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噴火警戒レベル:研究者「機能せず」41% 「根拠ない」多数 毎日新聞調査 by limitlesslife
October 25, 2015, 9:04 pm
Filed under: 火山(噴火、規模、警戒レベル、・・・)

毎日新聞 2015年10月18日 東京朝刊

 気象庁による活火山の「噴火警戒レベル」について、全国の火山研究者の約4割が防災対策として有効に機能していないと考えていることが、毎日新聞のアンケートで分かった。死者・行方不明者63人を出した昨年9月の御嶽山(おんたけさん)噴火では、レベルが1(平常)のまま噴火が起き、気象庁のレベル決定の妥当性が問われたが、仕組み自体を有効とみる研究者は3割未満にとどまる。「根拠がない」との指摘が多く、住民の避難や防災機関の対応につながる基本情報の限界が浮かんだ。

調査は9月、国内の大学や研究機関で火山観測などに携わる研究者と、気象庁の火山噴火予知連絡会委員の計104人に書面を送り、51人から回答を得た。

噴火警戒レベルは2007年から順次導入。火山活動の活発さと避難や入山規制など取るべき行動をセットで示すのが特徴で、地元自治体が判断に迷わず迅速に防災対応できる効果が期待された。現在、11の火山がレベル2以上、御嶽山噴火後にレベルの上げ下げがあった活火山は10火山に上る。

しかし、アンケートで警戒レベルが「有効に機能している」と答えた研究者は27%しかおらず、41%は「有効でない」と回答。御嶽山噴火後のレベル運用や情報発信も「適切」と「不適切」の回答がともに4割前後で拮抗(きっこう)した。「不適切」の理由では、噴火の後にレベルを引き上げている点や、いったん上げるとなかなか下がらないタイミングの悪さ、解説情報の分かりにくさなどが挙がった。

日本火山学会会長の井口正人・京都大教授は「警戒レベルの仕組み自体は防災に有効」と評価する一方で「気象庁がレベル評価を適切にできていない。職員の専門性向上を急ぐべきだ」と指摘。火山活動の評価と取るべき行動の切り離し▽レベルを変更する際の基準の公開▽レベルに依存しない自治体の自発的な防災対応−−などを求める声もあった。

一方、東日本大震災前後の日本列島の火山活動の変化を尋ねたところ、3割近くが「活発化している」と回答した。しかし、4割超は「変わっていない」とみており、専門家の間でも見解が割れている。

今後30年以内に国内で住民に大きな被害が出る巨大噴火が発生する見通しについては、回答者の2割超が「起きる」と指摘。残りは「分からない」とした。

また、御嶽山噴火で多数の人命が失われた最大の原因を選択式で聞いたところ「監視体制の不備」や「前兆現象の判断ミス」などを抑えて「そもそも避けられなかった」との回答が最多だった。【千葉紀和、久野華代】

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■ことば

 ◇噴火警戒レベル

火山活動の状況に応じ、警戒が必要な範囲や、周辺住民や登山者らが取るべき行動を5段階で示す。現在運用されているのは、常時観測対象の国内47火山のうち32火山。レベルの上げ下げは、火山ごとに定める基準に沿って気象庁が決める。御嶽山噴火後、レベル1は「平常」ではなく「活火山であることに留意」に表現が改められた。レベル引き上げに至らない火山活動の変化には、臨時の火山解説情報を出す。