岸田首相に国葬を決断させた統一教会“弁護人”

岸田首相に国葬を決断させた統一教会“弁護人”

2022-09-22 05:00

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 四割台前半に急落する内閣支持率。大きな要因は統一教会、そして反対の声が六割を上回る国葬だ。にもかかわらず、岸田首相が実施に踏み切ったのはなぜか。その経緯を徹底検証していくと、“ある人物”の存在が浮上した。
●岸田首相ブレーン 小川榮太郎の直電「早く決断を」
●小川報道は「右派団体潰し」「統一教会は被害者」
●小川“痴漢擁護”で「新潮45」休刊 伊藤詩織さん攻撃
●国葬招待者 日韓トンネル会長、セクハラ処分者
●教団関連団体が木原副長官後援会を設立
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安倍元首相が亡くなって約2カ月半
――(安倍晋三元首相が亡くなった)七月八日夜、岸田(文雄)首相に電話を?
「『外交・安全保障・金融において、安倍さんが何とかこの国を滅ぼさないために外堀を修復してくれたことを、これだけは何としても継いで下さい』と申し上げました。夜十一時頃だったと思います。記憶している限りでは、岸田さんは『よく分かっている。そのつもりですよ』ということを仰っておられました」
――七月十一日には、国葬について進言されたと。
「選挙戦で一国の政治リーダーを殺すのは、パレードでの暗殺とは政治的メッセージの重さが違い過ぎるんです。しかも、海外からの弔意も極めて大変なものでした。その当時の状況、国民の哀悼を踏まえ、『国葬の決断は早くなさったほうがいいですよ』ということは電話で申し上げました」
――七月十四日、首相は正式に国葬の実施を表明した。
「総理大臣のご決断ですから、様々な状況をご本人の見識で判断されたと思いましたね」
 小誌の取材にそう答える人物。岸田首相に“直電”し、瞬く間に国葬を決断させた男とは――。
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岸田首相は国葬の葬儀委員長
「強制的には調べられないんだから、木原(誠二)は仕方がないだろ。気付かないことだってある。『関係を断つ』としか言えないし、それでいいじゃないか」
 周辺にそう苛立ちを見せているのは、岸田首相だ。
 自民党は九月八日、党所属国会議員と統一教会(現世界平和統一家庭連合)との関係を巡る点検結果を公表。ところが直後から“申告漏れ”が相次いでいる。
 小誌先週号で報じた平井卓也元デジタル相らに加え、首相最側近の木原官房副長官も二〇一六年、教団関連団体主催の会合に参加していたことを明かした。本人曰く、外部からの指摘で記憶が「呼び覚まされた」という。だが、更なる疑惑が発覚した。
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木原官房副長官
 木原氏が中央に納まる一枚の写真。一九年九月二十九日に地元・東久留米市で行われた会合(演題「緊迫する東アジア情勢と日本の進路」)の様子だ。横断幕によれば、主催は「誠世会」、後援は「西東京平和大使協議会」。平和大使協議会は、教団の最有力関連団体「UPF(天宙平和連合)」の付設機関だ。
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木原氏の関連団体会合(野島氏のFBより)
 では、誠世会とは何なのか。この写真をフェイスブック(FB)に投稿したのは、野島武夫東久留米市議。木原氏の衆院選では東久留米の選対総務部長だった側近だが、自らも平和大使を務めるなど教団とは近い関係にある。
木原氏の側近地元市議が証言
 その野島氏に話を聞いた。
「誠世会は、木原誠二さんを応援する団体だと思うんです。だから平和大使協議会のメンバー、その中でも木原さんを応援する人たちが作った組織だと思うんですね。木原先生の名前から文字を取ったのと、世界平和の『世』と伺ったことがあります。(設立は)二回ぐらい前の選挙だと思います。(木原氏が)世界情勢について、世界平和大使の方々へお話しする会。あわさって選挙の応援も。(私自身は)平和大使に任命されています。(教会へ)挨拶回りでは行ったことがあります。今後は(会は)なくなると思いますけどね……」
 つまり、教団の関連団体などが関与する形で、首相最側近の後援会組織が設立されたことになる。
 木原氏に事実確認を求めると、主にこう回答した。
「『誠世会』は、地元有志の方々の会で、議員が国政報告を行う小規模な会合と認識しておりました。一九年九月二十九日については、現在詳細の把握に努めております。平和大使協議会、旧統一教会の関連団体から、組織的な支援は受けたことはありません」
 もう一つ指摘されているのが、安倍氏に関する調査を行っていないという点だ。ただ、岸田首相は親しい知人にこう吐露している。
「安倍さんの事務所を調べろというけど、安倍さんの心なんて分からない。そこまでして国葬と統一教会を結び付けたいのかね」
 なぜ、首相は安倍氏に斬り込めないのか。
「岸田派は党内第四派閥。リベラル政治家という印象も強く、保守層を繋ぎ止めたい。そのためにも、最大派閥の安倍派を敵に回したくないのです」(首相周辺)
 政権発足以来、「検討使」と揶揄されてきた岸田首相。中でも賛否の分かれるテーマは先送りにするのが常だった。ところが、国論を二分していたにもかかわらず、珍しく迅速な決断を下したのが国葬だ。
「森友・加計問題への疑念が根強いことなどを理由に、慣例通り、内閣・自民党の合同葬にすべきとの意見も少なくなかった。他方、事件三日後の十一日まで半旗を掲揚しなかったことなどが保守層の反発を招いていました。そうした中、首相は十四日に国葬の実施を自ら表明するのです。読売新聞などは『首相の強い思いで実現した』と報じていました」(官邸関係者)
 この“決断”を生んだのは、生前の安倍氏と付き合いがあった“ある人物”の進言だったという。
「文藝評論家の小川榮太郎氏(55)です。『国葬を早く決断しないと、保守が離れる』と進言した。岸田氏にとって小川氏は、安倍氏を支持してきた右派の中では、ほぼ唯一と言っていい“ブレーン”。元々は政調会長時代に、安倍氏から紹介されたそうです」(同前)
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小川氏は計2時間取材に応じた
首相と連絡を取り合う小川氏
 近代日本文学や十九世紀ドイツ音楽を専門にしていた小川氏。無名の存在だった三十代の頃は、糊口を凌ぐため、ネットワークビジネスによる健康食品の販売などに手を染めていた過去もある。だが一二年九月上旬、第一次安倍政権の挫折を描いた『約束の日 安倍晋三試論』(幻冬舎刊)で論壇デビューを果たした。
「安倍氏は直後の総裁選で勝利し、十二月に首相に返り咲きました。小川氏の著作は、“終わった政治家”とされた安倍氏の復権と重なり、約十万部のヒットを記録した。安倍氏も当時、『よくここまで調べたね。凄いもんだ』と喜んでいました」(政治部デスク)
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金美齢氏のパーティにて(小川氏のFBより)
 以降、安倍氏とのパイプなどを生かし、右派系媒体を中心に執筆活動を行ってきた。再びクローズアップされたのは、『新潮45』への寄稿。杉田水脈衆院議員が「LGBTは生産性がない」と断じた論文が批判を浴びたことに対し、同誌一八年十月号で次のような持論を展開したのだ。
〈痴漢症候群の男の困苦こそ極めて根深かろう。再犯を重ねるのはそれが制御不可能な脳由来の症状だという事を意味する。彼らの触る権利を社会は保障すべきでないのか〉
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杉田水脈氏
 これが「痴漢を擁護している」として大炎上。新潮社の佐藤隆信社長は「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」とする声明を出したが、間もなく休刊が発表された。
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『新潮45』の“痴漢擁護論文”
 それから約一年後、小川氏が批判の矛先を向けたのは、性被害者だった。月刊『Hanada』で〈性被害者を侮辱した「伊藤詩織」の正体〉(一九年十月号)などと題した論文を立て続けに執筆。元TBS記者の山口敬之氏から受けた準強姦被害を告発した伊藤氏について「嘘をついている」などと主張したのだ。
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伊藤詩織氏
 なお、伊藤氏が山口氏から性暴力を受けたとして損害賠償を求めた訴訟は、最高裁が七月七日付で双方の上告を退け、同意のない性行為に及んだとし、三百三十万円余りの賠償を命じた二審判決が確定している。
「保守系言論人でも、小川氏とは距離を置く人が少なくありません。『放送法遵守を求める視聴者の会』を巡っては、小川氏が金銭トラブルを起こし、それまで仲間と見られていた百田尚樹氏、上念司氏、有本香氏らがネット動画で痛烈に批判する事態に発展。上念氏は、今も『LGBT騒動では明らかに発言が行き過ぎだった』などと指摘しています」(自民党関係者)
 その小川氏がなぜ、どんな経緯で岸田首相の“ブレーン”となったのか。
 再び小川氏との一問一答に戻ろう。
――岸田首相が政調会長時代に、安倍さんから「会ってほしい」と頼まれた?
「その前から多少はあったかもしれないけれど、安倍総理のお話から、岸田さんとのアポイントが入ったという事実はありますね」
 ただ、その後は一定の距離を置いていたという。
「折に触れては電話をしたりしていたんですけど、基本的に通話をしなくなっていたんですね。安倍さんがご存命の時は、(岸田首相は)反安倍をうまく看板に使って、安倍さんが何か言えばひっくり返す。反安倍の立場に立っておけば、マスコミは叩かないですから。安倍さんに批判的なスタンスを取ることで世論をコントロールしようとしているとしたら、進言する意味ないじゃないですか」
 ところが、事態は一変する。七月八日、安倍氏が凶弾に斃れたのだ。
「その瞬間から、岸田さんがこの国の舵を本当に取らないといけなくなる。(安倍氏が)いなくなったら、自分で音頭をとって自分でやるほかないでしょう」
 そして冒頭のように、八日夜、岸田首相に直接メッセージを伝え、その数日後には国葬を進言。実際に首相は実施を表明したのだった。だが、国葬については世論の反発が根強いのが現実。小川氏はこう言う。
「うちの研究所(日本平和学研究所)で、国葬に関する世論調査の変遷をまとめているんです。七月八日に亡くなっている人の葬儀についてね、こんな風に否定が増えて、賛成が減ると。これは操作された数字でしょう? 要するに世論の誘導でしょう? だって、死んでんだよ、あの人! この数字の変化って、報道による大変なスキャンダルだと私は思いますよ」
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岸田首相への進言(小川氏のFBより)
 小川氏は国葬を進言して以降も、岸田首相と連絡を取り合っているという。
文鮮明の直弟子との深い関係
――岸田首相に対し、保守言論人を紹介したり?
「いや、紹介するという話をしております。総理はあまりにも日程が大変でしょう、今。国葬の件もそうだし、統一教会の対応も大変だし。だから、そういう気持ちを伝えてはあります」
――会う際には“裏動線”を使ったりすることも?
「それは裏動線は話しちゃいけないんで、ハハハ」
 岸田首相の政策決断に強い影響力を持つ小川氏。支持率急落の要因となった統一教会問題についても、発信を重ねてきた。例えばFBでは、次のような投稿をしている。
〈ある団体を恨んで殺意を抱いたという供述を真に受けるならその団体は被害者でしょう〉(七月二十二日)
 統一教会の行動力に感心するとした元自衛隊員の投稿に対しても、報道に疑問を呈するコメントなどに続き、〈右派宗教団体潰しです。安倍氏を暗殺し右派団体の一つを潰す。まことに手回しのいい構想が存在していたと考えざるを得ませんね〉と記している。
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教団擁護の記述が(小川氏のFBより)
 小川氏に真意を尋ねた。
――小川さんのFBによれば、統一教会はある意味で被害者なのか?
「容疑者が『統一教会がターゲットだ』と言って、人を殺したんだから。それは嘘の作り話だと僕は思っているけれど。『統一教会に関係があるから、安倍さんは殺した』と言っているんだから、“統一教会関係者”が殺されたんだから、統一教会だって被害者だという単純なロジックじゃないですか? そのロジックを言っているだけです」
――統一教会はそれほど問題がない団体という見解?
「あらゆる団体は反社会性を秘めているわけで、おたくも含めて。非常に善良なんです、私。だから、『人間というのはこんなに悪いのか』と、もう毎日のように発見していますよ」
――反社会的団体とまでは言えないと?
「だって、今あるんでしょ、この団体? 普通に宗教活動をして。この二カ月大騒ぎしているけども、何か問題になっているんですか? この二十年ぐらいの間」
――統一教会はLGBT反対や夫婦別姓反対という政策を並べていたが、この主張は正しい?
「一宗教団体の政策なんて全く知らないし、個々のことについて単発的に言われても『分からない』としか言いようがないですよね」
 小川氏はこれまで、統一教会系メディアの世界日報社が発行する月刊誌『Viewpoint』などに登場してきた。世界日報の愛読者有志で作る団体「世日クラブ」でも、一九年八月に講演している。
「講演なんか幾らでもやっているので。よく分からないけれど、世界日報の社長か会長と会った記憶があるから。(講演料は)十万円とか二十万円とか、よく覚えてないけれど」
 他にも、小川氏は世界戦略総合研究所で講演を行っていた。同研究所は、日本維新の会が関連団体と位置付けている団体(同研究所は否定している)で、阿部正寿会長は統一教会の元広報委員長だった人物だ。
 小川氏は、この阿部氏と深い付き合いだという。
「世界日報の社長と阿部会長と一緒の席はあった。阿部さんとは一年に何度か会うよ。(合同結婚式の)日本で八組目とか言ってたな。偉い人で、勝共(連合)の初代事務局長だよ。彼は文(鮮明)氏の直弟子の一人。(阿部氏は講演で)『私が喋ることは今日中に本部に伝わるだろうが、全部話します』とか言ってましたよ」
 全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人の山口広弁護士が指摘する。
「統一教会が被害者ではなくて、信者や元信者が被害者なんです。教団自体は組織としての責任をとらなければならない。小川氏の主張は統一教会の“弁護人”のようなもの。そのような立場を取る人物が、岸田首相に大きな影響を与えているとすれば、首相が『関係を断ち切る』ことなど本当にできるでしょうか」
 そんな小川氏だが、自民党が点検結果を公表する前日の九月七日にも、『Hanada』の対談企画で岸田首相と面会している。どんなことを話したのか。
「私はHanadaで書いたことは総理にも何度も言っています。この国を守るのであれば、安倍路線を明確に踏襲せざるを得ないですよ、と。『根幹だけは安倍路線を取ってくれ。けれども、そうなった以上はマスコミから叩かれますから』とお伝えした。岸田さんは『どちらも分かっています』ということでしたから」
――統一教会については?
「『(統一教会の)実態調査ということですね?』と私が聞いたら、総理は『被害実態があるなら調査をしないといけないので指示した』ということでした。私の周りの普通の人たちは、マスコミが騒いで政府が基準もなしに関係を断てというのは、あまりにも危険だという認識ですね」
 そして、小川氏は最後にこう語った。
統一教会は小川氏に「感謝」
「岸田さんとのことは何か政局上のキーマンと思われると、それは非常に間違った記事になる。私はあくまで、純然たる政策の助言者。安倍さんの時と同様で、そういう助言者なのでね」
 小川氏の“助言”で岸田首相が決断した国葬。小川氏の元にも招待状が届いたというが、どんな基準で招待者を選んでいるのか。
「今井尚哉元首相補佐官が中心になって、各界の代表者や安倍氏と近かった関係者らを招いている。ところが、宮本亞門氏が『どうしてこれが僕に?』とツイートするなど、送付基準に疑問が投げかけられています」(前出・政治部デスク)
 中には、統一教会との関係が深い人物も含まれている。文鮮明氏が提唱した日韓トンネル構想。日本で発足したのが、日韓トンネル研究会だ。同会の役員には過去、梶栗玄太郎氏ら歴代教団会長が複数名を連ねてきた。そんな日韓トンネル構想の中核を担う組織で現在会長を務めるのが、野澤太三元法相。彼も、国葬に招待されているという。
 野澤氏が明かす。
「国葬の招待状は届いています。出席する予定です」
 また、問題を起こした高級官僚の名前もある。元厚労省の吉岡てつを氏。九州厚生局長だった一九年、セクハラで停職一カ月の懲戒処分を受け、退職している。その吉岡氏は自らのFBに招待状をアップしていた。
 本人に尋ねると、
「(処分で)辞めたことは(招待と)関係ないですけど。おそらく私が呼ばれたのは、第一次安倍内閣で官邸にいたから。直接安倍さんに仕えましたので。有難く出席させて頂きます」
 日韓トンネル研究会会長やセクハラ処分者が招待される一方、参列見送りを決めたのが海外の首脳たちだ。政権は要人接遇費に約六億円を計上したが、当初は訪日を検討していたメルケル前独首相やオバマ元米大統領らも参列しない。
(続きは「週刊文春」にて)
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