食生活指針」が16年ぶりに一部改定されました。・・・といっても、食生活指針って何? と言う方も多いでしょう。あまり知名度は高くありませんが、日本人にとって望ましい食生活とその実践方法を示したメッセージです。2000年に当時の文部省、厚生省農林水産省が連携して定めました。

それ以前には、厚労省がまとめた「健康づくりのための食生活指針」というものがあり、栄養バランスを取るため、「1日30食品を目標に」という項目が立てられていました。数字が入ってわかりやすいこともあり、今でも覚えている方がいらっしゃるのでは。ただ、30という数字にこだわって食べ過ぎたり誤解を招いたりすることもあると、この項目は2000年の食生活指針で、消えています。

さて、今回の改定ではどこが変わっているでしょうか。全部で10項目あるうち、3番目が「適度な運動とバランスのよい食事で、適正体重の維持を」です。実践のために、普段から体重を量り食事量に気をつけることと、特に若い女性のやせすぎや高齢者の低栄養に気をつけるよう呼びかけているのが目を引きます。

男性の30~60歳代では肥満の人が3割を占め、肥満予防が重要な一方、若い女性や高齢者では、むしろしっかり食べてほしい人が多くいるのが今の日本。「食べ過ぎ注意」か「十分食べて」かは、人によって違います。

食べている量と消費している量のバランスがとれているかをチェックする目安になるのが、体格(BMI)です。BMIは体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割った数値で、18歳から49歳はこれが18.5~24.9、50歳から69歳は20.0~24.9、70歳以上は21.5~24.9の間に入っているとよいとされます。

以前は性別と年齢、労働の重さで場合分けして適正な食事のエネルギー量が示されていましたが、2015年版食事摂取基準で、BMIを使う方法に改められました。そこで、食生活指針でも、体重を量って、体重の変化を意識することが勧められているわけです。

7番目の「食塩は控えめに、脂肪は質と量を考えて」も、変更があった項目です。減塩は以前から盛り込まれていますが、目標値が1日10グラム未満だったのが、今回は男性8グラム未満、女性が7グラム未満に。

また脂肪は、これまでは「控えめに」となっていたのが、「質と量を考えて」と変わりました。脂肪に関して、実は、20代の女性を除いた男女すべての年代で、現状は食事摂取基準が示す目標の範囲に収まっているのです。20代女性も超過の程度は少しだけ。個人差はありますが、脂=食べ過ぎ、ではない。そこで、質と量に注意することがポイントに。具体的には、動物、植物、魚由来の脂肪をバランスよくとるよう呼びかけています。

日本人の現状を反映し変更された食生活指針。栄養面ばかりではなく食文化や食料の安定供給、環境などの要素も入っています。詳しい内容はサイト(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000128503.html別ウインドウで開きます)を見てください。

目からウロコというような斬新な項目はありませんが、指針に書かれているのは、食生活の基本。本当に自分ができているか、チェックしてみる価値があるはず。食事に迷ったら、これを読んでみて。食生活指針に基づいて作られた「食事バランスガイド」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html別ウインドウで開きます)には、1日に何をどれくらい食べたらよいかが具体的に示されています。今回、食生活指針は改定されましたが、厚労省によると、バランスガイドには内容変更はなく、現行のまま使う方針です。

 

<アピタル:食のおしゃべり・トピック>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/eat/(大村美香)

大村美香

大村美香(おおむら・みか)朝日新聞総合プロデュース室主査
1991年4月朝日新聞社に入り、盛岡、千葉総局を経て96年4月に東京本社学芸部(家庭面担当、現在の生活面にあたる)。組織変更で所属部の名称がその後何回か変わるが、主に食の分野を取材。10年4月から16年4月まで編集委員(食・農担当)。共著に「あした何を食べますか?」(03年・朝日新聞社刊)