Global Ethics


隣人に目を光らせ、お上に告げ口する。「共謀罪」がある社会とは――   by limitlesslife
June 12, 2017, 1:30 am
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(問う「共謀罪」学問の世界から)政府の狙いは隣人を密告するマインド
■哲学者・内田樹さん(66) 朝日新聞 2017年6月11日

隣人に目を光らせ、お上に告げ口する。「共謀罪」がある社会とは――。

仏紙ルモンドが5月下旬、「共謀罪」法案について報道した。懸念を表明する国連の特
別報告者に日本政府が抗議したことに触れ、「驚くべき反応である」「日本は国際法の
順守をこれまで強く訴えてきていた」と非難した。安倍政権の支持率は落ちなくても、
日本の国際社会の評価は下がりっぱなしだ。

この法案に「いつか来た道」を懸念する声もある。でも、僕はそう簡単に再来するとは
思わない。戦前の警察組織とは敗戦で断絶しているし、思想警察をつくって社会全体を
監視するにはヒトもカネも足りない。反基地運動や労働運動を一網打尽にするために使
おうか、という程度だろう。

政府が狙うのは「隣人を密告するマインド」の養成だ。「共謀罪」を必要とする前提に
は、テロリストだけではなく、外国の意をくんで政府の転覆を謀る「反日分子」がいる
という認識がある。政府には網羅的に検挙する能力がない。ならば、お上に代わって我
々国民が摘発しよう、となる。

政府を批判するメディアや市民のバックに、中国やコミンテルンがいると本気で信じて
いる人もいる。法案が成立した瞬間、自分たちの世界観が承認されたと思い、密告した
り、排除したりする動きが出てくる。

注目すべきは、特定秘密保護法、安全保障法制を施行させ、いままさに「共謀罪」の成
立を図り、そして憲法改正をめざす流れだ。立憲主義を空洞化させ、独裁化を進めてい
るのは明らかなのに、有権者の半数ほどが現政権を支持している。

多くの日本国民には主権者としての意識がない。バブルが崩壊し、国連安保理の常任理
事国入りに失敗した日本は、国家目標を見失った。理想を冷笑するニヒリズム(虚無主
義)も広がっている。そんな人たちに、僕は日本の主権を回復しようと訴えたい。沖縄
の米軍基地を縮小し、不平等な日米地位協定を改定する。誰もが共有できる国家目標を
掲げ、ニヒリズムに対抗していかなければならない。(聞き手・岩崎生之助)

うちだ・たつる 神戸女学院大名誉教授。専門はフランス現代思想。著書・共著に「街
場の文体論」「日本の反知性主義」など。

http://digital.asahi.com/articles/DA3S12983041.html?rm=150

MLホームページ: http://www.freeml.com/uniting-peace

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