2012/01/30 04:22
ここに、ある申し入れ書の連署名があります。
どうやら、原発推進の生き血、電力料金と公的資金を吸いあげ続けてきた大企業の、退役首脳陣の名簿のようです。
金子熊夫:エネルギー戦略研究会
宅間正夫:日本原子力学会シニアネットワーク連絡会
林 勉:エネルギー問題に発言する会、元 日立製作所原子力事業部長
青木直司:日本原子力学会
秋山元男:元 IHI (石川島播磨重工業)
荒井利治:日立製作所名誉顧問
元三菱重工
石井 亨:元 IHI(石川島播磨重工業)
石井 陽一:エネルギー問題に発言する会
元原子力技術協会理事長
元 東芝
日本原子力発電
とつづく、
金子熊夫(エネルギー戦略研究会)氏とは、
元外交官の評論家http://eeecom.org/KKprofile.htm
宅間正夫(日本原子力学会シニアネットワーク連絡会)氏
67年、東電本店企画部で電源立地計画策定に携わった
シニアネットワークとは、原発村子孫繁栄のために、こんなことをしている団体。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/aesj/snw/gakusei_taiwa/document/taiwa_fukui080705/taiwa_fukui08report.htm
林勉(エネルギー問題に発言する会)氏、
は、実は、元日立製作所原子力事業部長。
http://www.engy-sqr.com/watashinoiken/bunrui/media.htm
エネルギー問題に発言する会とは、平成13年12月7日設立
私たちの暮らしはもとより国の繁栄にはエネルギーの確保と安定供給は必要不可欠です。特に、エネルギー資源に乏しいわが国にとって、原子力発電は、現在は勿論、将来においても基盤エネルギーとしてなくてならないものです。
この思いを世に積極的に発言して行こうと、原子力を中心にこれまでエネルギー産業や技術開発に従事してきた者が集まり、この会を設立しました。
石川迪夫(元原子力技術協会理事長)氏は、云わずと知れた原子力学会の大ボス。wikipedia この人なしには原発村は語れない。
わあ、すごい!
21世紀の日本、右翼が「市民運動」する時代です。
第一線からリタイアした、元原発村幹部たちが、
「市民運動」してなぜ悪い! といわんばかり。
伊藤 睦:元 東芝原子力事業部長
伊藤裕基:元 丸紅株式会社
犬飼栄吉:元 名古屋大学客員教授、電力中央研究所新技術検討委員会主査
岩瀬敏彦:元 原子力安全基盤機構参与、元原子力発電技術機構(元原子力
工学試験センター)プラント機器部長
- 独立行政法人原子力安全基盤機構とは、原子力安全保安院のもとで、原発の検査を仕切る機関。せんじつ、「検さされる側のいいなり」の検査をしてきたことで問題になった。
岩木多實:元原研職員、元福井大学教授
上路正雄:元三菱原子力工業
上田 隆:元日本原子力発電
梅木忠弘:原電事業敦賀支社、元IHI原子力事業部
大塚徳勝:元九州東海大教授、元日本原子力研究所・副主任研究員
小笠原英雄:実は元日立原子力事業部
小川博巳:NPOエネルギーネット代表、じつは:元東芝原子力事業部技監
奥出克洋:米国サウスウェスト研究所、物産パワープラントエンジニアリング
織田満之:元原子力発電(株)理事
小田島嘉一郎:元中部電力
小野章昌:元三井物産
加藤 仁:元(社)原子力産業会議、元外務省原子力課長補佐
加藤洋明:元日立製作所技師長
加納時男:前参議院議員、元東電副社長(原子力担当)
金氏 顕:原子力学会シニアネットワーク代表幹事、三菱重工業特別顧問元常務
金子熊夫:外交評論家、元外交官、もと東海大教授
亀ヶ谷勝之助:元海洋開発機構
川合将義:高エネルギー加速器機構名誉教授、元東芝原子力技術研究所
川田東海夫:原子力発電環境整備機構
原子力発電環境整備機構は高レベル放射性廃棄物・ガラス固化体および原子燃料サイクルの過程で発生する地層処分低レベル放射性廃棄物、TRU廃棄物の最終処分事業を行っています。
川西康平:元三菱重工業
北田幹夫:(株)原子力安全システム研究所
岸本洋一郎:元核燃料サイクル機構
工藤和彦:九州大学、原子力学会副会長
黒田 眞:安全保障貿易情報センター・理事長、元通商産業審議官
栗原 裕:元原電事業会長、元日本原電役員
黒川明夫:発電設備技術検査協会ISO品質主任審査員
軍司 貞:(株)東工業技術顧問、元日立日立工場
小杉久夫:元中部電力浜岡発電所長
後藤征一郎:元東芝主席技監
小山謹二:元原子力研究所主席研究員
細谷健一朗:元エネルギー総合工学研究所、元東芝
西郷正雄:元原子力安全委員会技術参与、元原子力産業協会。
税所昭南:元東芝
斎藤 修:元放射線影響協会常務理事
齋藤健彌:元東芝 燃料サイクル部長
齋藤伸三:前原子力委員会委員長代理、元日本原子力研究所理事長
櫻井三紀夫:元日立製作所、元横須賀商工会議所副会頭
実松俊弘:元日立製作所上席常務
名簿はまだ書きかけです。
この人たちが、
なんと、NHKの番組に異議を申し立てたのです。
原子力産業新聞ヘッドラインニュースより
不安煽る番組作りに抗議 NHK 低線量被ばく特集 ICRPも問題視
NHKが昨年12月末に放映した追跡!真相ファイル番組「低線量被ばく揺らぐ国際基準」の内容について、原子力研究開発などに携わってきた原子力関係者110名が連名で、NHKの松本正之会長と西脇順一郎担当ディレク
ター宛に抗議文を12日に送付した。
原発と放射能の御蔭で、功なり名を遂げてきた人々です。
職を辞してなお、原発奉公のために、マスコミに横車を押そうとするのも当然なのかもしれませんが。
言ってることの支離滅裂さ、自分勝手さはこちらを読めば、どなたにも分かります。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/aesj/snw/media_open/document/nhk_kougi120112.pdf
後で、私も言及しますけど・・・・
名簿のつづき
むかし陸軍、いま原発企業(1) のつづきです。
http://ni0615.iza.ne.jp/blog/entry/2583643/
原発企業のOB幹部達が、112名も連名でねえ、
その必死さはどこから来るんでしょうか?
それを理解するためには、
そのロートル達が少なくなった髪を振り乱して抗議した相手、
NHKの番組をもう一度見れば良くわかります。
http://www.dailymotion.com/video/xnb9h8_yyyyyy-yyyyyyy-yy-yyyyyy_news?start=0#from=embed
この番組では、
広島長崎の線量に対する被爆リスクが2倍に引き揚げられたとき、低線量被爆領域ではそれが据え置かれた。原発事業者から猛烈な反発があったからだ、と示唆しています。
リスクが2倍に引き上げられたら、原発労働者が働ける日数も短くなり、原発を運転したり点検したりする費用かかさんで、原発業者にとっては死活問題なのです。
それで、アメリカの電力会社を中心に世界の事業者が、猛烈に反発したのです。
そのことを取り上げた番組を、日本の原発事業者、原発メーカー、燃料輸入商社、原発検査会社・機関こぞってその幹部OBが批難しているのです。
これはやはり、健康を重視してリスク計算を2倍に引き上げたら、業界の死活問題だ、ということの状況証拠でもあるのです。
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ここまでが、原発おじいさん達の、112人もの異様な結集を見ただけでわかる事実です。
では、抗議文そのものを分析しましょう。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/aesj/snw/media_open/document/nhk_kougi120112.pdf
1、まず、こんなことを、『原発おじいさん112s(ワン&トゥエルヴズ)』は言ってます。
ありゃりゃ、ありゃりゃ
『原発おじいさん112s』たちは、NHKの番組を「すり替え」だと言ってますが、はたしてどっちが「すり替え」なのでしょうかねぇ?
番組は、視聴者の頭を固まらせてしまう「線量・線量率係数(DDREF)」という専門用語を使わずに、まさにそのDDREFのことを説明しているのです。
そして、そもそも、低線量被ばくのリスク係数を高線量のそれの半分にする、つまり80年代後半のDDREF導入時の「政治的決定」を、番組は問題にしているのです。
DDREFで2分の1にすることそのものに問題があるのではないかと番組は指摘し、ICRPはげんざいそれを再検討している、と伝えているのです。
、『原発おじいさん112s』の抗議文は、
“DDREFを理解してないNHKの番組制作者が、ICRPがあたかもその規則を遵守していないかのように描いている、それは「すり替え」だ”、と言ってますが、それこそ「すり替え」です。
NHKは、もっと本質的に、DDREF規定自身の成り立ちを問題にしているのです。
2、続いて、『原発おじいさん112s』の抗議文は、こんなことを言ってます。
ようするに『原発おじいさん112s』は、番組の中で登場する当時のICRP検討委員である2人の老人の、言ってることは嘘かも知れないから「別の証拠を出せ!」と、言ってます。
しかしこれは、無茶苦茶ないいがかりです。
ICRPの当時の当事者で、オーソリティでもある2人の証言です。他にどんな論拠が必要だというのでしょうか?
『原発おじいさん112s』が日本に於いてのオーソリティであることを、市民に対して自称したいなら、反証を示せばよいだけではありませんか?
また、
”ただ線量が半分だった、といわれてもワシ等は知らんのだから”、という趣旨をいってますが、それは全く不勉強な専門家達だとしか言いようがありません。DS86という、広島長崎の被ばく線量の見直しプロジェクト、その結果に基づいて、ICRP1990年勧告が造られたという経緯を、『原発おじいさん112s』の方々が知らないのだとしたら、もはや、専門家として70歳80歳まで生きていた価値すら疑問になってきますよ。
でも、そんなことは有り得ないでしょう。 『原発おじいさん112s』の皆さんは、東大、京大etcを出た秀才ばかりです。そんなこと100も承知で政治的に動いているのでしょ、常識的に考えれば。
『原発おじいさん112s』達は、そもそもの広島長崎の被ばく線量の見直しのことも、ぜったいに良くご存じのはずです。ご自分が知ってることをひた隠しにして、因縁をつけているのです。専門家ではない私は、故中川保雄さんの「増補 放射線被曝の歴史」を読んで初めて知ったのですが。
アメリカが1970年代の終わりころ、中性子爆弾の研究開発を行ったところ、広島や長崎に落とした原爆からの中性子のエネルギー、その評価が間違っていることに気がついたのだそうです。「5分の1~10分の1ぐらい被ばく線量は、これまでの評価より低い」と。
しかし、そのままそれを適用すると、これまでとの差が大きすぎる。線量に応じた健康被害を昨日までの数倍に引き上げなくてはならない。
だから世界の「専門家」たちは、いろんな国際会議を10年ぐらいかけて廻し、修正幅をなんとか2分の1にとどめ(影響係数は2倍)ることに成功した。そして、低線量で少しずつ被曝する原発労働者の、被ばく影響評価はそのままにするために、DDREFを導入した。・・・・・これが真実なのです。
3.さらに、『原発おじいさん112s』抗議文は、
なるほど、なるほど、
″高線量被ばくのリスク評価は引き揚げて、低線量被ばくのリスク評価は据置いた。それを不当という人たちは、 見返りとして規制強化をしてやったことを思い知れ、その恩を忘れたのか” と、『原発おじいさん112s』はお説教なさる。
そういう出方にどう応接したら宜しいやら・・・・・
う~ん。
で、
だったら、
職業人は5年で100mSv、一般公衆は一年で1mSv、この規定を厳重に守って下さい!
まずはそう叫びましょう!
それから次に、Gyは吸収線量で物理的な量、実効線量mSvはそれに基づいて定めるがん致死リスク量です。
それを、政治的バーターで取引して、それが何の美徳ですか? そういう態度こそ、科学ではなく政治というのではありませんか!
英語版で見てもらって云々は、結構なことです。
番組の映像と共に、『原発おじいさん112s』の抗議文の英訳も、しっかり読んでもらいましょう。全世界に配布しましょうよ。
4、さらに
『原発おじいさん112s』の主張は、
「慎重な調査に基づいて報道するべきです」
ということに尽きるようです。
しかしどうでしょう。
トナカイの肉を食べてがんが増えた。因果関係は断言はできません。しかし、トナカイを食べた地域で、がんが増えたことは事実です。
またトンデル博士の疫学的研究で、被曝線量が年間10mSv以下のスウェーデンの人々の間で、、線量に応じてがんの発生数が増加することが、統計的に有意な値として証明されました。
カナダの脳腫瘍の少女の場合、両親は州政府の統計を集め、小児がんが原発周辺では2倍になっていることを突き止めました。
これは市民としては、十分に慎重な調査の結果です。これ以上の一体何を求めるのでしょうか?
一般の刑事裁判では、「疑うべきは被告人の利益に」ということです。原則は「推定無罪」です。
しかし、公害問題の民事訴訟では、「疑うべきは住民の健康のために」ということになってきました。
健康被害が、放射線・放射能のせいではないことを、本当の専門家なら立証できるはずです。あるいは、そうした努力ぐらいはできるはずです。
まとめ
居直りと偽りによって、「原発」「放射能」による既得権益を守る、その社畜としての恥ずかしい姿を、『原発おじいさん112s』の皆さんは、晒してしまいました。
もう残り少ない人生なのですから、孫やひ孫に放射能を残さないよう、余生をフルに使おうではありませんか!
敬白
ni0615田島生