東京電力の新たな再建計画がまとまった。福島第一原発の事故に伴って膨らみ続ける損害賠償や廃炉などの費用をまかなうため、大胆な経営改革で「稼ぐ力」を高めることが主眼だ。

東電にとって、被害者や被災地への責任をまっとうするのは、当然の義務である。ただ、収益目標のハードルは高く、実現が見通せない項目も目につく。絵に描いた餅にならないか、今後も検証しながら取り組む必要がある。

東電は11年の事故で経営が立ちゆかなくなり、実質国有化された。さまざまな支援を受けながら、政府の監督の下で賠償や事故の後始末に当たってきた。

昨年末には、事故処理費用が従来の想定から倍増する見通しになった。政府は、総額約22兆円のうち約16兆円を東電の負担や国が持つ東電株の売却益でまかなう枠組みをまとめた。

これを受けて見直された再建計画は、東電が今後30年間、年5千億円の資金を確保することを想定する。その上で、利益を大幅に伸ばす目標も掲げる。

ただ、疑問は多い。

切り札と期待する柏崎刈羽原発の再稼働は、めどが立たない。東電が重要施設の耐震性不足を原子力規制委員会に報告していなかったことが最近になって発覚し、地元の新潟県知事らが不信をいっそう強めている。安全対策の徹底が先決であり、再稼働に頼らず必要な資金を稼ぎ出す方策を考えるべきだ。

収益力を高める新たな手としては、送配電や原発など事業部門ごとに他社との再編をめざすことを柱に据えた。エネルギー業界全体の改革につなげたい経済産業省の思惑もちらつくが、他の電力大手は東電の原発事故対応に巻き込まれるリスクを警戒する。実際に再編が進むかは不透明だ。

そもそも、新計画の前提として政府がまとめた事故費用の負担枠組みも問題がある。原発を持たない新電力に一部を負担させる方針には、「筋違いのつけ回し」といった批判がやまない。東電の収益が拡大し、株価が大幅に上がらなければ、4兆円の除染費を東電株の売却益でまかなう目算は狂い、税金による尻ぬぐいが現実味を帯びる。

国民の負担で東電が存続を許された理由は、福島に対して重大な責任を負っているという一点である。

東電がその責任を果たせないなら、国がさらに前に出るしかない。東電の解体論も高まるだろう。経営陣を一新して再出発する東電と政府は、国民の厳しい目を忘れてはならない。