隣人:日中韓 対立と融合/1(その1) 中国撤退ビジネス、活況 税や解雇の対策指南

毎日新聞 2014年07月08日 東京朝刊

 日本企業が中国から撤退する動きが加速している。人件費、土地代などが高騰し、尖閣問題などの政治リスクも改善する見通しが立たないからだ。ただ、中国からの撤退は、実は容易ではない。難しさを象徴するように、撤退相談に乗るコンサルタントや弁護士が増え、「撤退ビジネス」が活況を呈している。

東京都のコンサルタント会社「ケイエス」(赤井嘉晴社長)。もともとは中小企業向けに中国進出を助言していた。だが、2012年の尖閣諸島国有化を受けた反日デモ以降、「撤退・縮小」の相談が急増。「中国ビジネス撤退支援」を事業に加えた。

彼らが指南するのが「撤退障壁」への対処法だ。外資系企業が解散するには地元政府の認可が必要。複数のコンサルタントは「認可審査の際に、過去の税金支払いを調査されるため膨大な手間と時間がかかる」と証言する。

多くの外資系企業は進出後、地域ごとに数年間、企業所得税が免除される。しかし、免除期間を経過せずに会社を解散しようとすると、免除された分の全額の支払いを求められるケースも珍しくない。

従業員の解雇にも「経済補償金」が必要だ。経済補償金の法定額は、例えば1年勤続の場合は1カ月分の月給額で、2年勤続では2カ月分となり、12年以上は一律12カ月分となる。しかし、従業員の補償金積み増し圧力は強く、実際には法定額以上がかかるという。撤退にも膨大な資金が必要で、企業の海外展開を支援しているコンサルタント会社「コンサルビューション」(東京都)の高原彦二郎社長は「経済補償金を支払うために、日本の本社から撤退資金を送金してもらうケースもある」と語る。

現地は、企業撤退の動きに敏感になっている。5月20〜22日、遼寧省大連市のコニカミノルタグループの光学製品工場(従業員約2000人)でストライキ騒ぎが起きた。「市場が悪化した」として、一部期間工(有期契約従業員)の契約を更新せず、一時的に自宅待機とする通知を出したのがきっかけだった。

同社は「9割以上の従業員は契約を継続できる前提で、大規模なリストラではない」と説明したが、「職場を失う」と受け止めた従業員の反応は激烈だった。

従業員は21日に工場に出社したものの生産ラインに入ろうとせず、操業は止まった。作業服を着たまま工場内外に集まり、抗議の意思を示した。従業員自ら撮影した画像がインターネットで拡散し、公安当局まで出動する騒ぎとなった。

会社は従業員に電話や自宅訪問で「雇用不安は誤解」と説明。通知を白紙に戻し、23日に操業再開にこぎつけた。同社の広報担当者は「最近、大連の日本企業は撤退のような後ろ向きな話が多い。撤退や縮小など考えていなかったが、従業員の間に誤った情報が流れてしまったようだ」と困惑の表情を浮かべた。

Categories 日韓, 日中

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