小渕優子・前経済産業相の複数の政治団体間で、「寄付」として申告されていた計8800万円の資金移動の大半が、実際は架空だった疑いがあることが関係者への取材で分かった。「寄付」は各団体の収支報告書に記載されており、政治資金規正法違反(虚偽記載)の可能性がある。

小渕氏をめぐっては昨年秋、関連する政治団体の不透明な資金処理が発覚。東京地検特捜部が小渕氏の元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎氏(66)から事情を聴くなど、詰めの捜査を進めている。

問題の「寄付」は、小渕氏が代表を務める資金管理団体「未来産業研究会」(東京)が、「自民党群馬県第五選挙区支部」「小渕優子後援会」(いずれも群馬)の2団体に行ったとしたもの。「未来研」の収支報告書には2006~13年に計8800万円の支出、2団体には同額の収入が記載され、手書きの領収証も総務省に提出されていた。

関係者によると、こうした資金移動は実際には行われていなかった疑いがあり、収支報告書の記載は虚偽だった可能性があるという。

一方、「未来研」「第五支部」「後援会」と「自民党群馬県ふるさと振興支部」(群馬)の4団体では、地元・群馬の支援者らが参加した観劇会に関し、収支報告書で支出が収入を上回っていたことが判明している。05~13年で差額が計6千万円を超え、その大半は「未来研」以外の群馬の3団体の収支報告書に記載されていた。

小渕氏の説明などによると、観劇会には地元の支援者ら毎年2千人強が参加。大型バスで東京・明治座を訪れ、有名歌手のショーなどを楽しんだ。会費は1人1万2千円だった。この費用について政治団体が「赤字が出た」と申告していた形で、小渕氏側による補塡(ほてん)の可能性も指摘された。

しかし、関係者によると、観劇会の参加者は費用をほぼすべて負担しており、補塡などはなく、「赤字」も架空だった可能性が高いという。

特捜部は、群馬の団体が東京の未来研から「寄付」で得たと申告した収入分8800万円と、観劇会で生じたとした「赤字」6千万円超との関連についても解明を進めている模様だ。折田氏は、群馬の3団体の会計について「私が全部チェックし、報告書を作成し、提出していた」と説明していた。

寄付の実態などについて小渕氏の事務所は朝日新聞の取材に「捜査中につき、質問に対する回答は控えています」とコメントした。