Global Ethics


小出先生 ラジオフォーラム2014/3/29のお話(もんじゅは核兵器材料を得るためにある)&シルクロード12000kmを歩いた男がイランに魅せられた理由、大村一朗さんのお話 by limitlesslife

永岡です、第64回ラジオフォーラム、今週はジャーナリストの石丸次郎さんの司会で放送されました。今日も朝のFMharoと夕方の三角山放送を聞きました。三角山放送で、ラジオフォーラムはこんなこと言っていいのかとまでやっており、しっかり聞きたいとスタッフの丸山さんのコメントがありました。

石丸さん、25年前に韓国に留学され、ソウルから徒歩で地方に行くこともあり、坂が多くて、風景もあり、それが春に思い出されるのです。

今日のテーマはイランで、日本には、悪の枢軸、核開発、反米など悪いイメージがありますが、ジャーナリストの大村一朗さんはシルクロード12000kmを歩いて、イランを取材されました、そのお話です。中国の西安~ローマまで900日!2年5ヶ月徒歩で旅行され、いろいろな人の助けもありたどり着けたのです。帰国後、記者になり、イランに行き、取材されました。そのお話です。大村さん、イランに誤解と偏見があると言われます。

前半、12000kmの徒歩旅行、20年前の大学卒業後のことで、自分を変えたく、生まれ変わりたい。自信のない人間で、過去を振り返り、心の底からつらいこともうれしいこともなく、自信なし=経験なし。人生の軸がないからで、土台を作るためにやり遂げたく、出来ないことに挑戦した。94年6月に出発し、中国・西安を出発し、中央アジア(旧ソ連)、イラン、トルコ、ブルガリア、ルーマニア、最後がローマで、乗り物は使わず、言葉は英語が通じず、その国の言葉が食事・宿泊に必要で、小さな国ごとのハンドブックを持ち、覚えながら歩いた。

宿泊は宿場町の名残り、30kmおきに食堂、ガソリンスタンドもあり、自動車社会なのに、人が1日歩ける30kmごとに施設もあり、何もないとテントでキャンプ。強盗などは、キャンプだと怖く、誰かにテントを張るところを見られたら畳み、物取りにはトルコのイスタンブールで現地の人に睡眠薬を盛られて身包みはがされ、シルクロードでは何もなかったのに、都会だとこれなのです。

冬も夏も歩き、厳しいのが中国西部、真冬はマイナス15度、テントで悲愴であり、体が持つのか心配。国境は越えるのも政治的な緊張もあり、次の国のビザが要り、陸路で越えられるかはそこに行かないといけない、徒歩ではダメな国境もあり、イランから出たら送り返され、その際のみ止む無く空路で行った。

靴も大変で、合計3足のみで済み、しかし1足を履き潰し、修理してくれるところも路上にあり、つぎはぎだらけの靴を1年履けたのです。それで、イランに魅せられたのです。この経験を本にまとめ、その後イランに住み、イランは先入観と、実際のギャップが最も大きかったのです。

 

小出裕章ジャーナル、小出先生のお話。今週は揺れるもんじゅの行方のお話です。3月5日にNHKのニュース、フランスの次世代の原子炉(核のごみを減らすもの)の研究のためにもんじゅを活用する政府間の取り決めをしたと言うのですが、原子炉はウランを燃料にするものなのに、ウランは燃える(核分裂する)ウラン235と、燃えないウラン238があり、燃えるのは0.7%しかなく、小出先生、原子力に夢を持ち資源が山ほどあると思っていたが、燃えるウランはすぐになくなることに気づき、それで、燃えないウラン(大半)を活用するため、プルトニウムに変換したら燃料になることになり、プルトニウムは長崎原爆の材料、燃料にもなり、燃えないウラン→プルトニウムに効率よく変換するのが高速増殖炉、その実験炉に毛の生えたものがもんじゅです。

が、もんじゅはスカで、1兆円以上つぎ込み豆電球一つ付けられない(泣)+事故を起こし、95年試運転時にナトリウム漏洩、装置の落下、点検怠り+情報隠し、それで規制委から中止命令が出されたのに、これでもんじゅは終わりかと思いきや、フランスと組んでやるもので、核のごみを減らすというものの意味は、世界の原子力推進派はウランが少ないことを知り、高速増殖炉が動かないと核開発はアカンのに、アメリカもフランスもロシアも撤退。

日本でも増殖をあきらめ、ただの高速炉としたが、炉心に毛布のようなもの(ブランケット)があり、そこに超優秀な核兵器材料のプルトニウムが出来るからで、日本は平和利用といいつつ核開発をして、日本の原子炉(軽水炉)では核兵器のためのプルトニウムは7割しか出来ず、しかし高速炉では98%のプルトニウムが出来て、これが欲しかったのでもんじゅを動かしたいのです。

小出先生は(日本政府が)核兵器材料がほしかったと思われ、政府の核のごみを減らすのは建前。政府はエネルギー原案、再処理で有効利用すると、核のごみを1/7に減らし、汚染を減らすというが、これの可能性、原理的には、高速炉でプルトニウムは燃やせるが、プルトニウムは半減期2万4千年、これを我々の世代で消したいと小出先生も思うが、その研究をもんじゅでやるといっても、実現するには再処理が要り、再処理=周辺環境大汚染(泣)、世界の歴史が示している+事故の危険+プルトニウムを燃やす危険=さらなる危険で、小出先生はそういう方向は止めて欲しい。屁理屈をこねて核兵器材料を欲しい勢力の、建前で核のごみ云々が言われていると思われるのです。以上、今週の小出先生のお話でした。全文(放送できなかったものも含めて)は以下にあります。

http://www.rafjp.org/koidejournal/no64/

ここで音楽、シルクロード、喜太郎作曲のテーマ曲です(これを聞くと石坂浩二さんのナレーションを思い出します)。

後半、大村さんのイランでの8年のこと、シルクロードの旅を本にされて、620ページの本であり、旅行中の日記をまとめたもので、出版に7年もかかり、旅の途中でイランに入られ、イランの魅力は宗教国家、お坊さんが国を動かすが、実際には明るく、国民は生活を楽しみ、ひとそれぞれ明るく、声をかけてくれて、家にも連れて行ってくれてお茶を出してくれて、イランほど人の生活に入り込んだ国はなかった。彼らともう一度会いたく、ペルシャ語で話し、大村さん理解できないが、理解できたらたくさんの言葉が理解できるものなのです。

2004年からイランに行き、石丸さんは宗教的な締め付けがあると指摘され、イランでは男女の別枠であり、大学で初めて同じ席になる。奥様もこわごわとなり、外国人も、女性はベールが要り、体のラインの出る服はダメ。ベールは夏は暑く、そういうところを共有する機会もある。

食べ物は、肉食中心で、豚+お酒ダメ、ハーブを混ぜたサラダを食べて、日本食のようなあっさりしたものはない。テヘランに留学され、仕事は語学留学、就労ビザは取りにくく、それで入国し、現地のイラン国営放送の日本語放送を作るところで翻訳、アナウンサーの仕事をした。

イランは、ブッシュ氏が悪の枢軸と名指しして、アメリカにテロ支援国家指定され、アメリカの経済制裁もあるのですが、しかし選挙もやり独裁国家ではなく、インターネットも接続できる。放送と新聞は、テレビ・ラジオは国営のみ、しかし新聞はたくさんあり、当局の許可はいるが、街中では無数の新聞があり、30~40紙ある。反政権の新聞もあり、イランの言論で許されないのは体制への反対はダメであるが、体制の枠なら政府・国を批判できる。

政府は反体制のものは嫌がり、検閲もあり、発禁になる新聞も年にいくつもあり、今の穏健なローハニ大統領でも4~5紙発禁。そうなると記者、ジャーナリストは他の新聞・ネットに移る、雑草のようにたくましく、骨太なジャーナリズムがあるのです。そして核開発、アフマニネジャド前大統領はイスラエルと対立し、アメリカとも対立し、しかし欧米は原子力利用、イラン・北朝鮮は核開発としているのは小出先生は二枚舌といわれ、大村さんも二枚舌と言われて、インド、パキスタン、イスラエルの反米でない国の核はアメリカは容認し、反米のイランを批判するのはダブルスタンダード、アメリカの意見=国際社会の意見になるのはおかしい。

世界共通でやらないといけないとして、しかしイランはIAEAの査察も拒否しており、今のローハニ大統領、経済制裁を緩和し、イランの経済面、大村さんの来られたときも、海外の石油投資が出来ず、イランの予算は石油収入に依存し、外貨が入らない。ドルに変えられず、海外に行けないのです。

 

みんなジャーナル、福島県白河市で行われている「原発災害情報センター」の長峰隆文さんのお電話でのお話がありました。福島では何十万の人が放射能汚染に怯え、市民による測定センターのことです。

活動されている白河市は原発から西に80km、中通の南、栃木との境で、四季の彩りも美しく、いわき市から海の幸も来る。白河市で募金により立ち上げ、目標は福島の事故の状況、放射能の科学的なものを知りたく、事故を風化させないためのものであり、呼びかけたら募金も集まり、多目的ホールを作り、昨年5月に開館。事故を正確に評価されたら、広島・長崎の原爆資料館と並ぶ語り継ぐものにしたい。

将来の世代にこの事故のことを伝えたく、原発がなくなってもこの原発災害情報センターは残る。長峰さん、市民による放射能測定センター(ベク知る)の所長もされ、ベラルーシ製の機械を使い、セシウムの放射能をはかり、チェルノブイリ語にベラルーシで開発されたもの、一般の市民が測定できるものです。持ち込まれるのは最初は食品で、玄米が多く、野菜より高い値が出るので皆さん気になる。

汚染は、白河の汚染はそれほどひどくなく、玄米・野菜で高い値はないが、野山でのきのこ、山菜、たけのこ、栗は問題があり、山の中だと1kg300ベクレルも去年出ている。震災1年後、山菜で2970ベクレル/kg出てしまい、食べられない。食品以外は、おがくず、木杯も測定し、木杯は薪ストーブのために必要で、灰は高く9000ベクレル/kgは出るのです。

長峰さんのご家族は九州に避難され、自宅は山の中で、子供を森で遊ばせられない。放射能の心配もあり、奥さんと、4人の子どものうち下の3人を避難させ、高校生の子供は転校したくなく今もいるのです。

福島の現状、強制避難者は16万人、大変で、ストレスで1600人亡くなられ、避難区域で地震で亡くなった人より多く、仮設での居住は続き、まだ危機+放射能は環境に出て、長峰さん、この事故を公害として、現在も進行していると言われました。以上、長峰さんのお話でした。

 

今週はイランのお話で、大村さん、イランのことを実際に目にして、イランのことを実際に見たら想像と異なり、情報が少なくそのため偏見も生まれ、それを払拭するため、大村さん、ネットで連載されています(アジアプレスに記載があります、http://www.asiapress.org/apn/archives/2000/1065/ )。以上、今週のラジオフォーラムでした。

 

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by limitlesslife

英米専門家日本政府に再処理・高速増殖炉計画の中止要請

──1977年のカーター再処理中止政策に影響を与えたフォンヒッペル教授ら

2012. 6. 3

6月1日、英米の核燃料問題専門家が、日本政府に対し、核拡散・核テロのリスクを高める上、経済的にも意味をなさない日本の高速増殖炉・使用済み燃料再処理の中止を求める要請書を提出しました。提出者の一人フランク・フォンヒッペルは、1977年にカーター政権の高速増殖炉・再処理撤退政策決定に影響を与えた専門家の一人です。米国では、日本と違い、原子力村の外の物理学者らの声が政策決定に反映されました。フォンヒッペルらはこの時、原子力発電の伸びの予測やウラン資源についての推定の誤りを指摘したのですが、その正しさは歴史が証明しています。

書簡の署名者は次の3人です。

  • フランク・フォンヒッペル
    米国 プリンストン大学公共・国際問題教授。
    非政府団体「国際核分裂性物質パネル(IPFM)」共同議長。
  • ゴードン・マッケロン
    英国 サセックス大学科学技術政策研究(SPRU)所長
  • マイケル・シュナイダー
    フランス 核政策独立国際コンサルタント

今回来日したフォンヒッペルとマッケロンが、要請書を政府に提出しました。二人は、提出に先立って、与野党の数々の議員と、核軍縮、核拡散及び核テロ防止、経済性などの面で再処理・高速増殖炉計画が持つ問題点について意見交換しました。

フランク・フォンヒッペル 核物理学者

プリンストン大学公共・国際問題教授

「国際核分裂性物質パネル(IPFM)」共同議長*

30年以上に亘って核分裂性物質政策問題について研究

経歴

1993─94年 ホワイトハウス「科学・技術政策局」国家安全保障担当次官

ロシアの核兵器物質セキュリティー強化のための米ロ協調プログラム策定

2005年 米国物理学会(APS)公共問題パネル議長

2010年レオ・ジラード賞受賞(核兵器管理、不拡散、原子力、エネルギー効率利用の分野の公共政策啓蒙に関連した優れた活動とリーダーシップを讃えて)
祖父ジェイムズ・フランクは、マンハッタン計画の中で日本への無警告使用をすべきでないとする「フランク報告書」(1945年6月11日)を作成したグループの委員長

*「国際核分裂性物質パネル(IPFM)」

2006年1月に設立。核兵器国と非核兵器国両方を含む16カ国の軍備管理・拡散防止問題の専門家からなる独立したグループ。

ゴードン・マッケロン

英国サセックス大学科学技術政策研究所長

2003-2007年 放射性廃棄物管理委員会(CoRWM)委員長

参考


  1. 独立した科学者の存在が1977年の米国の再処理中止政策に影響──日本は?

独立した科学者の存在が1977年の米国の再処理中止政策に影響──日本は?

1974年にインドが米国の支援の下で推進した「平和利用」計画で分離したプルトニウムを核実験に使ったのを受けて、フォード及びカーター政権は、核拡散防止政策を強化しました。カーター政権は、発足と同時に、高速増殖炉政策を検討するために、「LMFBR(液体金属冷却高速増殖炉)運営委員会」を設立しました。この中に、批判派の物理学者3人(プリンストン大学のフランク・フォンヒッペルとロバート・ウィリアムズ、「天然資源防護委員会(NRDC)」のトーマス・コクラン)が入っていました。

米国「原子力委員会(AEC)」が1974年に高速増殖炉・再処理政策を正当化するために展開した議論は大体、次のようなものでした。

「米国の発電量は、歴史的な推移と同じ率で伸びる。このほとんどは原子力で賄うことになる。ウラン資源は乏しいから、この発電量を賄うには、ウラン資源を有効に使う高速増殖炉が必要である。高速増殖炉の初期装荷燃料となるプルトニウムを分離するにために現在の原子炉(軽水炉)の使用済み燃料の再処理が必要である。」

これに対し3人は、予測されている原子力の伸びは、経済全体における電力コストの占める割合などから言って、あり得ないものであり、ウラン資源は、軽水炉の100年分は存在すると主張しました。これがカーター政権の決定に大きな影響を与えたのです。

下の二つのグラフは、米国「原子力委員会(AEC)」(1974年)と「国際原子力機関(IAEA)」(1975年)の予測とその後の経緯を示したものです。

AEC予測

原子力発電容量拡大予測と
推定埋蔵量のウランで40年維持可能な発電容量
IAEA予測

フォンヒッペルによる上のグラフが示す通り、IAEAの1975年の予測では、世界の原子力発電容量は、2000年には、1600GWeになるはずだった(GWeは、発電量100万キロワット。つまり100万キロ級原発で1600基との計算)。低下価格で得られるウランの方は、500GWe[500基]分の軽水炉(普通の原子炉)を40年運転する量しか存在しないとされていました。2012年6月現在の原子力発電容量は約370GWe。現在のIAEAの予測は、2050年に560-1230GWe。低価格で得られるウラン資源の推定量の方は、2500GWe[2500基]分を40年間運転するのに十分な量となっています。

3人の分析が正しかったことが立証されています。これは、原子力村の外の専門家による分析が如何に重要かを示す例といえるでしょう。

日本でもこのような内外の専門家の分析を政策決定に反映させる仕組みが必要です。

書簡日本語訳

公開書簡 日本の核燃料システムの将来:いくつかの提案

総理大臣 野田佳彦様、環境大臣 細野豪志様、外務大臣 玄葉光一郎様、経済産業大臣 枝野幸男様、文部科学大臣 平野博文様

2012年6月1日

大臣の皆様

私たちは、私たち自身の国において、そして、国際的にも、核燃料システムに関わる議論に関わってきた独立のアナリスト、学者として、皆様に書簡を提出させていただく次第です。日本では、福島の事態を受けて、核燃料サイクルについての見直しが進行中と理解しております。日本での議論に役立つ国際的視点を提供できればと思っております。

私たちのそれぞれ国では、再処理は、核兵器用のプルトニウムを入手するために始まり、その後、液体ナトリウム冷却高速中性子プルトニウム増殖炉の初期装荷燃料を提供するためということで続けられました。しかし、日本がもんじゅで経験したとおり、これらの原子炉は、軽水冷却炉と比べ、割高で、信頼性に欠けるものであることが判明しました。そこで、私たちの国々では、それぞれ何十億ドルも注ぎ込んだ後、これらの炉を商用化するための計画を放棄しました。

高速増殖炉の準備計画の遺産の一つが、世界全体で蓄積された民生用分離済みプルトニウム約250トンです。核兵器を3万発以上作れる量です。日本だけで、ヨーロッパと日本に約45トンの分離済みプルトニウムを持っています。核兵器5000発以上を作るのに十分な量です。もう一つの遺産は、多くの国が「民生用」再処理計画を、核兵器を得るために使ったということです。日本は、今日再処理をしている国で、唯一非核兵器国に留まっている国です。しかし、韓国が日本と同じ権利を持つことを主張していて、他にも再処理に興味を表明している国があります。

ソウル・セキュリティーサミットにおいて、野田首相は、「兵器用(兵器級)核物質の生産を停止させることは,核軍縮と共に,核セキュリティの観点からも有意義です」と述べています。民生用プルトニウムが核兵器用に使えることからすると──そして、経済的にも、その他の面でも、埋め合わせとなる利益がないことからすると──商業用再処理も、やはり、放棄すべきです。

使用済み燃料を再処理工場に送ることは、これが放射性廃棄物の解決方法だとの間違った印象を与えますが、実際は、再処理は廃棄物処分問題を複雑にするだけです。再処理をしてもしなくても、深地下最終処分場が必要になります。使用済み燃料を最終処分まで中間貯蔵するという別の道と比べると、再処理は非常に高くつきます。米国は、このために、1981年に再処理を放棄しています。英国も、最近、放棄を決めています。日本は、六ヶ所再処理工場で再処理されることになっている使用済み燃料を中間貯蔵すれば、数兆円の節約をすることになります1

一方、プルトニウムその他の長寿命の超ウラン核種を分裂させるのに高速炉を使うという方法は、達成に何世紀もかかりまし、環境上の利益も取るに足らず、核拡散リスクを生み出すものです2。また、プルトニウムを現在の軽水冷却炉で使うことによって得られる環境面での利益というのは、存在しません。

フランスと日本では、再処理が続いていますが、これは政治的コミットメント、雇用、それに官僚的惰性などのためです。再処理の中止は、米英では、政府が、使用済み燃料管理の責任を取ることにして初めて可能となりました。同様に、日本でも、政府による断固とした行動が決定的に重要です。

皆様方が、非常に難しい法的・政治的状況に直面していることは理解しております。しかし、これらの複雑な問題を扱わなくてすむ部外者の見解は、少なくとも基準点としては役に立ちうるかもしれません。このような理由から、日本の高速増殖炉、使用済み燃料管理、そして、放射性廃棄物計画に関して、次のようなご提案をさせて頂きます。

増殖炉 増殖炉は、非経済的であり、その燃料サイクルは、すぐさま、核拡散とテロリズムの危険を生み出します。プルトニウムを高速炉で消費することから数千年後に得られる潜在的利益は、それと比べれば取るに足らないものです。

以上の理由から、私たちは、日本が、その高速炉の研究開発計画を止めるよう提案します。ほとんどの国は、このような計画をすでに止めております。

使用済み燃料管理 六ヶ所再処理工場は、今日、主として、地層処分場ができるまでの間、原子力発電所からの使用済み燃料の送り出し先として正当化されています。ここで心配されているのは、日本の県や市町村が原子力発電所の敷地、あるいは、その他の場所で、貯蔵施設の追加的建設を認めないのではないかということです。しかし、敷地内での乾式貯蔵は、原子力発電所のプールから古くなった使用済み燃料を運び出すことを可能にすることによって、原子力発電所の安全性を高めます。福島の事故は、使用済み燃料を原子炉のプールに必要以上の長期間に亘って入れておくことの危険性を劇的な形で示しました。乾式貯蔵の準備がなされてこなかったのは、六ヶ所再処理工場がすぐ運転されるようになると長い間信じられ続けて来たからです。工場はまだ運転されておらず、その受け入れプールはほとんど満杯になっています。

以上の理由により、私たちは、再処理を止めること、そして、米国やドイツその他の国のように、中央政府による各地の原子力発電所での乾式貯蔵の建設計画を策定することを提案します。

放射性廃棄物処分 再処理をしてもしなくても、日本は、最終処分場を必要とします。日本はまた、分離済みプルトニウムの処分方法を見いださなければなりません。プルトニウムは廃棄物です。なぜなら、論争の的となっているいわゆるプルサーマル計画においてプルトニウムを処分するのは、ウランだけの燃料と比べ、割高だからです。六ヶ所再処理工場の運転をすると、日本が扱わなければならない分離済みプルトニウムの量が増えるという事実は、工場の運転に対するもう一つの反対理由となります。

再処理工場が運転されなければ、六ヶ所にすでに存在する4トンの分離済みプルトニウムを処分するために何十億ドルもかかるMOX工場を建てる価値はありません。

以上の理由により、私たちは、六ヶ所MOX燃料工場の建設を止め、直接処分できるようなプルトニウム廃棄物の形態に関する研究開発計画を始めるよう提案します3

これは、英国──日本のプルトニウムが17トンあります──そして、米国と、共同で行えるかもしれません。

これらの提案について、必要とあれば、喜んで、皆様方の専門家の方々とより詳細に話し合いたいと思います。

敬具

  • フランク・フォンヒッペル
    米国 プリンストン大学公共・国際問題教授。
    非政府団体「国際核分裂性物質パネル(IPFM)」共同議長。
  • ゴードン・マッケロン
    英国 サセックス大学科学技術政策研究(SPRU)所長
  • マイケル・シュナイダー
    フランス 核政策独立国際コンサルタント

  1. 「核燃料サイクルコスト、事故リスクコストの試算について(見解)」(原子力委員会 2011 年 11 月 10 日)
  2. Nuclear Wastes: Technologies for Separations and Transmutation (National Academy Press, 1996)
  3. Time to bury plutonium,” Frank von Hippel et al, Nature, 10 May 2012

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核情報
の田窪です。

増殖炉開発・再処理から「乾式貯蔵」に進む世界

フランク・フォンヒッペルによる表題の論文が『世界』8月号に掲載されました。著者は、カーター政権が1977年に原子力発電所の使用済み燃料再処理撤退政策を決定した際に影響を与えた物理学者の一人です。米国は、74年にインドが平和利用名目の再処理で得たプルトニウムを核実験に使ったのを受けて政策を見直しました。乏しいウラン資源を活用するには、高速増殖炉が不可欠であり、再処理は、その初期装荷燃料用プルトニウムを取り出すのに必要との議論に対し、著者らは原子力の伸びの過大予測とウラン資源の過小推定の誤りを指摘しました。増殖炉開発の必要はなく、再処理もいらないとの結論の正しさは歴史が証明しています。核兵器5000発分以上のプルトニウムを溜め込んだ日本の硬直した 政策を 変えるための国民的議論に必要な理論をこの論文は提供しています。

翻訳で割愛 した原注はこちらの原文
をご覧下さい。