通信で米国駐在が10年を超える春名幹男さんをゲストに
> お招きします。昨年、『仮面の日米同盟』(文春新書)を上梓されました。新安
> 保法制下で、集団的自衛権の行使が合法的に実行されようとしている中で、春名
> さんは米外交機密文書を入念に読み解きました。一例を上げれば、新ガイドライ
> ンの作為的翻訳によって米軍関与の印象強化が演出され、実は同盟の実情が米軍
> の「支援のみ」にすぎず、米国が半世紀にわたって求めてきたのは、核密約と兵
> 站基地の提供であったことを外務・防衛官僚のみが早くから把握していたことを
> 明らかにしておられます。当日は、既存メディア最大のタブーである日米同盟の
> 実態にメスを入れたいと思います。
>
> 春名幹男 1946年京都市生まれ。大阪外国語大学卒。共同通信社ニューヨー
> ク支局、ワシントン支局、ワシントン支局長。名古屋大学大学院国際言語文化研
> 究科教授を経て、現在、早稲田大学大学院客員教授。ボーン・上田記念国際記者
> 賞・日本記者クラブ賞受賞。著書に『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、
> 『秘密のファイ ル―CIAの対日工作』(共同通信社)など。
>
> ★予約⇒お名前、所属、会員の有無、Eメール、電話番号を記載の上、必ず2日
> 前までにEメールでお申込み下さい。返信メールでの予約の承認がないと参加で
> きませんので注意願います。
>
> ■会 場 明治大学研究棟4階・第一会議室(東京都千代田区神田駿河台1-1)
> ■交 通 JR・地下鉄「御茶ノ水」・都営線「神保町」下車
> ■資料代 ビジター1500円、会員1000円、
> 明大生・教職員無料(予約制)
> ■主 催 アジア記者クラブ(APC)
> ■連絡先 アジア記者クラブ(APC)
> 東京都千代田区三崎町2-6-2
> ダイナミックビル5階 たんぽぽ舎気付
> http://apc.cup.com
> E-mail:apc@cup.com
>
> ※最新の情報(変更・中止の場合があります)は、必ずHPでご確認ください。

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace



日米地位協定について/by Yahooニュース編集部 by limitlesslife
☆日米地位協定について。
Yahooニュース編集部が、2回に渡って、特集をしています。
ぜひ、ご覧下さい。
沖縄・女性殺害事件が浮き彫りにする「理不尽」〜日米地位協定を考える
8月18日(木)10時38分配信
なぜ改定されないのか~日米地位協定を考える
8月18日(木)17時52分配信
****************************
近藤ゆり子 k-yuriko@octn.jp
****************************