(北朝鮮を逃れた人々:3)51の階級 「出身が悪い」差別社会

2014年3月21日05時00分

 ◇朝日新聞・東亜日報共同調査から

 

脱北者の証言には、北朝鮮で理不尽な扱いを受けた話が数多く出てくる。「実力があるのに昇進できない」「成績が良いのに希望の大学に行けない」――。そんなとき、彼らは同じ理由を語った。「出身成分が悪かった」

北朝鮮独特の階級制度。国への忠誠心が高いと思われる順に「核心」「動揺」「敵対」の各階層に分け、さらに計51の成分に細分化する。政治犯の子孫は自動的に「敵対」になる。一度下げられた成分を回復するのは至難の業という。

咸鏡北道(ハムギョンブット)出身のキム・ソンジンさん(31)は「天才でも、平壌の大学に行くには、成分が良く金持ちである必要があった」と語る。キムさんは勉強ができたが平壌近郊の平城にある大学への進学が精いっぱい。それも、父親が賄賂を払ってくれたおかげだったという。

日本からの帰還者の多くは「動揺」層に位置づけられた。関西地方の男性脱北者(50代)は「成分が悪いと、どんなに頑張っても出世できなかった」と話す。

成分の悪い人は監視対象にもなった。

日本からの帰還者だった男性脱北者(50代)は、帰還後10年が経った1982年ごろ、秘密警察の国家安全保衛部員から「お前らを10年間監視していた」と告げられた。その役人とは賄賂を渡して便宜を図ってもらう仲だった。「懇意にしていたから打ち明けてくれたが、帰還者はみんな知らないところで監視されていたんだろう」

関東地方に住む別の男性脱北者(60代)も、監視や差別を受け続けた。「北朝鮮では朝鮮労働党員以外は人間として扱われない」。男性は厚さ2センチほどもある赤い手帳に細かい字でびっしりと書かれた党の綱領を丸暗記し、北朝鮮に渡ってから8年目で党員試験に合格した。「身分が高ければ悪いことをしても許され、良い暮らしができる。逆に言えば、出身成分が良い層ほどロイヤルファミリーに盾突こうとしない」

明治大学の川島高峰准教授(政治学)は「国民は成分を維持もしくは上げるのに必死。体制に反発しようという意識が生まれない」と指摘。出身成分が北朝鮮の体制維持に役立っているとの見方を示した。

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