■「月刊日本」主幹・南丘喜八郎さん(68歳)

私たちの雑誌の巻頭言で、「同盟国に使嗾(しそう)(指図しそそのかす)され戦争に参加することがあっては断じてならない」と書いた。集団的自衛権の行使容認が「国益」にかなうと安倍政権は言うが、詭弁(きべん)だ。米国追従の強化にほかならず、私は絶対反対だ。

今日、集団的自衛権の議論で気になるのは「人を殺す」という認識の欠如だ。「戦争に巻き込まれる」「日本人が殺される」と受け身の発想ばかり。いざ戦闘になったら敵、人を殺すことが第一の任務になることを忘れてはならない。

その点、戦前の人はリアリティーをもって考えていた。与謝野晶子は「君死にたまふことなかれ」で、「親は刃(やいば)をにぎらせて人を殺せとをしえしや 人を殺して死ねよとて……」と歌った。戦場では殺される側にも殺す側にもなることに思いが至っていたのだ。

ベトナム戦争で米国がそうだったように、各国の兵士が「殺した」ことに傷ついている。五体満足でも心はやられている。私は約10回、体験入隊をして自衛隊員と付き合ってきたが、殺すということへの精神教育を受けていない彼らの心が耐えられるか。

殺された側にも恨みが残る。恨みは連鎖する。それが戦争だ。指導者はその重みに耐え、決断し、背負っていく。最高指揮官たる安倍(晋三)首相に、その覚悟はあるのか。あると言うのなら、起こりうる現実を率直に伝え、「それでも日本には役割がある、耐えてくれ」と国民に訴えるべきだ。

(聞き手・藤生明)

よその国と争いごとが起きても、武力では解決しない。日本国憲法がうたう精神が一内閣の決定で、覆されようとしている。各界で活躍する人たちの異議申し立ての声を聞く。

みなみおか・きはちろう ラジオ日本報道部長などを経て1997年、「わが国の再生と真の独立国としての復活」を掲げて保守系言論誌「月刊日本」を創刊。

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コメント:ワシントン・ポスト紙:イラク・アフガン帰還兵3人に1人が精神疾患(ホームレス・自殺などへ)